幕間 三と二分の一席
ちょっとした息抜き
ああ、今日もこの夢か。
何度も見た光景だ。
また私は失敗したのだろう。
この悪夢が続く限り、私は死ぬことが出来ない。
あの時、運命に呪われた私は
そのような概念に成り果ててしまった。
私という個人は消え失せ
役割を果たすだけの歯車となったのだ。
ああ、いつになったら終わるのだろうか。
最早何回目かなど覚えてはいない。
数えるのは随分と前に止めた。
夢の終わりと共に私は目覚める。
次こそは、あの世へと…
気が付くと俺は長蛇の列に並んでいた。皆一様に同じ服を着ている。何故だか僕はこの光景に既視感を得た。まるで、これが初めてではないような…
「戻ってきたか、少年よ。」
気が付いたら僕は列の先頭にいた。何が起きたのか分からなかった。自分が瞬間移動したことも、目の前にこの世の者とは思えないような大男いることもだ。でも一番訳が分からなかったことは、この大男が僕のことを知っているということだった。
「今度こそ貴様の行き先を…うぅむ…こんなことが有り得るのか?」
大男が首をかしげている。何かあったのだろうか。
「転生したのに天秤は相変わらずであるか…この場合は…」
転生?いったい何の話をしているのだろう。頼むから僕にも説明してほしい。何もせずにぼーっと突っ立ってるのもなかなかに疲れるのだ。
「ふむふむ…死人には何も伝えず再転生か。」
シビト?シビトとはいったいなんのことだろうか。さっきから頭の中に?マークが浮かびっぱなしだ。第一、ここはどこなのか。なんで僕はここにいるのか一切が謎のままだ。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
質問しようとしたけど声が出なかった。ホントにここは何なのだろう。
「ではな。」
それが大男との最後の会話だった。
「閻魔様、こんなことをいったいいつまで続けるおつもりで?」
「決まっておろう。儂とあやつの決着がつくまでじゃ。」
「しかし前回はそれで百二十六回までかかったではありませんか。」
「たまには良いではないか。仕事ばかりでは効率も落ちるというもの。」
「しかし…」
「ええい!儂らの楽しみを邪魔することは決して許さんぞ。もしそんなことをしたら、貴様という存在を『なかったこと』にするぞ!いいから貴様も自分の職務を全うせよ!」
「…承知しました。下界へ行って参ります。」
「ふん!全く…最初からそうすればよいものを…」
あの世もこれといって特に変わったことは無かった。概ねいつも通りであった。
四月七日
何故私なのだろうか
悪魔が傾ける杯をそっと支えるかの如く
その行動は英雄と呼べるものでありながら
誰もその偉業に気付くことは無い
私は見てしまった
この星の終わりを
そしてその原因を
あの男は言った
貴様にしか出来ないことだ、と
何故私なのか
これも因果というやつだろうか
あの時、あの薬を飲んだ時から決まっていたのだろうか
私に白羽の矢が立つのは必然だったのだ
己の愚かさが憎い
あんなものに手を出すべきではなかった
人が踏み込んで良い領域では無かったのだ
ペンを持つ手が震えている
ここまでで既に二十七回も修正液を使った
ひとまず今日はもう寝よう
これはきっと夢なのだ
泡沫の夢、浮世からのささやかな逃避
覚めない夢など無いのだから
ライバルズ楽しいです。




