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求道者、急襲

 


 ——— ——— ——— ——— ——— ——— ——— ———



 プレイヤーレベルが上昇しました

 Lv81→Lv82


 スキルのレベルが上昇しました

 《糸魔法:Lv4》→《糸魔法:Lv5》


 新たな称号を獲得しました

 《死上主義者との邂逅》



 ——— ——— ——— ——— ——— ——— ——— ———




 んなことはどうでもいい…!目の前の不気味な男から放たれる濃密な死のオーラから分かるのは、間違いなく今の俺じゃ勝てないという事実だけ。

 邪魔くさいウィンドウは消して、今は死なない事だけを考えろ…!




『………死の匂い…それも極上。そこな女…貴様は私を死に至らしめる事が出来るな?』


「わ、私ですか!?無理ですよ、私にはあなたを攻撃する方法が…」


『私には分かる…聖なる力に姿を隠した悪魔…。貴様…魔女の類か」



 奴はさっきから一体何を言っているんだ…?イロハは後衛で本人も言った通り奴を殺しうる手段などユニークを除けば持ってはいないはず。

 だが奴の目はイロハを捉えて離さない。それほど執心する何かがイロハにはある……でもそれをイロハが隠してるとは思わない。



「だ、だったら何だっていうんですか!私はあなたを殺せません!分かったなら早くここから…」


『どれほど掛かる?』


「…はい?」


『貴様が私を殺す為にどれほど掛かる、と訊いている。しかし私もあまり気が長い方ではない。そうだな…五日後。私は貴様らの住まう地に赴き、この命尽きるまで戦士を蹂躙する。総力を持って私を殺しに来るが良い』



 コイツ…全身ローブを着て魔術師のようなナリしてんのに、中身はまるで戦士のよう。さっき消したウィンドウ、確か名前は………《死の求道者レイガス》。そういう事か…自分を殺せる程の強者を求めている、と。


 だったら尚更イロハである必要が分からない。戦士が求める強者は戦士、と相場が決まっているが、それを覆すほどの理由をレイガスは持っている。


 色々考えてはみるがどうにもしっくり来ない。するとレイガスが初めて俺たちにも視線を向けた。



『男達もだ。私が可能性を感じたのはこの女だが、私を殺せる者であるならば誰であろうと構わん。そう世界に伝えろ。最も、貴様らに可能性は感じぬが』


「…へえ、言ってくれるじゃないか」


『盾の男、貴様はこの中でも最たる凡だな。よくもこの私に噛み付けたものだ。しかし旅人共は総じて死を恐れぬが、死を超えた死を纏った私の前で正気を保っていられたのは貴様が初めてだ。貴様は数多の中でも上位の凡だと認めよう』


「ムカついちゃうなぁ。あんまり舐めてるとそのまま噛み千切っちゃうよ?五日後だね、覚悟してろよ化け物め」


『覚えておこう、盾の凡人。これは先刻の獲物を奪ってしまった詫びと楽しみが出来た礼だ。蝶の残骸と共に受け取るが良い』



 これって…ミスティック聖骸布ぅ!?……何だよミスティック聖骸布って。レア度がイマイチ分からん。あとは睡鱗粉に封玉…御魂殺しなんて物騒な名前の槍もある。急に太っ腹だなオイ。



「………良いのかい?君は僕たちを殺したいんじゃ…」


『誰がそんな事を言った。私は殺したいのではなく殺されたい…正確には死にたいのだ。だが私を殺す可能性のある者以外は不要。なればこそ私はヒトを蹂躙せねばならぬ』


「随分と偏った思想をお持ちで。ならこれは遠慮なく頂いていこう。二人とも、帰るよ」



 一歩も動けなかったが為に今まで無視していたが、この空間の中央にはずっと魔法陣が浮かび上がっていた。最後まで相手にすらされなかった俺は奴の姿を目に焼き付け、確かな殺意と共にダンジョンを後にした。







 ——— ——— ——— ——— ——— ——— ——— ———







 その頃、魔界全域にて。




 ——— ——— ——— ——— ——— ——— ——— ———



 緊急クエスト《求道者、急襲》が発生しました。

 120時間後、フロイラインにてクエストが開始されます。


 イベント形式:レイド・防衛戦

 出現敵:《死の求道者レイガス》(ユニークモンスター)



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 唐突なシステムメッセージに魔界は混乱に陥っていた。直ちに準備に取り掛かる者、現実世界へ戻り情報を収集する者、最前線へ辿り着いていない為に我関せずとする者。


 フロイライン北方の森にて素材収集を行なっていたロビンは、第四の選択肢を取っていた。




(ユニーク…なるべく関わりたくねえっすけど)




 目立つ事を良しとしない彼は、ログイン中のメンバーと連絡が取れない事を危惧しながらも我が道を征こうとしていた。


 何故なら彼の役職は斥候。しかしこのように場所も時間も分かり切っている場合は役割がない。まして彼のプレイスタイルはレイドイベントに全くと言って良いほど向いておらず、そういった面でも消極的になるのは無理もない。




(まあ、シンさん達がやるってんなら手助けはしますけど、どうにも…ね)




 山のようにレア素材を回収しながら、彼は一抹の不安を抱くのだった。



ミスティック聖骸布:めっちゃ光ってる聖骸布。神聖過ぎてインベントリに入れてるだけで心が浄化されるとかされないとか。

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