輝蝶は舞う、夢幻のように―2
衝撃…だけど会ったばかりだからかすぐに受け入れられた。ロールプレイとかではなく実の姉弟ってすごいな。俺だったら恥ずかしくてやってられないかもしれん。
そしてこれからタクさんが何かしでかしたらミサさんに報告すれば良いということだな。よしそうしよう。
「シンくん、何か悪いことを考えている顔だね…やめてね?」
「気分次第っすね」
「君…このクラン向いてるよ」
「姉弟で同じクランに所属してるってことは、お二人ってとても仲良しなんですね!」
「やめてイロハちゃん、それだけは本当に違うから。ここに入ったのは本当に偶然。似た者同士と言われてしまうと否定は出来ないけどね…」
タクさんから哀愁が漂っている。仲が良いと言われるのが本当に嫌なんだろうな…。
「あれ?でもフルネームってミスタークさん……まさかミサさんって!?」
「イロハ、どうかしたのか?」
「どうしたもこうしたもありません!水沢姉弟を知らないんですか!?」
「…………………知ってる。知りすぎてるくらいだ」
そうか…そうだったのか!なら早くクランハウスに戻って問い詰め―――。
「どこへ行こうというのかね?」
「いやミサさんに聞きたい事が…」
「必要なオリハルコンは二人分。ついでに聖骸布もこの雑魚からランダムドロップするからそれまで帰れないよ?」
「どうしてだよぉぉぉ!!!」
「君はどこの賭博狂いなんだ。さー、切り替えてがんばろー」
R・I・P。
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「《白弦掃射》!!」
「シャアァァァ……………」
「二人ともやるね。シンくんはまだレベル上限に辿り着いてないとは思えない火力だ。隙さえあれば攻撃してくれるその嗅覚もタンクからしてみれば有り難い」
「タクさんこそ最高っす。なんなら俺らしばらくノーダメージですし。どんなヘイト管理してるんすか」
「ヘイト管理?とかはよく分かりませんけど私はやることないですね…。二人とも体力減らないんですもん」
あれからさらに1時間。イロハが奇跡的にオリハルコンを山のように掘り当て、ウハウハ気分のまま聖骸布周回に勤しんでいた。
このダンジョンには名前の通り蝶々や、コウモリなどの暗所に棲息するモンスターが中心になっていた。基本的にはボス部屋を目指しながら目に入ったモンスターをひたすら狩るスタイルだったが、まさかのメインアタッカーが俺。いや…俺?
最初は火力不足かとも思ったが、思い付きでやってみた掃射が大ハマり。細い硬糸を複数放つこの技は敵が多い時は勿論、敵が少数でも俺の意思で狙った敵に集中させることができるので、雑魚狩りにはもってこいだった。
ちなみに洞窟内はあまり広くないのも俺がメインアタッカーに選ばれた理由だ。イロハはそもそもアタッカーではないし、タクさんがダメージを出そうとしてもメインで使っているのが巨大なメイスらしいので、必然と俺がやらざるを得なかった。
その代わりにタクさんは攻撃を全て受け持ってくれるし、万が一被弾してもイロハが回復してくれる。たまーに蝶々が付与してくる麻痺を食らったりもしたが即解除。サポート体制はバッチリだ。
じゃあタクさんはどうやって一人で雑魚狩りしてたのかって?その答えは手に装備している禍々しい小盾にある。
「それにしても…ヤバいっすねその盾…」
「カースドバックラー、姉さん作の半ユニークウェポンさ。素材が悉く貴重なせいで2個目は絶対作りたくないって言ってたからね。効果は攻撃してきた相手にランダムな呪いを付与するっていう、ある意味呪われた装備だね」
「試しにシンくんが攻撃した時は焦りましたよ…。まさか猛毒が付与されるなんて。私が解除できる毒だったから良かったですけど…」
「いやー、ほんと良かったよー。…即死引かなくて」
こっわ!?殴ったらカウンターで即死って何だよ!?デバフじゃなくて呪いって文言なのもそれのせいだろ!!
しかも普通にパリィのダメージも入るし。今度からあの盾には絶対触らんようにしよう………。
良い加減気も滅入ってきたし一旦洞窟から出たいな。この蝶とコウモリの翅だらけのインベントリも整理したいし。
「イロハー、今すぎビギナーズラックって使えたりしない?」
「そんな能動的なものじゃないと思うんですけど…」
「そればかりは同意だね。まあオリハルコンもこれだけ回収出来たし、そろそろボスに行ってもいいかもしれないな。確かボスの方がほんの少しだけドロップ率が高いって検証班が割り出してたはずだから、ボス周回に切り替えるのもありだね」
「是非ともそうしましょう。弓ばっか使ってるの飽きました」
そんな訳で雑魚をほぼ無視してボス部屋まで突っ切ってきた。タクさんの話によるとここのボスは巨大な蝶々で、鱗粉を飛ばして麻痺や毒を付与してくるので安易に近付かない方が良いとのこと。
弓を構え、開いた扉の先には確かに巨大な蝶がいた。
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《ナイトドリーミング・パピヨン》と遭遇しました。
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「…まずい、レアエネミーを引いてしまったようだ」
「ごめんなさい」
………間違いなく俺のせいだ。
シン「これ表示されてないだけで、LUKマイナスなんじゃね?」




