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Syzygy Love  作者: おきついたち


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9/9

おまけ話「四男伊万里」

えーここまでお付き合いして貰うてありがとおございました。

最後の紹介になるんやけど、四男オレの話も聞いてください(ぺこり)。


星ちゃんと同じで、オレもゲーム大大大好き。

けど星ちゃんと違うて、それなりに現実と線引き出来とるつもり。

せやから実家通い出来る大学選んで、潰しが効くプログラミングの勉強しとけば。

実益兼ねた仕事と生活とがエエ感じにやって行けるんちゃうかと計画しとる。

堅実過ぎてつまらーんて言われそーやけど。

オレにとっては今それが一番重要なんや。

大して取り柄の無いオレを選んで貰うんには、それくらいしかナイもんな。

だからまず志望大学に合格出来たら。

カノジョをみんなに紹介して、本気なんを伝える。それが今んとこの目標や。


そおなんですぅ、ただいまカノジョとラブラブ中でっす♡

去年のクリスマスに覚悟決めて告ったらOK貰えて。

それからは毎日夢みたいにほわほわしとる。

だってホンマに自信無かってんもん…。

兄ぃ達はみんな180センチ前後の身長あって、顔もオトナぽいのに。

オレと星ちゃんは160ちょいでガリやし、何んかいつまでもコドモ顔や。

制服姿は見慣れても、ブレザー着たら今でも七五三とか言われてまうし。

そんなオレやのに。

好きになったハユンちゃんは2個上で、日本語専門学校卒業して働いとお社会人。

そんでボーイッシュなショートヘアに身長174センチ。

デートしとっても姉弟と間違われたことが何回もあって、凹む。


でもな、ハユンちゃんからは年下とか弟扱いされたコト無いねんで。

ハユンちゃんが働いとおモールはインターの近くにあるでっかいヤツ。

そこのゲーセンは雰囲気もセレクトも良えんで、オレのお気に入り。

最近はインバウンド向けのセッティングもあるから観光客もようけ居る。

オレが友達と遊んどると、盛り上がり過ぎの観光客がちょおトラブルなりかけたコトあって。

広いゲームフロアがざわざわ不穏モード。

そんな中でハユンちゃんは落ち着いた笑顔で、何カ国語か使おて丁寧に接客して。

ケンカ腰やったヤンキーと観光客はゲーム対決して最後はグータッチ。

キブン悪いトラブルを旅行の思い出に変えてもた。

ゲームは国境を越える、んもすごいけど。

ハユンちゃんが何語使うてるのか判らん中で、ひとつだけenjoy言うンが聞こえて来て。

胸がドキンてしてもた。

ルール持ち出してなだめるんや無うて、楽しい解決方法へ案内する笑顔がめっちゃ眩しいて。

一目惚れやった。

そんでオレはひたすらゲーセン通うて。目に付く場所で高得点出してみせたり。

顔覚えて貰うてからは、毎回ちょおっと手ぇ振ったり話掛けたりして。

そしたらハユンちゃんもゲームやアニメ好きて判ったから、映画やイベント誘って。

須恵兄からオシャレ服借りたり、瀬戸兄から女子ウケする店教えて貰うたり。

そんな風にオレがテンパっとるのがバレバレでも。

ハユンちゃんは眩しい笑顔で楽しいとありがとうを何回も言うてくれる。

始めは上手くエスコート出来とるやろかて、緊張ばっかやったけど。

すぐに何んでも一緒に楽しめるキブンになれて。

そのうち一緒に居れば何んでも楽しいて思うよおなって。

クリスマスの夜、ハユンちゃんの仕事が終わる時間に従業員通用口で待ち構えて。

クリスマスローズの花束とホカロンで温め中のタイ焼きを渡して。告ったんや。

「ハユンちゃん大好きです。一緒に居るといつでもずっと楽しいんや。

年下でまだ学生やけど、オレのこと好きなってください」

そしたらハユンちゃんはニコニコ笑うて。

「はい。わたしも、ずっと前から伊万里くん大好きですヨ」

「ほんならほんなら!カノジョなってくれる?付き合うてくれる?」

「それは、その…少しなら、なれます」

「すこし?」

ハユンちゃんはうつむいて黙ってもて。

オレは何がアカンのか判らんで、ただハユンちゃんの次の言葉を待つしか出来んくて。

やっと長い沈黙の後にハユンちゃんは顔を上げて、じっとオレを見て言うてくれた。

初めて見る、涙が波打つ悲しい目は忘れられへん。

「わたしは、勉強した日本語をたくさん使う、仕事見付けました。とても気に入ってます。

もっと日本語上手くなって、上の資格に合格して、仕事続けたいです。

でもわたしみたいな外国人たくさん居て。

ビザや永住権のために日本人と付き合ってるて、思われます。悪く言われます。

それはわたしだけ、では無くて。伊万里くんも悪く言われます。

家族から嫌われることも、あります。だから」

「あ、それは無いワ。ぜったい」

「え?」

重い空気をオレがぷちっと切ったんで、ハユンちゃんはぱちぱち瞬きして不思議顔。

うひゃあカワエエ~♡


え~とにかくな、もおソレだけは断言出来るもん。

兄弟5人居ってオレだけやで?家族にカノジョ紹介出来るンて。

須恵兄や瀬戸兄が「跡継ぐンはおまえに任せた」てほっとするんが目に浮かぶもん。


「あんな、全部を説明するんは難しいンやけど。ウチの家族はそんなん気にせえへん。

いやそーゆーコトよりも。

あの、ハユンちゃんの気持はどおなんやろ?少しや無うて。

明日も明後日もオレと居たいて思うてくれる?オレはそれだけでエエねんけど…」

あんなカワエエ顔してくれるハユンちゃんをもお離したぁ無い。

カッコ悪いけどオレも必死や。

そしたらハユンちゃんはいつもより100倍眩しい笑顔になって。

そんでぎゅっとオレの手を握ってくれた。

「伊万里くんと、手を繋いで、タイ焼き食べて。いつもの信号まで歩きます。

そして、また明日て毎日言いたいです」

明日・明後日・明々後日…日本語難しい、てハユンちゃんが笑うてたコトあったけど。

そおや毎日明日て言えば、ずうっと一緒や。

そんでハユンちゃんが屈んで、オレの頬にキスしてくれたから。

毎日ハッピーエンドの始まりや。やったー!



ほんまは少おしハユンちゃんが言うコトも判っとる。

ニュースとかネットコメントとか、色んな場面で乱暴な言葉が更新されとおし。

日本がイヤなることあってハユンちゃんが韓国戻ってまうとか。

この先3Dあみだくじみたいに迷うたり悩む分岐点はようけ有ると思う。

そんでもきっと。

大好きな人と手ぇつないで進むんやったら、どのルート選んでもそれが正解になるはずや。

「ハユンちゃん大好きや」

「ふふふ。わたしも、伊万里くん大好きです」

左手のタイ焼きは温うて甘あてサイコウで。

右手の中にあるハユンちゃんの細い手はもっともっとホカホカで柔らかやった。





そんなカンジでこれからも、六弘兄弟はそれぞれ元気にやって行きまあす。

ほんならまたな~。

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