新メニュー:湯葉料理(1)
マスターは閉店後に、新メニューの検討を始めた。
マスターの考えでは、
「関西ではポピュラーであっても、関東ではそれほどではない食材」
「美味しさをそれほど知られていないものを取り入れたい」
という事である。
これについては、涼子も一言ある。
「今までなじまなかったから、根付いていない部分もある」
「少しリスクも感じる、素材だけ仕入れて、売れないと損も出るから」
涼子の後任となる美幸も、検討会に参加している。
「そもそも関西風の味付けと関東と違うから、難しい部分もあるかもしれません」
「・・・まあ・・・それでも・・・」
「私としては、ちょっと気づいたんですが」
その美幸にマスターと涼子が注目した。
「湯葉のメニューって関西のうどん屋さんで見たけれど、こっちだと高級和食店でないと、出していないので」
美幸は、慎重にマスターと涼子の顔を見た。
「う・・・そう言えばそうだ」
マスターは、腕を組んだ。
その目も輝いている。
「ほお・・・湯葉かあ・・・」
「それほど難しくなく」
「なぜか、こっちでは・・・だね」
涼子も頷いている。
「こっちだと、そのまま豆腐にして食べたのかな」
「江戸っ子は、せっかちで、湯葉よりは・・・」
美幸は、なんとなく分析をしている。
「となると・・・大豆は産直市で」
「醤油、味噌、卵も産直市で入るな」
マスターは、ニコッと笑った。
「何か作ってみるよ」
そして、そのままキッチンへ消えた。
「こういう時は待つしかない」涼子
「豆乳を煮ている香りがします」美幸
「あえて手伝わない」涼子
「卵を割る音もしています」美幸
「あ・・・わかった・・・あれは美味しい」涼子
「うん、私も大好きです」美幸
さて、新メニューは何でしょう・・・




