第七話
「ねえねえ、小津くん。」「なんだよ。」「コンビニ行ってきてもいい?」「勝手にしろ。」「ついでに小津くんもつれていく。」「くたばれ。」「死ぬのはお前だ。相棒。お前のいる教室にムカデとサソリを100匹ずつ放った。」「うわっ、何をする。くぁwせdrftgyふじこlp。」「死んじまったじゃねーか。バカ野郎。」「こっちだって空腹で死んじまったぞこの野郎。」
ゆるキャン△より。
俺と津野田の戦いは意外にも熱戦へともつれ込んだ。津野田は慣れているのか支給された武器を使い、俺に攻めてくる。俺は武器はあまり使いたくないため支給されたが皆にはあまりお勧めしないといった。武器を使えばどうしても相手の有利不利が分からなくなってしまうからだ。
「小津海斗、頼むからここでやられてよ。」
津野田が武器を振るいながら叫ぶ。俺はそれをかわし、こたえるようにして反発する。
「どうしてだ?俺が負けることでお前に何か利点でもあるというのか?」
「あんたが倒れれば私はまた成長できる。中学の頃のように。」
俺はそれを見てないか思い立ったように教室から勢いよく駆け出した。
「悪いが、そういうことならなおさらだ。俺は負けないね。」
「くそっ!待て。」
津野田は俺についてくるようにして教室を飛び出した。
「負けないといった理由は2つある。一つ目は俺とお前がどのくらいこの辺の地帯を知っているか。」
「ッ…。」
俺が廊下を飛び出したのはまごうことなき状況を有利にすること。転校したての俺でも毎日ここを通っていればさすがに覚える。だが、津野田は俺とは違ってこの辺りをよく通らない。二年生の廊下は一年生と違って形が複雑だ。一般的にはこの道は通らず、反対側のきれいな道を通る。だが、俺はあえてそこに行くことで津野田にとっては見知らぬ道となる。
「な、なんなのよここ。こんなの廊下じゃない。」
「知るか。やったのは俺が来る前からだから、俺に聞いても答えはこないぞ。」
「わかっているわよ。」
そういいながらも津野田はアスレチックのような廊下をひょいひょいと潜り抜けていく。
さすがだな。そういうものに対する知識はたくさんあるということか。だが…。
「こっちもプライドがあるからな。そう簡単には負けていられない!」
俺は廊下を渡りきるとそのまま一年生の廊下へと進んでいった。
「逃がすか!!」
ひええ…。まだ追いかけてくるよ。全く、しつこい奴を敵に回したなぁ…。でも。
「よし、このくらいでいいだろう。」
俺は止まり、追ってくる津野田に向かってラリアットのポーズをした。
「!?」
驚いたのは津野田のほうだ。今まで逃げていた相手が急に攻めてくるようになったから、衝動的に動きが一瞬、止まった。
いまだ!
俺はその一瞬を逃さず、接近し比較的ダメージの残らないようにして津野田の腹に叩き込んだ。
「うぐぅ。」
津野田は俺にもたれかかるようにして倒れた。
「悪いな。俺はあんまり手加減ができない。お前をここで仕留めたのはなるべく人に見られないようにするためだ。それに…俺は一瞬あればお前をしとめることは容易なんだよ。」
俺はそうつぶやくと1-2のクラスへ行き、気絶している津野田を1-2の先生に伝えるとリタイアという形にしてもらった。まぁ、入ってきた瞬間、ものすごい目で見られたけど。
かくして1-2の敗退が決まったところで俺はクラスに戻った。残るは3-2と俺たちだけだ。そして、おそらくクラスにいるであろうあの人物を見ると俺は一つ息を吸い込んだ。
「やぁ、委員長。」
「やぁ、小津くん。」
委員長は最初、黒板のほうへと席を向けていたが俺が入ると俺のほうを向くように姿勢を変えた。
「どうしてこんなところに?」
「いやぁ、もう戦いは終わったからね。」
「終わった?どうして?」
「3年生の人がリタイアをすると宣言していたのを聞いたからね。もう大丈夫だと思って教室まで来たんだ。」
「そっか…。他のみんなは?」
「これから来るそうだよ。僕は先に来て状況を見ておこうと思って。」
「なるほどな。とりあえず、俺たちが勝ったってことでいいのか?」
「そうだね。今、3年生がリタイアを宣言しにいくからそれが承諾されれば勝利かな。」
俺は委員長の前に座るとゆっくりと口を開いた。
「なぁ…。お前が俺の中学のことを知ったのはいつだ?」
「うーんと2年前だね。」
「じゃぁ、お前があの人につき始めたのは?」
「2年前だね。」
「もひとつ、いいかな。そのきれいな指はどうしたんだい?」
その時、委員長は気づいただろう。自分の指が思っていた以上にきれいになっていたことに。
「君のような勘のいいガキは嫌いだよ。」
やはりそうか…。俺の予想通りだった。
俺は教壇の間に隠れている御厨を呼んだ。
「御厨、やっぱりこいつだった。こいつが俺たちの敵だ。」
「そうだね。委員長の行動はすべてこのカメラに記録されているからね。」
御厨はカメラを片手に、にひひというとさっきの映像を見せた。そこにはここにきて俺たちのクラスの旗を探そうとしていた委員長の姿がばっちりと映っていた。
「お前ら…。旗をどこへやった?」
「それにこたえる必要はあるか?」
「ある。僕はお嬢様のため、お前たちに負けてもらう必要がある。」
「そっか…。なら、しょうがない。」
俺は御厨を呼ぶと掃除用ロッカーを指さした。
「あそこに隠してある旗を持ってきて。」
「え、でも。」
「いいから、俺を信じてくれ。」
「う、うん。」
御厨はそういうとロッカーの中に隠してある旗を持ってくると俺の手元に渡した。
「これ?」
「ああ。」
そして、俺はそれを委員長の前に持って行った。
「ほら、委員長。持って行けよ。俺たちの旗だ。」
それを見た委員長は勝ち誇った態度を取った。
「いいのかい?本当に。」
「ああ、お前がお嬢様のためというのなら仕方がない。持って行けよ。」
「あ、ありがとう。」
委員長はそのまま、俺たちの旗をつかむとダッシュで駆け出して行った。
それを見た俺はニヤリと表情を浮かべるとポケットに手を入れるとさっき自分が座っていた席に着いた。
「いいの?あれで。」
「ああ。それに結果はすぐに分かるよ。」
その時、チャイムが鳴った。
『3-2組のリタイアが認められました。よって優勝は2-4組です。おめでとうございます!』
ほら…。やっぱりそういうことなんだよ。残念だったな、委員長。
「…。」「…。」「すまん。」
ポプテピピックより。
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