第八話
「ねえねえ、小津くん。」「なんだよ。」「クラスマッチ…。終わっちゃったね。」「ああ、だが結果的には優勝できたんだ。少しは自信を持てって。」「そうだね。よし、今から一山登っていくわ。」「アホ。今から本編始まるんだよ。」「そっか!!」
◇ その後、2-4組
俺は教壇の前に立ち、缶コーヒーを片手にみんなに向けて言った。
「えー、ということで我々2-4組は優勝しました!これもみんなが頑張ってくれたおかげだと思います。それでは…。乾杯!!」
「「乾杯!!」」
俺たちはクラスマッチを優勝という最高の形で終えた。賞状は後日、海外の旅行チケットと一緒についてくるそうだ。
「やったな、小津。」
攻撃陣のリーダーが俺の前に来て缶を差し出した。俺はそれにこたえるようにして缶をたたいた。
「ああ、本当にありがとう。こうして優勝できたのはお前たちのおかげでもある。良く獲ってくれた。」
「そんなことないよ。これもすべてはお前の采配のおかげなんだから。じゃ、俺は向こうでみんなと飲んでいるから。」
「ああ。」
飲んでいるといっても俺たちは高校生だ。酒なんぞ飲めるわけがない。ということでジュースをそれぞれ手にしている。俺は特に好きな飲み物というものはないのでコーヒーを手にしている。
コーヒーって意外とうまいものだな。
「どういうことよ。」
俺の後ろにいたのか御厨が俺に聞いた。
「どういうことって?」
「とぼけないで。あの時、あなたは委員長に旗を渡したでしょう。」
「確かに。」
「だったらどうして私たちが優勝なのよ。」
俺はコーヒーを飲むと窓を開けいった。
「あれは、ダミーさ。お前に作らせたもののほかに俺が特別にもう一つ作った。きっと、使うことになるだろうなと思ったからだ。ルール上、『旗の複製をしてはいけない』というルールはないのは知っているだろう。なら、何個作っても問題はないということだ。このゲームの開始直後、お前が作ったダミー2つを俺は攻撃陣のリーダーと防御陣のリーダーに渡した。その理由は単純、あいつらが本当に旗を持っているかどうかを他クラスが確かめるためだ。」
「じゃあ、あのトランシーバーは?」
「あれは実際に連絡を取っていたが、支給されたものには2つ連絡できるようになっていた。だが、俺は2つ目を使わず、1つで交信をしていた。」
「でも、それなら攻撃陣も防御陣も同じ連絡をすることになるじゃない。」
「それでいいんだ。まず、俺がなぜ4つあったものを2つに絞ったかというと戦力を増やすためだけじゃなく、連絡を一方通行にするためでもある。4つも連絡することになればさすがに2つ使うことになるからな。相手には一つ目を見せ、2つ目がどこかにあると錯覚させる。だが、実際は1つしかないから取られたら終わりという過酷なこともしていたということだ。」
「でも、それがすべてあなたの思い通りなら本物の旗はどこに?」
俺は御厨のポケットを指さした。
「この制服がどうしてこんなにポケットが深いかわかるか?」
「さあ…。ってまさか。」
御厨がポケットを探ると旗が出てきた。
「ポケットは本人が気づかなくても最高の隠し場所になるんだ。旗が大きいから少し苦労したけど何とかなったよ。俺がお前を最終まで教室から移動させなかったのはなんでだと思う?」
「…。私のポケットに旗があるから。」
「そういうこと。お前は運動神経がいい、正直、この役をするのは別にお前じゃなくてもよかったんだ。俺が一週間近く、外で遊ばせた本当の理由は運動神経のいい女子を探すため。そして、そいつにこの役をやってもらおうと思ったからだ。まぁ、初日にお前が山を登るということを聞いたとき、すごい運動神経を持っているな、こいつにしようと思っていたけどな。」
俺はそういうとゆっくりとコーヒーをすすり、暗くなっていく外を眺めていた。
◇ その後、3-2組
「あなたというひとは!!」
「うぐっ。」
白石美由紀のものすごいビンタが教室中に響き渡った。
「ですがお嬢様。提出したのはお嬢様自身で確認したじゃないですか。」
「…。そう、ですわね。」
白石美由紀は席に座るとクラスを見た。そしてつぶやいた。
「今回は私の…。いえ、私たちの完全敗北ですわ。でも、次は負けない。必ずあなたを敗北に味合わせてやる。小津海斗。」
白石美由紀はメモ帳を取り出し、許さないリストに小津海斗の名前を一番に書き出した。
◇ その後、1-2組
「ハッ!ゲームは?」
津野田優花は目覚めた。そして、周囲を見たが誰も目を合わせない。
「そう…。負けたのね。ごめんなさい。私一人で解決しようとか考えてしまって。」
その言葉に一人の女子生徒が近づいた。そして津野田を抱きしめた。
「ううん、優花はよくやったわ。私たちがもっとよくすれば優勝もできたわよ。」
その言葉がキーとなったのか、津野田は泣き出してしまった。
「わぁぁぁぁあー。」
「泣くなって。今回は負けたけどまた、次は勝とうぜ。」
「そうだよ。1年生の意地はこれからだ。」
「そうだそうだ。」
1-2組の輪が津野田を中心に結ばれたような気がした。
◇ 2-4組
「そういえば、委員長は?」
俺は御厨に聞くが御厨は首を横に振った。
「わかんない。気づいたらどっかに行っちゃってて。」
「そうか。」
多分、あの人のところだろうな。だが、俺にはあの人たちに恨まれている理由が全く分からない。覚えていないだけなのか、それとも、俺が忘れているだけなのか。
「ねえねえ、小津くん。」
「なんだよ。」
「小津くん、ちょっと笑顔になった。」
「そうか?」
俺は自分の顔を窓ガラスで見た。
なんて顔をしているんだよ、俺。
それは、以前までの小津海斗だったらできなかった笑顔だった。
俺は窓を閉め、祝福しているみんなのほうへと向かった。
「さぁ!今日は飲むぞ!!」
「「おおっーーーー!!」」
「ねえねえ、小津くん。」「なんだよ。」「私たちもチーム名決めない?」「チーム名?」「だってさ、私たちのクラスだけチーム名がないんだよ。」「そもそも、ほかのクラスにチーム名があったことに驚きだよ。」「ふむ…。候補は?」「リ〇ルバスターズ!」「誰も野球チームは作らない。」「じゃぁ、ゴース〇バスターズ!」「アホか。俺たちの相手は幽霊じゃねーよ。」「うーん、じゃぁチーム名は後回しだね。」「絶対につけないからな。」
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