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生前やっていたゲームの悪役令嬢に転生した私はヒロインに求婚されましたが、ヒロインは実は男で、私を溺愛する変態の勇者っぽい人でした。私、前世でナニかやらかしました?  作者: DAKUNちょめ
エピソード【その後の二人…永遠のバカップル多し】

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聖女の祈り─月の輝く夜の帳に─は乙女ゲーム。10

「もう、今さらサイモンのニセ前世の記憶消すとか彼の存在そのもの消すとか、出来ないのよね。だから、もう完全に失恋して貰うしかないんだ!」


ミァちゃん、心無しか楽しげに見えるのは気のせいだよね?


「失恋…あいつの性分ての?ほぼ俺なんだろ?目茶苦茶諦め悪そう…俺のライバル、俺って最悪じゃねーか。」


大きな溜息と共に両手で顔を覆うレオンハルトに、イラっとしたディアーナが背中を叩く。


「レオンが、しっかり私を捕まえていてくれないとヤバイのよ!私の中にも乙女ゲームの設定らしきモノがあるっぽいんだから!」


「マジで?……親父、なんつーいらん事を………」


目が据わった状態でミァを見るレオンハルトに、悪びれる様子も無くミァが、言う。


「乙女の気持ちでゲーム作っていたら、楽しくなっちゃって…!こちらの世界の実在の人物にも影響与えちゃう事、忘れてたの!ごめんね!」


「「開き直るな!バカァ!!!」」


ディアーナとレオンハルトの声が合わさる。



珍しく、人の世に用があるからと創造神界に戻らず人の波に紛れて行ったミァと別れ、ディアーナとレオンハルトはハァ~ハァ~と何度も大きな溜息をつく。


「これはもう、イライザの婚約御披露目が済んだら、さっさとラジェアベリアを離れるしかないわね。そして、もうこの国には帰らない。逢わなければ何とかなるでしょ?」


「そうだな……なぁ、今さらだが親父、手書きの攻略メモか何か置いてったぞ……見る?」


「……一応…」


あまり良い予感はしないが、前以て分かっていれば回避出来る状況もあるかも知れない。二人でメモを覗き込む。



━━━サイモンルート━━━


★ハッピーエンド★

サイモンがディアーナへの想いを、前世、幼い頃の過去と共に断ち切ってオフィーリアに愛を捧げ、結ばれる。


聖女として目覚めつつあるオフィーリアを護る騎士として、共に旅に出る。


ラジェアベリアに戻った後は、次期ヒールナー伯爵となるサイモンの婚約者となる。


(ちなみにディアーナはスティーヴンと婚約継続)


★バッドエンド★

サイモンが、ディアーナへの想いを断ち切れず、侯爵令嬢であるディアーナを無理矢理拐い、国外へ逃亡する。


その後の二人の行く方は誰にも分からない。


(オフィーリアは一人寂しく卒業。)



「なんだ、これ……こんな、必要ない設定作り込むなよ!香月、ここまでやりこまないから!つか、バッドエンド!拐われてるやん!私!しかもその後不明とか怖いわ!」


「……この、バッドエンドと同じ結果を起こさないか…心配な所だよな…何しろ俺だし。」


スティーヴンルートでの、断罪シーンからのディアーナをお持ち帰り的な、ある意味前科持ちのレオンハルトが深刻な顔をしている。


「クソゲーか!めんどくさいわ!こんちくしょう!」


ディアーナが苛立ち過ぎて、ぎりぎりと歯ぎしりしながら拳を握り締めふるふると震えている。


レオンハルトがふ、と考える。


もし、サイモンが本当にスティーヴン王太子暗殺を目論むような輩ならば、国外逃亡も有り得ない話じゃない。

その際にディアーナを拐って……?


「……いざとなったら……俺殺し…だな。」


レオンハルトの表情が、ディアーナの見えない場所でスッと凍ったように冷ややかになった。





ディアーナとレオンハルトは、ディングレイ侯爵邸に向かった。


ディアーナの実家にあたるディングレイ侯爵邸はヒールナー伯爵邸より王都の中心、王城に近い場所にある。


当然、屋敷の規模もヒールナー邸より大きく、王太子の婚約者だったディアーナはこの屋敷では女帝のように我が儘の限りを尽くした。


今現在のディアーナにはその記憶が微妙に残っている。


「お、お嬢様!!」


門の前で見知った顔を見つけ手をあげる。


「お久しぶり!急にごめんね!王城に用があったから、ついでに挨拶に寄ったの!」


門の近くに居た使用人達が、驚いた顔でディアーナを見る。


彼等の知るディアーナと余りに違うディアーナの姿に、どう反応して良いか分からないようで、互いの顔を見合いながらおろおろしている。


中には不安と恐怖を色濃く顔に出す侍女も。


「ディアーナ……悪役令嬢って、凄かったんだな…」


「み、みたいね…あはは……」



従僕の一人が邸に呼びに行ったらしく、年老いた執事がやって来た。


「おかえりなさいませ…ディアーナお嬢様……ですが…」


アプローチへと続く、鉄の門扉は開けられない。


「そうね…わたくしは、この家の者ではないのですものね。入れないわね。」


ディングレイ侯爵家の役に立てなかった者は、血の繋がった娘でも必要が無いと切り捨てた侯爵に、ディアーナは悲しい気持ちには一切ならなかった。


「レオン、どこか宿でも探しに行きましょ。」


「それで、いいんだな?ディア……」


「何をしているんだ!門扉を開けろ!」


レオンハルトの声に大きな声が被る。

見た事の無い、若い男が使用人達に指示をして門扉を開けさせる。


「ディアーナだね?はじめまして、俺はリジィン。君の実兄だよ。」


……………は?実兄?

そんなヤツ、知らん!だけど…


「はじめまして、お兄様。お会い出来て嬉しいですわ。」


後継ぎの居ないディングレイ侯爵家の存続が掛かっている。

血縁の無い養子が後継ぎとして認められない以上、実は居たんですよね!後継ぎの長男!が必要。


………母が。


「忘れていたわ…父よりも食えない、母の存在を。」


リジィンに、いい笑顔を見せながらレオンハルトだけに聞こえるように呟く。


「…ディアーナ…面倒事がてんこ盛りだな…。」


同じくいい笑顔を見せながらレオンハルトが呟いた。




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