46# 師匠、お兄ちゃん、お父さん
「何で、お父さん?せめて、お兄さんにしてくれないかな?」
気管が詰まったらしく、ジャンセンがゼーハーゼーハー激しく呼吸を繰り返している。
「こないだまで、師匠の事、お兄ちゃんみたいとか思ってたんだけど…何か違うのよね」
そもそもディアーナには兄なんて居ないのだが。
「ところで、師匠、いや、お父さん、いや、ジャンセン」
「しつこい!すね毛だとか、変態だとか、ちゃんと人の名前を呼べ!」
ジャンセンの意見は無視する。
「ネリチャギって知ってます?」
「はぁ?」
何の会話をしているのだろう。私達は。
「こないだから、頭の中に声が響きますの…兄直伝のネリチャギがマスター出来れば、向かう所敵は無し!みたいな声が…」
「…料理の名前か何か?」
ジャンセンの意見に、ピンとこないとディアーナは腕を組んで首を捻る。
バン!!
乱暴にドアが開く。
心配そうにオロオロするスティーヴンを後ろに連れて
笑える位に見た目がズタボロになったレオンハルトが立っていた。
「てめぇ…!ジャンセン!言いたい事だけ言って、さっさと帰りやがって!」
「崖から転げ落ちたそうなんですよ、レオンハルト殿」
コソッとスティーヴンが言う。
肩で大きく息をしながら、いきり立つレオンハルトにディアーナが声を掛かる。
「ネリチャギ!!」
「あぁ!?テコンドーの技がどうしたぁ!!」
「それな!!」




