27# コントロールは抜群
「あ、ディアーナ目が覚めたんだ?目が覚めたら腹が減るだろうと思って果物買って来た!」
ドアが開いているとはいえ、ノックも無しに婦女子の寝室にズカズカと入って来るレオンハルトに、ディアーナが枕を投げ付ける。
「ちょ、ひどいな!また、兵隊さん達の所に行ってお話ししなきゃいけないのに、枕で頭割れたらどうすんの!」
手にした果物を庇って枕を避けたレオンハルトが口を尖らせる。
ディアーナは軽く舌打ちをして、レオンハルトを睨み付けた。
「割れたらいいのに…変態御子様、ノックもなく部屋に入って来るなどあり得ませんから…今度はラリアットをお見舞いしますわよ…」
「ら、りあっと?とは…?」
聞いた事の無い言葉にスティーヴンの頭上にたくさんの疑問符が浮かぶ。
「多分この間、往来でのされた時のより危険な技の名前なんだろう?」
笑いながら答えるレオンハルトの姿に、スティーヴンが何とも言えない顔を向ける。同情にも似た。
「…何だよ、王子サマ」
分かっているから、と応えるように目を伏せるレオンハルトは、スティーヴンにしか聞こえない小さな声を出す。
「これでも、傍に居られるってだけで幸せなんだって」
想いが届かなくても?
スティーヴンは声に出せない問い掛けを飲み込んだ。




