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26# 記憶にございません

「まったく、覚えておりませんわ」


町にある宿屋の一室で、ベッドから起き上がったディアーナがのたまう。


ディアーナが気を失ってから1日が経った。

宿屋の自室のベッドに運ばれ、たった今目を覚ましたばかりである。


近くにレオンハルトはおらず、警護の意味も兼ねてスティーヴンがディアーナの部屋の前に居たのだが、呼ばれて部屋に入った。

婚姻前の淑女の部屋。当然、ドアは開け放したままで。


「なら、どこまでなら覚えている?」

開いたままのドアの脇に立ち、スティーヴンが尋ねる。


「地下室から階段を上がっている途中で、殿下と陛下にすごく腹が立った事は何となく覚えてますわ…ブッ飛ばすぞハゲ!と陛下に思った事は覚えてます…」


「めちゃくちゃ不敬だな!それは!」


淑女どこ行った。

スティーヴンがカクンと姿勢を崩すが、気を取り直して再び問う。


「ディアーナ嬢…レオンハルト殿が居ない今のうちに尋ねたいのだが、ディアーナ嬢にとって、レオンハルト殿は…その…何だ?その…レオン、と呼ぶとか…」


ディアーナの顔が曇る。不快そうに歪む。吐き捨てるように言う。


「わたくしを…手ごめにしようとしている変態ですかね?愛称呼びする訳ありません。」


ゲホッと思わず咳き込むスティーヴン。想像以上に辛辣な答えだった。


「ひどい言われ様だな…あそこまで一途に君を想う男を、『私のレオンハルト』なんて思ったりしないものなのか?」


あの時、ディアーナ嬢は確かにそう言ったのだ。


「思いませんよ!抱きついたりニオイ嗅いだり、ただの変態じゃないですか!だいたい、そんな事されたからって『私の』なんて、どんだけ自意識過剰な痛い人なんですか私!」


スティーヴンが、物凄く残念な人を見る顔でディアーナを見ている事に、ディアーナは気付かなかった。



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