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16# 武器いらず
「今のディアーナ嬢なら、武器を持たなくても何とかなる気がする…」
スティーヴンが遠い目をして黄昏ている。
その足元にはノックアウトされたレオンハルトが転がっていた。
「褒めてませんわよね?それ」
拳を握り締めたままニッコリ微笑む。
「い、いや、褒めている!分別のつく君で良かったと思っている!」
婚約破棄を言い渡した、あの時の事を言っているのだろうか?殴られなくて良かったと…。
「…そうですわね、殿下もわたくしも今までは運が良かっただけ、この先どんな危険な事があるか分かりませんもの…」
別に、この先殿下を殴る可能性ありますよ?と言っているつもりは無いのだが。
それはさておき
自分達に害を為してくる者が魔獣や魔物だけとは限らない。
害意のある人間だって居ない訳ではないのだ。
だから私は自衛の手段を少しでも用意しておきたいと思っている。
間に合わなかったけれど。




