創造神界へ里帰り。
バカップル爆誕
「師匠!暇です!」
久しぶりに白い世界に帰ってきた娘が、私を師匠と呼ぶ。
百年程前から、やめろと言っているのに聞きゃしない。
我が娘ながら、頭ん中オガクズ詰まってんじゃないかと思う。
私の娘と息子はこの白い世界を退屈がり、人間のふりをして百年ばかり、人の世界を旅して歩いている。
瘴気の浄化も、直接行かなくても神の業を使えば済むのだが、人間臭い息子は妻である娘と旅してその場で魔獣や魔物を倒してバーンと浄化するのが楽しいらしい。
白く仰々しい椅子に腰掛けた私はフウとため息をつき、娘を見る。
「師匠はやめろと言っているハズだが。むしろ、今ならお父さん呼びしてもいいかと思うぞ。」
侯爵令嬢ディアーナに、影として共に旅をしていた時は許可していなかった『お父さん』呼び。
今なら解禁だ。だって、本当に父親なんだから。
「おとん!暇です!」
ほらな、こーゆー娘だよ。こいつは。創造神をおとん呼び。
私の息子であり、馬鹿娘の夫のレオンハルトが横から口を出す。
「ほら、可愛い娘が退屈がってんだ、かまってやれよ。父ちゃん」
レオンハルトは、いつも私を親父と呼ぶ。
………父ちゃんと呼びやがった。
「…馬鹿息子…お前に父ちゃん呼びを許した覚えは無い。」
ゆらりと立ち上がって殺気を飛ばし、思い切り威圧する。
「……じゃぁ、パピィ……?」
威圧を受けたレオンハルトが、可愛い芝居をしながら呟く。
ぱ、パピィ!?ダディでも、パパでもなく、パピィ!?
間違いない、こいつの頭にもオガクズが詰まっている。
「………………」
ディアーナとレオンハルトは、二人してニヤニヤしている。
何だ、このバカップルは。そいで馬鹿兄妹だ。
暇だと言っていたな?暇潰しがこれか?
私の、僅かな反応を見て楽しんでるのか?
アホだな!こいつら!
どーしょーもない位にアホだ!
親の顔が見たいわ!……と思ったら敗けだ……。
うん、分かっている。
何で、こんなのになったかな、うちの子達。




