表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
5/5

メインクエスト5

 かくしてブサメンは地下牢にぶち込まれた。ブサメンのような豚面には豚箱がお似合いってか。はは、うまいこと言うね。笑える。


(まったく笑えないよ)


 ……だな。これからどうしよう。


 途方に暮れていると、牢屋に次から次へと宝具を造るための機材と素材が運び込まれてきた。それを隣の牢屋に繋がれているネフェルちゃんが目を丸くして見ている。


 ネフェルちゃんは今のところ何もされてないみたいだけど、この先も彼女の安全を確保するには、ブサメンが男爵家の利益になるような宝具を造らなければならない。


 それもいつまで続ければいいのやら……。もしかしなくても一生このままか? さすがにそれは耐えられないぞ。


 (だね。早く脱出の方法を考えないと。まぁ、その脱出方法が問題なわけだけど……さっきも言ったけど、兵士や騎士を数人倒したところで、この町の支配者である男爵からは逃げられない……君がこの先、自由な生活を送るための最低条件としては、この町の外に逃げること、だろうね)


 ああ。でもその前に男爵をどうにかしないと、ネフェルちゃんみたいな人身売買の被害者がどんどん出る。本来なら衛兵に助けを求めるところだけど、その衛兵を支配するのが男爵だ。


 説得は……あの様子だと通じないか。このままだと、男爵を止めるには、「力づく」も想定しないといけなくなる…………クソが。


 (余所の領地に逃げて、そこの貴族に男爵のことを告発する、っていうのは?)


 孤児の言うことなんて信じないだろうさ。


 (……シンクゥ)


 ……まったく、本当にクソみたいな状況だ。だが、ああ、わかってる。このままだと、覚悟を、決めないといけないかもしれない。力づくの説得……つまり……。


 (……力づくで解決するとなったら、男爵のもとに辿り着くまでに、屋敷にいるかなりの数の兵士や騎士を相手にしないといけなくなる。準備をしないと。特に騎士団長のラズールと、男爵は厄介だ)


 ラズールは、この男爵領で最も優れたステータスを持つ騎士。そして奴の持つ魔剣は、魔法使いの天敵と言っていいかもしれない代物だ。だが、今はそれに対抗するための宝具を造るだけの余裕はない。雷鳴剣一本が限界だ。


 それに男爵の相手もしなければいけないとなると……。


 魔法使いとして男爵の実力は、たいしたことはないだろう。以前、相手のステータスを覗き見る魔法を男爵に使ったことがあるが、知力パラメータも魔力パラメータも、たいしたことはなかった。だが、魔法使いというのは、何をやってくるか分からないから油断できない。


 現在に至るまで魔法使いが開発した魔法は数知れず。それこそ、星の数ほどあると言ってもいいかもしれない。ブサメンだってすべてを把握できているわけではない。


 いったいどんな魔法を使ってくるのか、想像ができない。想像できない、何をやってくるかわからないというのは、つまり対策を立てにくいということだ。


 (兵士、騎士、男爵……全員を相手にするなら、強力な武器が必要になるよ)


 ああ、ここは大人しく男爵の要求通り、強力な武器系の宝具を造って、それを脱出に使おう。

 とくれば、造るべきはやはりアレだな――雷鳴剣。


「おい、男爵様からの命令だ。ここでおとなしく宝具を造っていろ。いいな?」


 ブサメンの見張りにつくらしい兵士がぞんざいに言い放つ。ブサメンは兵士を無視して鉄格子越しにネフェルちゃんに話かけた。


 「おい、大丈夫か」


 「……い、今のところは。っていうか、私を出してくれるって言っておきながらあっさり捕まってるじゃない」


 それはそう。今のブサメン、とってもダサい気がする。


 「まったく……散々よ。せっかく里親が見つかって、これから普通の生活が送られると思ったのに……。全部嘘だったなんて……こんなことになって、もうおしまいよ」


 彼女の目の端に、涙が浮かぶ。


 「そう嘆くな。言ったはずだ。俺がここから出してやる、とな」


 「……」


 どうやらネフェルちゃんはブサメンに反応する気力もなくなってしまったらしい。


 (……かわいそうに。精神が参ってきてるね。早く脱出させてあげないと)


 ああ、同意見だ。

 ブサメンはすぐに雷鳴剣の製造に取り掛かった。術式自体は完成している。あとはその術式を刻めるだけの魔術基盤を造ればいいだけの話だ。それが一番難しいわけだけど。


 牢屋の中に運び込まれた自分の胸辺りまである大鍋の前に立つ。童話で魔女がかき回していそうな感じの大きな鍋だ。


 「……なによそれ」


 隣の牢屋から、視線だけを動かしてこちらを見てくるネフェルちゃん。

 彼女の気を紛らわせてあげるためにも、会話には乗ってあげよう。


 「これはな、錬金釜と言って、魔力を持った生き物の脳みそと魔鉄を混ぜ合わせて魔術基盤を造るための道具だ」


 「……へぇ」


 脳みそ、と聞いたところでネフェルちゃんがうへぇ、と顔を顰める。

 ブサメンは錬金釜に紫色に光る薬品と大量の水を注ぎこみ、毒々しい緑色をした魔法の炎でグツグツと煮立たせる。そして……。


 氷魔法で冷却してあるガラスケースの中から、慎重に脳みそを取り出した。


 「ひぃ!?」


 ネフェルちゃんが悲鳴を上げる。まぁ、初めて脳みそ見た人はそりゃビビるよね。


 「そ、それ……なに!? 気持ち悪い」


 ……ああ、そうか。そもそもこれが脳みそだってわからないのか。そりゃそうだ。学校にも通っていなければネットもないこの世界の孤児は、脳みそなんて見たことないだろうしな。


 「これは脳みそ……生物の臓器の一部だ」


 「ま、まさか人間の!?」


 んなわけ。


 「安心しろ。魔獣のものだ」


 魔力を帯びた脳みそであれば、魔獣のでもなんでもいい。逆に言えば、人間の脳みそも使えるわけだけど。基本的に魔力パラメータと知力パラメータが高い生き物の脳みそが、宝具造りには良い材料と言われているので、そういう意味では頭の悪い魔獣の脳みそより人間の脳みそを使いたいんだけど……さすがに人間の脳みそ使うのはNGだ。法律でも禁止されている。


 ブサメンは大鍋の中に脳みそと魔鉄を放り込んでトングで弄り回す。むにゃむにゃと呪文を唱えながら、さらに青と赤と黄色の薬品を加え、その後も時間をかけて煮込んでいく。


 しばらくすると、脳みそと魔鉄が混じり合った不定形混合物が出来上がるので、その混合物を取り出して、魔法で平べったい板状に成形。これを冷却用の薬液に漬け、魔術基盤は完成だ。


 術式記述専用の羽ペンを手に取り、魔術基盤に術式を記していく。


 「それは何の作業なの?」


 「術式を書いているところだ」


 どんな魔法なのかをイメージしながら魔力を込めて術式を記述していく。超火力の雷魔法の術式、雷が剣を形作る術式、膨大な力を制御する術式、その他諸々……だがしばらく書き進めたところでブサメンは筆を止めた。


 やっぱりだめだな。少し大きめの魔術基盤を造ってはみたけど、全然サイズが足りない。

 どうしようと思っていると、外から怒鳴り声が聞こえてきた。


 「おい、作業を続けろ!」


 牢屋の外でブサメンの作業を監視していた兵士が、手を止めたブサメンを見て鉄格子のすぐ前までやってきたのだ。その手は、剣の柄を握り、今にも抜き放ちそうな勢いだ。


 それを見たブサメンはすぐさま牢屋の奥まで後退。

 馬鹿め、ここまで下がれば剣は届かないだろ、ふははは。


 ガチャン、と兵士は牢屋を開けて中に入ってきた。


 あ、今すぐ作業再開しますね。

 と、すぐさま材料を用意しようとしたブサメンだったが、どうやら遅かったらしい。兵士は鞘に納まったままの剣でブサメンの腹を殴りつけた。


 ドフ!


 鈍い音が地下牢に響き渡り、ブサメンの身体は床に転がった。


 「ぐは!」


 「きゃあ!」


 ネフェルちゃんが悲鳴を上げた。

 いってぇ。マジで殴りやがったこのクソ野郎!

 キッと倒れたまま兵士を睨みつけてやる。


 「なんだその反抗的な目つきは! さっさと! 作業を! 続けろ! 醜い豚野郎め!」


 言葉を区切る度にブサメンを殴りつける兵士。

 く、い、いた、やめろ!


 (シンクゥ!)


 「宝具を造ったこともない能無しが……っ」


 身体を丸めながら、兵士の暴行に耐える。


 「なんだと!?」


 「おい、その辺にしとけ」


 と、兵士がもう一度ブサメンを殴ろうとしたところで、別の兵士がそれを止めた。


 「そいつの骨でも折ってみろ、宝具の製造が遅れるだけだ」


 「チッ!」


 舌打ちをして兵士は牢屋の中から出て行く。


 (だ、大丈夫かい?)


 ああ……あの野郎、ブサメンにここまでしたこと、後悔させてやる……。


 恨みの炎に薪をくべながら、ブサメンは再び宝具製造に取り掛かった。

 時にトンテンカンと工作し、時にグツグツと鍋を煮立たせ、なんとか宝具を完成させようとする。


 そうこうしている内に、数日が経った。兵士は偶に様子を見に来るくらいで、常に牢屋の前に張り付いているわけじゃなかった。彼らもこんなジメジメした場所に長居はしたくないんだろう。


 雷鳴剣の製造に進展はない。失敗する度に兵士に殴られているせいで、体中が痣だらけになった。そのたびにネフェルちゃんが顔を青ざめさせていくのが心苦しい。早く雷鳴剣を完成させてこの状況から脱しないと、ブサメンの身体もネフェルちゃんの精神も保ちなそうにない。


 ここはいったん考え方を変えてみよう。ブサメンはファンタジーという概念にとらわれ過ぎているんじゃなかろうか。自分にはせっかく前世の知識があるんだからそれを利用しない手はない。


 そう、そうだ……。紙に書くと何十枚にもなってしまう文章を小さく持ち運びしやすくするには、それを電子化してUSBメモリにでも保存しておけばいい。魔法もそれと同じことをすればいいのだ。つまり――術式の電子化だ。


 (できるの?)


 …………。

 ………。

 ……。

 ……やってやるとも。道筋は見えた。幸い、そこら辺の知識と技術は、前世のブサメンの専門だ。


 次の日から、ブサメンの脳みそはフル回転を始めた。


 もてる知識を総動員して術式の電子化に取り掛かる。魔法を情報工学や量子力学に落とし込み、そこに魔法力学と魔法幾何学を組み合わせ、ああでもないこうでもないと苦悩する。アイデアを紙に書いては破り捨て、またペンを握る。


「おい! 何をしているんだお前!」


 そんなことをしていれば、ブサメンが落書きをしているとでも思ったのか、また兵士がズカズカと牢屋の中に入って来て、ブサメンを殴りつけるのだ。


 しかしブサメンは殴られ続けながらも頭を働かせる。血が滲むが、気にならない。痛みもまるで、気にならなかった。むしろ、今いいところなんだから邪魔すんじゃねぇ、そんな気分だった。


 牢屋に放り込まれてから、数日が過ぎた。

 この数日でブサメンは何回も殴られ、その度にネフェルちゃんも精神的に消耗していった。もう猶予はあまり、ない。奥の手を、使うしかない。


 「……」


 目を閉じる。

 深く深く自分の中に沈み込んでいくように、意識を集中させる。海の底に潜るように。光が届かない、深海に潜る。水圧で頭が割れるように痛みだす。


 魔法の深淵に近づきすぎたせいだ……自分の知力パラメータにふさわしくない魔法を使おうとしているせいで、頭に酷い痛みが走っているのだ。これ以上は脳みそが、思考の許容範囲を超えると悲鳴を上げている。


 だがやらなければいけない。


 深海に潜る。潜って潜って、辺りは闇一面に染まり、自分が上を向いているのか下を向いているのかさえ分からなくなる。それでも潜る。潜って潜って潜って潜ってただひたすらに潜って……そして。ついに、何も見えなかったはずの暗闇の中に、一条の光を見た。手を伸ばす。


 ブサメンは、深淵に触れた。術式が、完成した。



 ◇◇◇



 ブサメンが拘束されてから二週間が過ぎた頃。

 雷鳴剣が完成した。制御もばっちりな、安全安心メイド・イン・ブサメンだ。

 そこへ兵士が着て、ブサメンが手に持っているものを見て、顔を輝かせて牢屋の中に入ってきた。


 「ついに完成したのか! ……いや、待て、おい! なんだそれは!」


 だが刀身のない柄を見て、兵士は怒りに顔を歪めた。


 「それのどこが武器なんだ!? ただの懐中電灯ではないか!」


 まぁ、この兵士は雷鳴剣がどんなものなのか知らないからな。どうせ「剣」と聞いて刀身があるものと思い込んでいるんだろう。


 「ふん、貴様らは、要は金儲けができればいいのだろう」


烈火のごとく怒りを露わにする兵士を押しとどめるように、ブサメンは柄を見せつけた。


 「これは……金になる宝具だ」


 「武器じゃないんだろうが!」


 おいよせ。武器を抜こうとするな。とりあえず説明を聞け。


 「貴様、ダンジョン探索をしたことはあるか?」


 「なに、ダンジョンだと? 薄汚い冒険者じゃあるまいし、そんなことしたことあるわけないだろう!」


 「ならば、夜の巡回や外壁の外での魔獣討伐は?」


 兵士の仕事は、町の治安維持だけでなく、町を囲う外壁の外で、魔獣が町に近づかないように見張ったり、それを討伐するために出動したりといったことも含まれる。


 「それはあるが……それがどうしたと言うんだ!」


 「貴様の言う通り、これは武器ではない。ライトの一種だ。だが、ただのライトではない。夜の巡回中、懐中電灯やランタンなんぞの光源を持って歩けば、確かに見通しは良くなるだろう。だが逆に魔獣からも発見されやすいという危険もはらんでいる。光のせいで魔獣から奇襲を受けたことはないか?」


 「……」


 兵士は黙った。そういう経験があるんだろうな。ご苦労さん。その時にくたばってればよかったのにな。


 「このライトは、人間にのみ見える可視光線を放つことで周囲を照らす。だから魔獣に察知されることない。人間が一方的に魔獣を見つけることができるわけだ」


 「人間にのみ見える光だと? そんなものが……」


 「人間の可視光領域と魔獣の可視光領域は違うからな」


 「か、可視光領域?」


 「それを説明しようとすると小難しい単語が並ぶことになるが、それでも聞きたいか?」


 「い、いや、いい……」


「ふん、まぁいい。ともあれ、敵を先に見つけることができる、それがどれほど重要なことか、兵士ならばわかるだろう?」


 「……なるほど、確かに有用だ。だが、それは本当か? 人間にしか見えん光などにわかには信じがたい」


 「実際に使って試してみればいい。使い方だが、いくら人間にしか見えん光と言っても、特殊な光だ。まずは目に慣れさせなければ」


 「どうすればいいんだ、さっさと言え」


 「ここを見ろ」


 そう言ってブサメンは柄の先端に取り付けられている結晶部分を兵士に向けた。兵士はそこを覗き込むように凝視する。


 「おい、これでいったいどうなるって――」


 兵士が文句を言いかけた瞬間、ブサメンは雷鳴剣を起動させた。


 ズガァッ!!


 雷鳴が轟き、柄から雷の刀身が一直線に伸び上がった。荒れ狂う雷の刀身は、それを覗き込んでいた兵士の眼球を、脳みそを貫き、頭蓋骨から突き抜けた。


 「ご、げ……が」


 意味不明な異音を口から零しながら、兵士が痙攣する。と思いきや、刀身のあまりの熱量に兵士の身体は鎧ごと蒸発した。防御パラメータと抵抗パラメータが低すぎたのだろう。


 血も肉も消えてなくなり、跡形もなく消滅した兵士に、ネフェルちゃんが顔を真っ青にしている。気持ちはわかるが、今は放心している場合じゃない。


 「何事だ!?」


 雷鳴を聞きつけたもう一人の兵士が駆けつけてきた。異常事態を察知した兵士は警笛を鳴らそうとするが、ブサメンは地下牢の鉄格子を雷鳴剣で破壊して脱出、一気に兵士に肉薄して鎧ごと兵士を斬り捨てた。


 「ネフェル!」


 兵士を殺したブサメンはネフェルちゃんの牢屋の鉄格子も破壊すると、捕らわれの彼女を連れ出す。


 「来い! 脱出するぞ!」


 「えっ、え!?」


 急展開に呆然としていたネフェルちゃんの手を引き、走りだす。暗い階段を一気に駆け上がり、隠し階段があった物置部屋まで戻ってくる。


 ここからブサメンがしないといけないことは、男爵と、この件に関わっている騎士、兵士の無力化だ。本来、犯罪組織の壊滅はその領地の兵士が担当するはずだが、今回はその兵士がそもそも犯罪組織の一員だ。


 兵士が全員そうだとは思いたくはないが、今はのんびり敵味方を判別している時間はない。向かってくる奴は、片っ端から片付ける。


 ブサメンの脱走がバレて、教会にいる孤児たちまで人質に取られたら、動けなくなる。時間との勝負だ。頼れる人間は、いない。


 ……クソが。やってやる。


 「ね、ねぇ、いつまでここにいるのよ。早く逃げないと!」


 「逃げる? どこに」


 「ど、どこって、こ、孤児院とか?」


 「この町のどこにも、領主である男爵から逃げられる場所なんてあるわけないだろう」


 「じゃ、じゃあどうするのよ!」


 「……俺が男爵と話をつけてくる」


 「はぁ!? 話を聞いてくれる相手じゃないでしょ!」


 「そうだな。だから、無理にでも聞かせるんだ。貴様はどこかに隠れていろ。邪魔だ」


 「じゃ……!? 誰に向かって!」


 「でかい声を出すな。見回りの兵士に聞こえる」


 「う」


 ブサメンはネフェルちゃんの手を引いて物置部屋から出ると、廊下を彷徨いながら屋敷内の適当な一室の中の気配を伺い、そこに人がいないと判断すると中に入った。


 どうやら客室だったらしく、ベッドやクローゼットなど、一通りの家具は置かれているものの、現在は誰も泊まっていないようだ。


 ブサメンはクローゼットの中にネフェルちゃんを押し込んだ。


 「こ、ここに隠れてろって言うの!?」


 「そうだ」


 ホラーゲームならロッカーかクローゼットの中に隠れてれば絶対にバレないのだ。


 (映画だと絶対にバレるけどね)


 ……。……ま、まぁ大丈夫だろう。


 「息をひそめて、静かにしていろ。俺が必ず、貴様をここから無事に出して見せる」


 「……わかったわよ」


 よし、と頷き、ブサメンは踵を返して客室を出ようとするが、そこで忘れ物があったことを思い出した。


 「そうだ、返すのを忘れていた」


 と、ネフェルちゃんにピンク色のリボンを差し出す。あの隠し階段があった物置部屋に落ちていたものだ。


 「これ、私の……」


 「確かに返したぞ」


 「……ねぇ、どうしてここまでしてくれるの。自分で言うのもなんだけど、私、あんたにきつく当たってたし、今だって……ねぇ、どうして?」


 「……何かと思えば、くだらん」


 クロロに怒られるからですぅ。とは言えないので。

 ここはブサメンらしく、高圧的にいかせてもらおう。


「強者が弱者を庇護するのは、当然のことだ」


その言葉を聞いたネフェルちゃんは……しかし今回は怒るのではなく。


 「弱者って……はぁ、やっぱむかつくわ、あんた」


 呆れたように笑うのだった。

 


 Tips 雷鳴剣


 柄から雷の刀身が生える宝具。複数の高火力の雷魔法が合成されて出来た刀身は、ドラゴンのブレスをも斬り裂くほどの威力を秘めている……かもしれない。シンクゥが自分専用に開発した。その構想は前世の頃からあったという。彼はモ〇ハンをやりながら考えていた。自分が異世界でモンスターと戦うことになったら、どんな武器を造るだろうかと。ファンタジーの王道、片手直剣だろうか。しかし普通過ぎてつまらない気もする。だが王道は捨てがたい。そこで考えたのが、雷鳴剣だ。片手直剣でありながら魔法で出来た刀身という特異性を持つその武器は、シンクゥにとってはただの武器ではなくロマンの象徴なのである。形態は三段階に分かれており、片手剣サイズの通常モード、大剣サイズのリミッター限定解除モード、そして巨人が使うような超巨大剣になるリミッター完全解除モードである。とってもかっこいい。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ