第22話:2章開幕【案件地獄】ヒーロー見参ビジネス始動と、三百万円で揺らぐ尊厳
第二章、開幕です!
第一章ではたくさんの応援、本当にありがとうございました!
……なお、玲司に平穏な日常が訪れる予定はありません。
それでは、第二章もよろしくお願いいたします!
ステラライブ事務所、第三会議室。
そこには、世界で最も嫌そうな顔でノートPCを見つめる成人男性が一人いた。
俺だ。
黒瀬玲司、二十三歳。
つい最近まで、実の姉に無職だと思われていたAランク探索者。
探索者名、黒瀬レイ。
世間を騒がせている正体不明の黒銀ヒーロー。
ヒーロー見参ニキ。
見参未遂ニキ。
安全第一(物理)ニキ。
達者でなレディ。
職業・筋肉。
職業・有能筋肉。
呼び名が増えすぎて、もはや自分でもどれから否定すればいいのかわからなくなってきた男である。
できれば全部否定したい。
だが、俺の目の前に並んでいるメールは、その願いを全力で踏み潰していた。
「……なあ、姉貴」
「なあに、玲司」
「これは何だ」
俺はノートPCの画面を指差した。
画面には、ステラライブの案件管理システムが開かれている。
そこに並んでいるのは、ここ数日で殺到した企業案件メールの件名一覧だった。
問題は、その宛先である。
どれもこれも、俺宛てだった。
正確には、俺ではない。
世間的には正体不明の黒銀ヒーロー宛てである。
つまり、俺だ。
ややこしい。
「見ての通り、ヒーロー見参ニキ宛てのお仕事メールよ」
姉貴――星宮ハルカこと黒瀬遥香は、会議室の向かい側でにこにこしていた。
この女、俺の正体を知ってからというもの、遠慮という人間社会に必要なブレーキをどこかへ置き忘れている。
「本人に、本人宛ての案件を仕分けさせるな」
「だって、本人が一番わかるでしょ?」
「そういう合理性を俺に向けるな」
「それに、玲司は裏方スタッフなんだから、案件メールの整理は普通にお仕事だよ」
「俺は短期スタッフだ」
「短期でも有能」
「有能の使い方が人権を削ってる」
「時給も出るよ?」
「俺の尊厳は時給制じゃない」
姉貴は俺の抗議を軽やかに聞き流し、楽しそうに身を乗り出してくる。
「ほらほら、まずは上から見ていこ。大手飲料メーカーさんから」
「嫌な予感しかしない」
「大手だよ?」
「企業の規模と俺の安全は関係ない」
俺は仕方なく、一件目のメールを開いた。
件名。
【大手飲料メーカー】黒銀ヒーロー様との爽快タイアップ企画について
本文には、やけに丁寧なビジネス文が並んでいた。
拝啓から始まり、俺の救助活動への敬意と社会貢献性への称賛が延々と続く。
そこまではいい。
問題は後半だった。
要約すると、こうだ。
黒銀ヒーローの爽やかな救助イメージと、同社の炭酸飲料の爽快感を組み合わせたい。
救出後、商品を片手に一言。
『助けを呼ぶ声があるなら、乾いた喉にもこの一本』
と言ってほしい。
「ふざけるな」
俺は即座に削除ボタンへカーソルを合わせた。
姉貴が慌てて俺の手首を掴む。
「待って待って! 削除は駄目! ちゃんと検討して!」
「検討する余地がどこにある」
「報酬、三百万円だって」
俺の指が止まった。
三百万円。
金額だけは強い。
探索者の依頼でも、三百万円はそれなりに良い案件である。
半日拘束。
顔出しなし。
撮影は救助訓練施設。
事故の危険性も低い。
それで三百万円。
いや、待て。
俺は何を冷静に条件分析している。
これは、ヒーロー見参ニキとして炭酸飲料を持ち、カメラの前で決め台詞を言わされる案件だ。
金と引き換えに尊厳を売るな。
俺の尊厳は非売品だ。
たぶん。
三百万円。
「玲司、今ちょっと揺らいだ?」
「揺らいでない」
「でも三秒止まったよ」
「社会情勢を考えていた」
「炭酸飲料の案件で?」
「経済は広い」
「視線が報酬欄に固定されてたけど」
「市場調査だ」
「呼吸も止まってたよ」
「集中していた」
姉貴はにやにやしながら、画面を覗き込む。
「いいじゃない。救助後に爽やかに一気飲みするヒーロー」
「救助後に勝手に商品を飲んでるヒーロー、信用できないだろ」
「疲れてたんだなって」
「救助対象を抱えている時に炭酸を飲むな」
「じゃあ、助けたあとに喉を押さえて――」
「押さえない」
「喉仏ミュートで酷使した喉を潤す」
「そこを企業に拾われたくないんだよ!」
俺はメールを保留フォルダに移した。
削除できなかった自分が悔しい。
三百万円は悪魔の数字だった。
次のメールを開く。
件名。
【防犯グッズ会社】安全第一(物理)キャンペーンへのご出演相談
本文。
黒銀ヒーローの「安全第一(物理)」というネットミームを活用し、防犯ブザー、携帯シールド、防護用アラームのPRをしたい。
台詞案。
『危険を感じたら、まず逃げろ。逃げられないなら、助けを呼べ』
俺は黙った。
これは、少しだけ悪くない。
危険な時に逃げること。
助けを呼ぶこと。
無理をしないこと。
自分一人で解決しようとしないこと。
ダンジョン配信で浮かれていた視聴者だけではない。
日常生活でも伝える意味がある。
「……これは、安全啓発としてなら意味があるかもしれない」
「でしょ?」
姉貴は嬉しそうに笑った。
「玲司が嫌じゃない形なら、こういうのはありだと思うんだよね」
「俺が嫌じゃない形、という条件が非常に重い」
「顔出しなし、名前なし、声加工あり、シルエットだけ、とか」
「シルエットでも身体のラインが出るだろ」
「じゃあ、手だけ」
「手フェチが発生する」
「じゃあ、後ろ姿だけ」
「背中の筋肉を検証される」
「足元だけ」
「ふくらはぎのスレが立つ」
「目元だけ」
「正体考察班が瞳孔から身長を割り出す」
「被害妄想がすごい」
「ネットの海を舐めるな」
あいつらは、数秒の映像から俺の大腿四頭筋の使い方を分析する人種である。
身体の一部だけなら安全という保証はない。
「じゃあ、文字だけ」
「俺いなくていいだろ」
「でも監修はできるじゃん」
姉貴の言葉に、俺は黙った。
安全啓発の監修。
それなら、まだできる。
配信に出ず。
名乗らず。
黒銀スーツにもならず。
レディとも言わず。
裏方として、危険回避の台本だけを直す。
間違った説明を訂正し、現場で本当に役立つ内容にする。
それなら耐えられる。
「……安全啓発系は、監修だけなら考える」
「やった」
「考えるだけだ」
「考えるって言った時点で八割勝ち」
「勝負にするな」
俺は防犯グッズ会社のメールを「要検討」フォルダに入れた。
姉貴が、ぱちぱちと拍手する。
「おめでとう、玲司。ヒーロー見参ビジネス第一歩だね」
「不吉な単語を生み出すな」
「ヒーロー見参ビジネス」
「二回言うな」
その瞬間だった。
俺の脳内に、聞き覚えのある電子音が鳴った。
ピコン。
【ヒーロー見参ビジネス連携機能が仮起動しました】
「は?」
俺は固まった。
今、脳内で何か表示された。
見たくない。
絶対に見たくない文字列だった。
【企業案件タグを認識しました】
【今後、救助演出時に広告文言が挿入される可能性があります】
「待て待て待て待て」
俺は椅子から立ち上がった。
姉貴が首を傾げる。
「どうしたの?」
「姉貴、今すぐその単語を撤回しろ」
「ヒーロー見参ビジネス?」
ピコン。
【正式名称候補を登録しました】
「登録するなァァァァァ!」
俺は頭を抱えた。
最悪だ。
能力が勝手に企業案件と連動しようとしている。
今まででも十分に地獄だった。
変身。
名乗り。
ポーズ。
レディ発言。
お姫様抱っこ補正。
それに加えて、今後は企業案件の広告文句まで割り込む可能性がある。
救助中に、
『助けを呼ぶ声があるなら、乾いた喉にもこの一本』
などと言わされたら、俺はその場で社会的に蒸発する。
いや。
姉貴を助けている最中なら、もっと最悪だ。
『間に合ったぜ、レディ。まずはこの爽快な一杯を――』
駄目だ。
想像だけで胃が死ぬ。
「玲司、もしかして能力が何か反応した?」
姉貴が目を輝かせる。
完全に面白がっている。
「してない」
「した顔だよ」
「顔で能力判定するな」
「ヒーロー見参ビジネスって言ったら反応した?」
「言うな!」
「ヒーロー?」
「やめろ」
「見参?」
「やめろ!」
「ビジネス?」
「一番やめろ!」
姉貴は椅子の上でお腹を抱えて笑っている。
俺は真剣に死活問題なのに。
この姉、弟の尊厳を燃料に笑いを取ろうとしている。
「次のメールいこっか」
「行きたくない」
「次はアパレルだよ」
「もっと嫌な予感がする」
件名。
【スポーツウェア企業】黒銀密着スーツ風コンプレッションウェア共同開発のご相談
俺は本文を読む前に閉じた。
「却下」
「早い」
「タイトルだけで処刑台が見える」
「でも、玲司のスーツを参考にしたら機能性すごそうじゃない?」
「俺の羞恥心を型紙にするな」
「黒銀ヒーローモデル、売れると思うけど」
「買った人間が街にあふれたら、俺は日本を出る」
「そんなに?」
「黒銀密着スーツ風の一般人が集団で歩いている社会は終わってる」
「街では着ないと思うよ」
「ジムでも嫌だ」
「スポーツ向けなら、普通のコンプレッションウェアでしょ?」
「胸元に銀色のヒーローラインを入れると書いてある」
「格好いいじゃん」
「腰回りには見参ベルト風デザイン」
「売れそう」
「背中に『安全第一(物理)』」
「絶対売れる」
「駄目だ。この国を守るために却下する」
姉貴は不満そうに頬を膨らませた。
「でも、玲司のスーツ、本当に機能性高そうだよね」
「能力で生成される装備だ。市販品の参考にはならない」
「すごく密着してたし」
「思い出すな」
「大胸筋のラインが」
「言うな」
「腹筋も」
「言うな!」
「背中もすごかった」
「分析するな!」
姉貴はまた笑う。
俺はスタッフジャンパーのジッパーを顎まで引き上げた。
今日はパーカーではない。
だが、ジッパーは上がる。
文明の利器である。
次のメール。
【玩具メーカー】見参未遂ポーズ再現フィギュア化のご相談
俺は目を閉じた。
見参未遂ポーズ。
それは、俺が必死に名乗りポーズをキャンセルしようとして、右手を胸元で止め、左手を脇に挟み、喉を押さえながら飛び出した、あの事故ポーズである。
商品化するものではない。
事故現場を立体化するな。
「これ、可動フィギュアだって」
姉貴が勝手に本文を読む。
「喉仏ミュート用の差し替え手首パーツ付き」
「やめろ」
「名乗りキャンセル顔パーツ付き」
「やめろ!」
「右腕を左腕で押さえる専用パーツ」
「細かく再現するな!」
「左腕を脇に固定する補助パーツ」
「俺の努力を玩具にするな!」
「初回限定特典、達者でなレディ台座」
「燃やす。工場ごと燃やす」
「犯罪予告は駄目だよ、玲司」
「俺の尊厳に対する犯罪はどうなる」
「商品化権の相談だから、まだ犯罪じゃないよ」
「なら、俺が許可しなければ防げるな」
「報酬は――」
「言うな。金額を見せるな。俺を試すな」
俺はそのメールを、新しく作ったフォルダへ移した。
フォルダ名。
【燃やしたいが燃やせない】
そんなフォルダはなかった。
今作った。
フォルダ名が、俺の現在の精神状態をそのまま反映している。
健全ではない。
姉貴が画面を見て笑う。
「何、そのフォルダ名」
「俺の心だ」
「企業案件の管理システムに感情を持ち込まないで」
「感情を破壊してくる案件を送る方が悪い」
さらにメールは続く。
【音声販売企画】ヒーロー見参ニキ名言ボイス収録の可否
【教育機関】ダンジョン撤退判断講座への講師依頼
【フィットネス企業】見参未遂式ボディメイク講座
【出版社】黒銀ヒーロー写真集企画
【匿名希望】一度でいいので本物のレディを聞かせてください
「匿名希望のやつを出せ」
「落ち着いて、玲司」
「出せ。俺が直接説教する」
「ファンレターかもしれないよ」
「ファンなら人の傷口にレモン汁を塗るな」
「メールの最後に、『毎晩、達者でなレディの切り抜きを見て元気をもらっています』って」
「人の黒歴史を栄養剤にするな!」
「感謝されてるよ?」
「俺は感謝される方向を間違えた」
俺は一件ずつ仕分けていく。
安全啓発系は保留。
教育機関からの撤退判断講座は、監修なら検討。
企業色が強すぎるものは却下。
身体のラインを利用しようとするものは即却下。
ボイス案件は削除したいが、姉貴に止められる。
フィギュアは見なかったことにしたい。
写真集はこの世から消したい。
フィットネス講座は、見参未遂式という部分だけで許せない。
名乗りキャンセルに必要なのは筋肉ではない。
強靱な精神力と、捨て身のセルフミュートである。
誰にも勧められない。
気づけば、会議室のホワイトボードには、姉貴が勝手に書いた分類が並んでいた。
【受けてもいいかも】
・安全啓発監修
・防犯グッズ台本監修
・ダンジョン撤退判断講座
・探索者協会の初心者向け教材
【要相談】
・シルエット出演
・声加工出演
・協会監修案件
・三百万円の炭酸飲料
「最後のやつを混ぜるな」
「玲司が揺らいでたから」
「揺らいでない」
【絶対無理】
・密着スーツ系
・ボイス販売
・フィギュア
・写真集
・達者でなレディTシャツ
・喉仏ミュートネックウォーマー
俺は最後の一覧を見て頷いた。
「そこだけは完全同意だ」
「でも、Tシャツは売れると思うよ」
「姉貴」
「はい」
「身内を売るな」
「まだ売ってないよ」
「まだ、が怖い」
「売上の一部をダンジョン事故被害者支援に寄付するとか」
「正論でレディTシャツを通そうとするな」
姉貴はホワイトボードの前で腕を組んだ。
「でも、玲司」
急に声が少し真面目になる。
「正直、全部を断るのはもったいないと思う」
「俺の尊厳は有限資源なんだが」
「それは知ってる」
「知っていて採掘するな」
「でも、今回の件で、ダンジョン配信って怖いんだって、ちゃんと伝わったじゃない」
「……」
「見てくれた人の中には、軽い気持ちでダンジョンに入ろうとしてた人もいると思う」
姉貴はホワイトボードに書かれた、安全啓発案件を指差した。
「危ない時は逃げること」
「一人で無理をしないこと」
「装備や退避ルートを確認すること」
「助けを呼ぶこと」
「そういうのを伝えられるなら、意味があるんじゃないかなって」
姉貴は真面目な顔をしていた。
こういう時の姉貴は、本当に困る。
普段はポテチの粉をつけた指で、俺の大胸筋をつつくくせに。
弟を無職扱いするくせに。
レディTシャツを売ろうとするくせに。
配信者として、人に何かを伝えることに関しては、本気なのだ。
事故のあとも、自分が助かったことだけで終わらせず、同じ危険を減らしたいと考えている。
俺が救助にこだわるのと、どこか似ている。
だから反論しにくい。
本当にタチが悪い。
俺はため息をついた。
「……監修だけだ」
「うん」
「顔出しなし」
「うん」
「本名なし」
「うん」
「黒瀬レイの名前もなし」
「うん」
「声もできればなし」
「それは相談」
「今、うんって言え」
「うん寄りの相談」
「曖昧に逃げるな」
「必要なら、すごく加工するから」
「どのくらいだ」
「機械音声みたいに」
「それなら俺である必要がないだろ」
「監修者本人が読んだ方が説得力あるよ」
「説得力と正体バレリスクを交換するな」
姉貴は嬉しそうに笑った。
「ありがと、玲司」
「礼を言うな。まだ受けるとは言ってない」
「考えてくれるだけで十分」
それもまた、断りづらい言い方だった。
本当にタチが悪い。
その時。
コンコン。
会議室の扉がノックされた。
「ああ、二人ともここにいたんだね」
チーフマネージャーが顔を出した。
手にはタブレット。
表情は、どこか安心したように見える。
「チーフ。どうしました?」
姉貴が配信者の顔へ切り替わる。
チーフは第三会議室へ入り、テーブルの上に並んだ案件一覧を見た。
「ずいぶん進んだね」
「玲司が頑張ってくれました」
「俺は尊厳を仕分けていただけです」
「安全啓発系は、監修なら前向きに考えてくれるって」
「姉貴、確定事項のように報告するな」
「前向きに考えるんだよね?」
「後ろを向きながら考えている」
「それは前向きではないね」
チーフが苦笑する。
「実は、その安全啓発企画についてなんだけど」
俺はノートPCを閉じた。
「監修案件なら、内容を確認します」
「それなんだけどね」
チーフはタブレットを操作する。
「護衛兼監修として入ってもらう探索者が、正式に決まったよ」
俺の背筋に、嫌なものが走った。
護衛。
監修。
探索者。
この流れで出てくる新しい人物。
だいたい、ろくなことにならない。
「探索者?」
俺が聞くと、姉貴がなぜか得意げに胸を張った。
「あ、それね。私が推薦したんだー」
「は?」
「だって、信頼できる人がいいでしょ?」
「今の言い方でもう信用できない」
「実力もあるし、私とも仲が良いし」
「姉貴と仲が良い探索者?」
「玲司のことも昔から知ってるし」
「待て」
最後の条件が、あまりにも不穏だった。
俺はゆっくりと姉貴を見る。
この女。
完全に何かを仕込んでいる顔をしていた。
弟を驚かせる時の顔。
あるいは、弟を社会的な処刑台へ乗せる時の顔である。
「姉貴」
「なあに?」
「誰を呼んだ」
「ふふ」
「笑って誤魔化すな。誰だ」
「会えばわかるよ」
「その答えが一番怖い」
チーフはタブレットを見ながら首を傾げる。
「あれ? まだ伝えていなかったんですか?」
「サプライズにしたくて」
「嫌がらせの別名をサプライズにするな」
「きっと玲司も喜ぶよ」
「その台詞で喜んだことが一度でもあったか?」
俺は詰め寄ろうとした。
その時。
扉の向こうから、落ち着いた女性の声が聞こえた。
「ハルカさん。予定より少し早いけれど、入ってもいいかしら」
姉貴の顔が、ぱっと明るくなった。
「もちろん! 入って入って!」
俺の嫌な予感が、確信へ変わった。
聞き覚えのある声だった。
忘れるはずがない。
幼い頃から俺を知り。
何でもできて。
昔から俺にだけは遠慮がなく。
そして今は、若手筆頭と呼ばれるAランク探索者。
俺は両手で顔を覆った。
「……嘘だろ」
第三会議室の扉が、ゆっくりと開いた。
第二章がスタートしました!
第一章を読んでくださった皆様のおかげで、こうして続きをお届けすることができています。
本当にありがとうございます!
コメントやレビュー、★評価は毎日の執筆の大きな励みになっています。
いつも本当にありがとうございます。
第二章も毎日22時更新予定です!
玲司の危機管理(物理)と、相変わらずの姉弟コメディを楽しんでいただけたら嬉しいです。
これからもよろしくお願いいたします!




