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異世界もコネ次第!~王立貴族学園魔法学科へようこそ  作者: 武蔵野純平
第四章 ようこそ! 戦後のゴタゴタへ!

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第四十五話 キス

 夜になってからドラゴンデッキにいるバッカニアドラゴン『アオ』を訪ねた。

 アオの首元にある逆鱗に触れ魔力を流し込む。


「キュウ」


 アオは気持ち良さそうな声を出している。


「アオもお疲れ様。大変だったよね。それに命の恩人だよ」


「キュ!」


 パルシア帝国の火炎放射器で大火傷を負った時、助け出してくれたのはアオだ。

 今回の戦いではアオに命を救われた。


 アオに魔力をあげているとアメリアが一人でやって来た。


「やあ、アメリア! お世話係のマリエラは?」


「マリエラは、今サーシャさんの面倒を見ているわ」


「サーシャさん?」


「ほら。パルシア帝国の女魔法使いよ」


「えっ!? この飛行船(ふね)に乗っているのか?」


 驚いた!

 彼女は母親の身分が低いとはいえ、パルシア皇帝の娘だ。

 捕虜にした敵国の要人が同乗しているとは思わなかった。


「ええ。だって彼女は魔法使いですもの。もし彼女が脱走を企てたら、普通の人では止められないでしょ?」


「そりゃ、そうだよね。彼女は魔力が多いしね」


「その点、この飛行船なら魔法使いが沢山乗っているでしょう?」


「確かに。それでマリエラがサーシャさんの世話をしているのか」


「マリエラは大変よ。私とサーシャさん、二人の面倒を見なくちゃならないのですもの。サンディは?」


「風呂に入っているよ」


「そう。じゃあ、少しお話ししましょう。ここにお座りなさい」


「うん」


 アメリアがドラゴンデッキの床にぺたんと女の子座りをした。

 俺はその隣に足を延ばして座る。


「あんまり心配させないでね」


「ごめん」


 アメリアが俺に寄りかかり、お互い無言の時間が過ぎる。

 無言と言っても嫌な感じじゃない。

 どちらかと言うとほんわかとした、ゆったりと時間が流れる感じだ。


 俺は自分と周囲の違和感についてアメリアに聞いてみる事にした。


 俺としては、『いくら戦争とは言えやり過ぎた』と思っていて、大量に、残酷に人を殺してしまった罪の意識もある。


 けれどもパウル王子やマックスウェル先輩、サンディたちの反応は、『良くやった!』、『お手柄!』と言った感じの肯定的な反応だ。


 アメリアは、どう思っているのっだろう?


「なあ……。アメリアはさ……。その今回の事をどう思う?」


「今回の事? あなたがパルシア帝国をやっつけた事?」


「うん」


「凄いわよ! あれだけの大規模魔法を行使できる魔法使いはいないわ! それに一人でパルシア帝国軍を全滅させたのよ!」


 アメリアは随分と興奮している。

 うん、肯定的な反応だな。


「えっと……。『俺はやり過ぎたかな?』と思っているのだけれど……」


「やり過ぎ? ああ、カルソンヌ城のアースランスの事ね?」


「そう」


「そうね……確かにみんなびっくりしていたわ。私もちょっと……正直、惨いと思ったわ」


「そうだよね……」


 アメリアは眉根を寄せて嫌そうな顔をした。

 十三才の女の子には、かなりキツイ光景だったと思う。


「けどね。マックスウェルさんが言う事も、もっともだと思ったわ。あれだけやればパルシア帝国も手を出しづらいと思うの」


「そう言う物かな……」


「それに負けていれば、私たちの国の人間が奴隷としてパルシア帝国に連れていかれたのよ。下手をすればカルソンヌ城一帯は皆殺しにされていたかも。だから、『やり過ぎ』なんて気にする事はないわ」


「そんな簡単に割り切れないよ……」


 俺は現代日本人の感覚が残っているせいか、色々と考えしまう。

 この異世界の人たちほど戦争慣れしていないせいかな?


 俺の考えが甘くて、彼らの考えの方が現実的なのか?

 命の価値が低すぎるだけって気もするが。


「何をウジウジ考え込んでいるのよ!」


 まずい!

 アメリアがいつもの説教モードに入った!

 俺は慌てて言い訳する。


「俺の家は田舎だったから。騎士爵と言っても戦争なんて父も兄も経験がないし、そもそも領地から出た事がほとんどないと思う。だから……その……戦争ってよくわからなくて……」


 とっさに誤魔化す。

 まさか愛と平和の国、現代日本の出身だからとは言えない。


「ちょっと! あなたねえ! しっかりしなさいよ! あなたは立派な事をしたのよ! 胸を張りなさい! 堂々としていれば良いのよ!」


「ああ! はい! わかりました!」


 いかん。

 どうも、この……、アメリアにケツを蹴飛ばされる感じに慣れてしまった。

 むしろアメリアにケツを叩かれていないと落ち着かないくらいだ。


「それと! 約束をちゃんと守りなさいよ!」


「ああ。ケーキを食べに行こう」


「ふふ。よろしい」


 アメリアが体を寄せて来た。

 ふんわりと良い匂いがする。


 キスしておくか?

 ……と思ったのだけれど。


 周りのドラゴンが長い首を伸ばしてきている。

 こいつら会話に参加しているつもりだよ。

 ドラゴンは人語を解するし、心なしかドラゴンの顔がニヤついて見える。


「オマエら目をつぶっていろよ」


 俺はドラゴンたちに命令した。

 ドラゴンたちが目をつぶっている間に、アメリアとキスをした。


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