第六十七章・『暗黒城ネクロ』2
『暗黒城ネクロ』では、大竜丸が(玉座の上で)溜め息を吐いていた。
「『孤独の破壊者』にサヴァスはやられ、アリーは(『孤独の破壊者』を)捕まえはしたものの『光の姫』にやられている…」
大竜丸はネクロの天井を見て、呟く。
「サヴァスはEランク、アリーはCランクだが、やはり相手にならないか」
そこに二つの影が(大竜丸に)近づいてくる。
「デスとキール、やっと来たか」
「はい、大竜丸様」
「……」
キールと呼ばれた少年は答えたが、デスと呼ばれた少女は答えない。
それを察したキールは山高帽――シルクハットを少し上げて、こう答える。
「ごめんなさい、大竜丸様。姉さんは僕以外とはあまり話せないんです」
「理由は聞いている。大丈夫だ、問題ない」
「はい、ありがとうございます」
キールは礼を言ってはいるが、感謝の気持ちは別にこもっていない。
大竜丸はそれを分かっていながら、あえてスルーした。
大竜丸は二人の顔を見ながら、本題へと入る。
「二人に頼みたいのは『孤独の破壊者』――村木悠の撃破だ」
キールもデスも大竜丸の言葉にいぶかしむ。
だが、二人がいぶかしんだのは悠の撃破ではない。
その撃破を二人で行うことだった。
「なぜ二人でなんですか?僕は分かりますが、姉さん、いえ、デスは四天王です。やらなくてもいいのでは?」
キールが当然のようにその疑問を口にする。
四天王とは、大竜丸が選抜したメンバーの中でもより強い四人のことだ。
キールはさらに続け、
「それに『孤独の破壊者』は以前よりも弱くなっていると聞きます。四天王であるデスの力を借りなくても勝てるのでは?」
大竜丸はキールの言葉に(少しの間)黙考するが、
「できれば避けたかった。だがサヴァスがやられた以上、手を抜いてはいられない」
「なるほど。それなら仕方ないですね」
「本来なら使いたくはなかったんだがな…」
「大丈夫です。僕たち姉弟に任せてください」
キールが玉座の間から出て行くと、デスも共に出て行く。
*
「Aランクマスターと四天王、この二人なら負けないだろう」
大竜丸は静かに笑った。




