リンストーリー「リンとライの出会い」
ここで別の話。
これは俺が合宿中に聞いたリンとライの出会いの話だ。
*
それは私の五年前の話。
私が十二歳、フレアとスイリュウが十一歳の時の話。
私はフレアと一緒に――スイリュウは川が見たいらしく別行動しました――貸家のすぐ近くに上位の契約獣が出るらしく、その契約獣を見るために(契約獣が出る)小高い山を目指しています。
「なぁリン。本当に出るのかよ、こんな所に」
「ピィ、ピィ」
フレアは一年前に契約した小型の翼竜――ドゴンと一緒に私の後ろを歩いています。
フレアとはいつも一緒で、「一緒にすごい契約者になろうね♪」と約束した仲でもあります。
「大丈夫だよ、フレア。私が一緒だから、怖がらない怖がらない♪」
「べ、別に怖がってねぇーよ」
からかう私に、フレアはいつもこうやって返してくれます。
そんな所をかわいく思いながら、私はフレアの前を歩きます。
しばらく歩くと、私の前に(私の身長より)高い山が現れます。
「まじかよ。こんな高い山登るのか。お前も嫌だよな、ドゴン?」
「ピィ~」
どこかしらドゴンも嫌そうです。
「いいよ、フレア。私一人で登るから」
そう私が言うと、フレアは慌てて、
「お、俺も行くよ。リンに何かあったらいけないし!」
(私の名前の部分を殊更強調して)言います。
「分かった。じゃあ一緒に行こう!」
「おう!」
そうして、私たちは山を登って行きます。
*
私たちが山を登りきると、そこにはツノの生えた小鬼がいました。
「なんだ、お前ら」
その小鬼は一見するとただの子どもにしか見えませんが、ツノが生えている部類は(契約獣の中でも)上位種だとマザー様が言ってらっしゃいました。
私が「契約獣になってくれない?」と頼んでみると、
「なんで俺がお前みたいな小娘と。はっ、ふざけんな」
その子はきっぱりと(悪びれもせず)私の申し出を断りました。
「そんなことを言わずに、お願い!」
私はその明らかな否定にもめげずに、その子に契約をしてくれるよう頼みます。
「だから何で俺が。契約獣なんて他にもいるだろうが」
ともすれば正論ですが、私はそれにめげずに頼みます。
「あなたじゃなきゃダメなの!」
私が本心でそう言うと、「意味わかんねぇ」とその子は呟きました。
続けて、
「お前ら契約者は俺たち契約獣のことを対等な関係だと見ていない。そんな奴らとは契約出来ねぇ」
と言います。
*
ここから俺――フレア視点だ。リンがライに呼ばれて行っちまったからな。
俺はそれを聞いていて、間違いではないと思った。
俺の隣にいるドゴンだって契約者に捨てられていたところを俺が拾った。
それはこの契約獣が長年契約者を見てきた証。それによる完全な拒絶だった。
その拒絶をリンはこう返した。優しい声で、
「それはあなたが契約者のことを何も知らないからだよ」と。
俺たちよりも長く生きているその契約獣に。
そこから先は、ただの押し問答だった。
「知ってる」
「知らない」
と二人で言い合う始末。その言い合いは数分続いていた。
そんな状況を尻目に俺はドゴンと話す。
「なぁ、この言い合いって決着つくと思うか」
「ピィ?」
ドゴンは首を傾げる。何が言いたいの分からないって感じだ。
(まぁ…、無理だろうな)
俺はそう思い、一人で山を降りることにした。あの契約獣に敵意は感じられなかったからだ。
*
「そう言えば、あの後俺は帰ったから、どうして二人が仲良くなったのか、分からないな」
俺はフレアの話を聞きながら、二人で話しているリンとライを見る。
。
「なぁ、どうして仲良くなったんだ?」
フレアがそう聞くと、
「それはな」
「ひ・み・つ♪」
と二人は微笑むのだった。
* * *
終わり




