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黄昏の日常  作者: 灯些季
53/89

52.下僕

それから俺は保の質問に答え続けていた。


こいつ聞き方上手いな。

さすが新聞部!


あ、今部室のドアがノックされた。


じゃあ正樹が迎えに来てくれたのか。

いっ言おうっ!


「遅くなってごめんね〜柾美いるよね?」

「よっ俺も来ちゃった」


なんで氷室まで!?

決心が揺らいで来た〜


……ってこの2人仲悪いんじゃないのか?


「せっかくのチャンスだったのにねぇ〜成次邪魔っ!しっしっ」

「お前っ久々に会ってそれはないだろ!」

「神宮寺君、コレは部屋に帰るまで荷物持ちだからもうちょっとまってくれない?」


コレ!?

荷物持ち!?

何があった!?


「正樹ちゃんコレの事嫌ってなかった?」

「お前もコレ言うな!」

「保と氷室って仲良いんだな。」

「あぁ保とは親戚さ。それよりっなんでコイツは名前で呼んでるんだ!」


そういえば、氷室と結構交流あるのに名前で呼んでないな。


「うるさい。柾美怪我してるんだからコレに荷物持たせてね。」


なんなんださっきから。

正樹様、いや女王様と下僕?


「成次が奴隷なのはわかったけど何があったの?」


調理部は今日はシュークリーム作ったらしい。


で、片付けをしてるとこへひ、じゃなくて成次が来て正樹が作った分を食べてしまったらしい。


「うわっお前人が作ったの勝手に食べちゃったのぉ?さいってーっ!」

「そうだよね!」

「だ、だって部活やってお腹空いたしっ月村のシュークリームが美味すぎたのが悪いだろ!」

「食べておきながらそれ!?やっぱり最低!」


正樹と保に怒られてタジタジになってるけど

自業自得だろ。


「ん?成次って正樹と仲悪いだろ?なんで正樹の作ったもの食べたんだ?」


だって嫌いな相手の作ったものなんて普通は食べないよな?


「月村は…調理部の姫って有名なんだ。だから、料理凄く美味いんだ。」

「姫!?あ、ああ確かに凄く美味しいけど……納得。」

「柾美?何に納得したの?」

「その呼ばれ方」


俺は姫よりも女王様だと思う。

怒らせると怖いし、下僕の扱い上手そうだし……

まあっ言えないけど!


でもやっぱり可愛いもんなぁ。

正樹が本当に女の子なら付き合いたいかも。


「性格は悪いけどな!」

「「一言余計っ!!」」


正樹と保にまた怒られてる。俺さっき思った事言わなくて良かった!


「とりあえず帰ろ?」

「そうだな。」


俺の鞄は成次が持ってくれた。

別に鞄くらいって言ったら成次に持たせるって正樹が笑顔で言って

成次が俺の手から鞄を奪ったわけなんだけど。


ついでとばかりに保が自分の鞄を押し付けようとしてたけど全力で拒絶されたな。


「ついでにスーパー寄ってくれる?もちろん荷物持ってくれるよね?」

「はいはい女王様。」


笑顔で取り引きが成立してるなぁ……


「面白そうだから僕もついてく~」


完璧に荷物持ちと化した成次と、隣に並んで歩く正樹を

俺たちは後ろから眺めながらついていく。


こうして見ると2人とも仲良さそうなのに。

「柾美ちゃん、あの2人だけどさぁ中学の時は仲良かったんだよ。もちろん友達としてだけど。」

「えっっじゃあなんで今は会うたびにケンカしてるんだ?」

「うーん……ちょっとねぇ。あの2人に今度聞いてみたら?」


話しづらい事なんだ?

けど……顔合わすたびにケンカってやっぱりそれなりの事があったんだよな。


成次が関わってくるだけで嫌そうな顔する正樹。

成次だってあまり正樹と関わりたくなさそうだし。


でも………

今は仲良さそうにしか見えないのになぁ。


少し余裕が出てきたので更新しました。次回の更新は未定です。

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