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黄昏の日常  作者: 灯些季
22/89

22.助っ人

「貴様がさらったから出来ないのだな!この外道がっっ!」

「ちがっっ」


俺の居た床に穴ぁぁっ

後退して良かった!

校舎壊すの止めて!叔父さんに怒られるじゃん!!


「返せぇ−−−!!」

「誤解っワケあって連れてけないんだ!この校舎はっうわっっ」


ダメだ。

まともに話し合えない!

窓とか壁は結界のおかげで壊れずに済んでるけどこのままじゃマズい!


「あーーっ仕方ない!」


俺は胸元に手を当てて念じる。

光の束が現れて形になってきたところで掴む。


これは体内に取り込んである刀を取り出したというか、ザックリ言えば俺自身が鞘ってわけ。


襲い来るケルベロスの頭を剣で受け止める。


重っっ!


「ただ者じゃないな!人間がそんな事出来るかぁぁっ!」

「ちがっ一応人間だ!」


力を込めて一瞬強く押し返す。

ケルベロスと間を取る。


「俺は陰陽師見習いだ!」

「なんだ見習いか。どうりで霊力が弱いわけだ」


あぁぁっやっぱりバカにした!


「見習いだからって見下すなぁぁっ!」


上着のポケットに入れていた札に念を込めて投げつける。

札はケルベロスに当たり爆発する。




やった!


「なんだ今のは」

「効いてない!?」


油断してた俺は頭突きを食らわされた!


剣を盾にしたから怪我は避けられたけどっ

床に叩きつけられるって痛いっ!


ヨロヨロとだけど立ち上がってケルベロスを見る。


こんなのとどうやって……!

でも放っておけない!


どこかに弱点はあるハズだ。

そう、どこかに……


「私の子を返せ−−−−−−っっ!」

「誤解だ−−っっ!!」


俺の剣とケルベロスの足がぶつかろうとしたとき


奴が吹き飛んだ!

って・・・あれ?


「おい、てめぇがピンチみたいだったからぶっ飛ばしたけど良かったか?」

「え……うん………なんで…」


ちょっとまて


「素手で!殴ったよな!?おもいっきりやったよな!?」

「かてぇけど殴れねぇほどじゃねぇ。ケンカしがいがあるじゃねぇか。」

「それとっなんでここに居るんだよ上原!」

「田島が校舎の廊下歩いてるの見えたから鍵開けて入った。」

「鍵開けてって……」



だって風紀委員と生徒会と俺しか持ってないハズだよな?

総一先輩に借りたなんてないよな?

たぶん仲悪そうだし。


「この園芸の小道具でチョイとな」

「針金ぇぇぇぇぇぇっ!泥棒かよ!」

「ピンチ助かったんだからいいじゃねぇか」

「一時的にはそうだけどさぁっっ!」


ワンワンッ


あれ、子犬の鳴き声?


「おおー−−っ我が子−−−−っっ!!」


熱い包容が目の前で行われてるのを俺たちは呆然と見ているしかなかった。


「一件落着?」

「我が子が戻ってくれば文句なし!」

「あ、はい。」

「じゃ、帰る」


どうやらこの数日間物が壊れた原因はケルベロスらしい。

このデカい図体だもんな。

そうだ、今回壊れた床どうしよう……

とりあえず叔父さんに全部話さなきゃ。


ケルベロスの親子は陣から帰って行った。



「田島、ワケありの転校らしいな。全部話せ」

「ああ、俺も上原に聞きたいことある。とりあえず寮に戻らない?」


腕時計に目をやるとけっこう時間経ってる。


「もう8時か。正樹きっと心配してるな。上原のルームメイトにも悪いことしたな。」

「あいつはあまり部屋にいねぇから大丈夫だ。」


まさか初日に

しかも上原にバレるなんて……初っぱなから大失態だ。


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