ある神官の成長日誌 〜ジュール編〜 03
「オレがいた傭兵団の回復魔法師、ガロンのおっさんほどの、腕は無かったぞ」
レイブンはそういうと、茶を一口飲んだ。美味い。
「あやつは……」
ガロンが続けた。
「平均的な回復魔法師じゃぞ。腕は良くもないが悪くもない」
「僕は神官ではないので、ガロン師の回復魔法が、キレイ……というのは分かりません」
ジュールの右側から、声が掛かった。身長175cmぐらいの細身の人間の男だ。
細身の男の名前は、バルナス。賢者の学院の魔術師である。階級は導師。
身長:175cm。体重:63kg。年齢はレイブンよりは少し下のようだ。肌の色は白色で、髪の毛は黒色の癖毛。切れ長の眼の中に光る金色の眼が、神秘的な雰囲気を見せていた。
長袖、長ズボンの上からローブを羽織り、ゴツゴツした杖を持っていた。
賢者の学院とは、この世界では一番の権威を誇る教育機関であり、魔術師と賢者の育成を行っている。
もともとは、とかく世間から嫌われる存在である魔術師の保護とお互いの学問の振興のために造られた組織である。本部はサロストという東方一の大都市にあり、世界中の大都市に支部が設けられている組織なのだ。
バルナスは、研究室にこもるよりも現場に出て知識を得るほうが性にあっているという、インドア派が多い魔術師のなかでは、ある意味での変わり者である。
講義の無い日は、自らの趣味と実益を兼ねて冒険者として活動しているのだ。
「分かるのは、ガロン師の魔法の使い方が……論理的ということです」
「論理的!? ガロンのおっさんだぞ。本能と経験だけじゃ無いのか?!」
戦士のレイブンが目をむいた。
「論理的でしたよ」
魔術師のバルナスがかえす。
「治療の順番を考え、効率の良い治療プランを実行していましたね」
「ワシは、そこまで深く考えておらんぞ?」
ドワーフのガロンが、苦笑していた。
「経験に基づき、治療しているだけじゃ」
「その経験が、論理的な治療方針として、ガロン師の中で固定されているのでしょう」
バルナスは、指を1本立てた。
「ガロン師は、まず動脈を繋いで止血しました」




