ある神官の成長日誌 〜ジュール編〜 01
ここに1つの世界がある。
我々の住んでいる世界とは異なり、文明レベルは低いと言わざるを得ないだろう。
我々の尺度で言えば、中世レベルか、それ以前であり、政治形態や社会生活にも当てはまる。
この世界を特徴付けるのは、さまざまな「魔法」の力、そして、さまざまな「モンスター」の存在。我々が伝説でしかその姿を見ることの出来ない不可思議な魔法の力、凶悪なドラゴン等のモンスターは、ここではまごうことなき現実である。そして、そのために数多くの冒険があることも。
叩けよ。されば、開かれん。冒険の扉は、あなたの目の前にある。
1.知識を蓄えろ。
焚き火を前に、身長155cmぐらいの普通体型の人間の女が、考えこんでいた。
彼女の名前は、ジュール。大地母神神殿の、孤児院出身の女性である。
身長:155cm。体重:50kg。癒し系のおっとり美人である。
年齢は若い。成人してからすぐのようだ。肌の色は白色で、茶色の髪は首の辺りで一つに括られていた。長さは背中の真ん中ぐらいまであるだろう。
茶色の大きな瞳には慈愛の光が宿っていた。七部袖の白色の神官衣の胸には、大地母神の紋章が刺繍されており、神官であることを示していた。
孤児だったジュールは、子供の頃のバルナスに一目ぼれされ、メイドとして引き取られたのだ。彼女がバルナスに引き取られた経緯は、ここでは割愛する。
ジュールはもともと神の声を聞くことが出来たが、彼女に神官の資格があるということは彼女以外にはバルナスしか知らなかった故、バルナスのメイドに簡単になれたのだ。
(神殿にとって重要な働き手である神官は、普通は神殿が手放さない)
神官の資格はバルナスがフィールドワークに出るようになってから賜った。神聖魔法が使えることを神殿で示し、神官の証の神官衣と聖印を賜ったのだ。
神殿からは当然のように神殿に戻ることを提示されたが、これを固辞。バルナスのメイド兼直衛として、常に隣に控えている。
ジュールは昼間のことを思い出していた。
“ガロン様の回復魔法……とてもキレイ、でした。
見様見真似で、分割して発動させましたが、私には……あそこまでキレイに発動出来ていませんでしたね”
手元のカップから、お茶を一口。さっき淹れて、パーティの皆に振る舞ったのだ。なんだか、あまり味がしない気がした。
“どうしたら、あんなにキレイに発動できるのでしょうか?”
そこまで考えたところで、言葉が口をついて出た。
「ガロン様。昼間の回復魔法について、お伺いしても?」
その言葉を受け、焚き火の反対側に座っていた、小さなビヤ樽みたいなのが、茶を飲む手を止めた。ドワーフ族の男だ。




