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暗転

夜の空気は冷たかった。


歩き出してすぐ、ハディの足取りが鈍る。


段差に引っかかる。瓦礫を踏み外す。

避けているつもりでも、身体がついてこない。

今日はいろいろありすぎた。


カイルがちらりと見る。


「……限界か」


返事はない。


息が浅い。視界が狭い。

首飾りの熱も、もう感じない。


数歩。


——そこで、途切れた。


膝が落ちる。


「おっと」


崩れる身体を、カイルが受け止める。


「……軽いな。子供なんだよなぁ」


軽く笑って、そのまま担ぐ。


ハディの意識は、そこで完全に沈んだ。




重い扉が閉じる。


石造りの大広間。

灯りは揺れない。


中央の机に、淡い光の表示。


ネリアがそれを見下ろしている。


「……来たわね」


低く呟く。


向かいに座るカイレンは動かない。


「確認は」


「ええ。ラドネス中枢からの信号。接続あり」


わずかに間を置く。


「認証が、通ってる」


空気が変わる。


そのとき、奥の扉が静かに開いた。


足音。


白い装束の神官が、一人入ってくる。


誰も振り返らない。


だが、全員がその存在を認識していた。


神官は机の脇で止まる。


「……報告は以上か」


静かな声だった。

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