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朝舞探偵事務所~妖魔のおもてなし~  作者: 空と青とリボン
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太郎との再会

鶫守の背中はまるで隙がない。茜たちは素直に従うことにした。淳はよっこらせっと所長を背中に背負う。所長はまだお花畑を散策中だ。

歩いて20分ぐらいした頃だろうか。屋敷の前に辿り着いた。純和風な建物。妖怪が住む家なのにおどろおどろしい雰囲気などまるでなく、むしろ京都の老舗旅館のような気品が漂っている。きっと家主の美意識が色濃く反映されているのだろう。

「入れ。足元に気をつけろ。分かっているとは思うが靴は脱げ。」

「分かっているわ。日本家屋で靴を履いたまま上がる日本人はいませんよ、借金を取り立てに来たやくざ以外は。」

茜がそう答えると鶫守はニヤッと笑った。

「そなたもなかなか面白い人間だ。朝舞探偵事務所は皆そうなのか?」

「私たちを見てそう思うならそうなんでしょう。」

「もしかしてそなたたちしかいないのか。」

「えぇ、そうよ。」

鶫守はそれを聞いて驚いた顔をした。

「少数精鋭とはまさしくこのことだな。」

鶫守が褒めた。茜だって褒められたなら悪い気はしない。それは淳も同じで。二人は鶫守が悪い妖怪でないことを改めて確信した。

「太郎ちゃんはどこにいるの?」

「奥座敷だ。座敷牢だがな。」

鶫守はどんどん奥に進んでいく。茜たちはそれに付き従った。檜香る廊下を右に左にと曲がりようやく奥座敷に辿り着いた。まさしく座敷牢。太くて頑丈そうな木の柱が縦横に重なりその奥に太郎はいた。

「ここも結界が張ってあるんだな。」

淳が呟いた。牢屋を囲むようにして結界が張ってあったのだ。

「あぁ。この中では霊能力が使えないから無駄な抵抗はしない方がいい。」

鶫守は忠告をし、牢屋の鍵をあけようと近づく。そこでようやく太郎は茜たちがいることに気づいた。太郎は慌てて布団から飛び起き、こぼれんばかりの笑顔をみせた。

「茜さん!淳さん!来てくれたんですか!」

「太郎ちゃん無事だったのね、ほっとしたわ。」

「見るからに元気そうで良かったよ。」

茜と淳は太郎との再会を心から喜んだ。そんな三人の姿を見て鶫守は満足そうに微笑む。そして鍵を開け中へ入るように指図した。

おもむろに牢屋の中へ入る茜たち。その時、太郎は淳に負ぶさっている伯父の存在に気づいた。

「あれ?どうして伯父さんがここにいるんです?しかもなんか気絶しているみたいだし。」

すると茜と淳は気まずそうに視線を逸らした。気のせいではなく目が泳いでいる。

「茜さん?淳さん?」

「いろいろ事情があるのよ。話せば長くなるわ。」

「事情ねぇ・・・。」

きっと俺には言えない事情なのだろう。すかさず鶫守が口を挟んでくる。

「話せば長くなるそうだ。明日の朝までゆっくり事情とやらを聞いとけ。」

「そうすることにします。」

俺と鶫守は周知の仲のように言葉を交わした。茜さんは意外なものを見るような目で俺を見てくる。

「そなたらには食事を運んできてやるから今晩はここに泊まりなさい。」

鶫守はそう言い残して去ってしまった。俺はさっそく疑問に思っていることを投げかけてみる。

「茜さんたちが牢屋に来るってことはもしかして鶫守に負けたんですか?」

「もしかしなくてもそうよ。」

「えっ!?そんなことってあるんですか。」

これはかなり驚いた。朝舞探偵事務所に入社してからいうもの、茜さんたちが妖怪に負けたのを見たことがない。連戦連勝、唯我独尊、王者の風格。それだけに、にわかに信じられない。

「あの鶫守はかなり強いわ。今まで対峙してきた妖怪の中でも一位、二位を争う強さよ。」

「そんなに強いんですか?」

「太郎君はそう感じなかったのかい?」

淳さんが関心のある目で尋ねてきた。

「正直言って。一番最初に鶫守を見た時は恐怖でビビりまくりでしたけど話しているうちになんかいい奴に思えてきて。」

それを聞いて茜さんと淳さんは顔を見合わせてくすっと笑った。

「確かにね。」

「ところでどうやって結界を解いたんですか?結界があると屋敷に近づくことも出来ないんですよね。」

「それは・・・。」

明らかに茜さんと淳さんは狼狽している。これは是が非でも聞き出さなければ!

「伯父さんが気絶していることと何か関係あるのだとしたら甥っ子の身としては知っておきたいです!」

この際伯父も利用しよう。

すると茜さんたちは観念したのか渋々話してくれた。



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