グランドフィナーレ・ミルフェの誕生日
グランドフィナーレにつき、感謝と星船の愛を籠めて
超特大容量でお送りいたします。もうこれ1つの短編ですね。
読むのに大変ですが、最後なのでぜひ頑張ってお読み下さい♪
そこは魔王城の一角。朝食を終えた勇者キースと元魔王ベリル、そして白竜のネイビーは三者顔を付き合わせていた。因みにネイビーは女の子の姿に戻っている。
「なあなあ!みんなもう決めたか?用意したのか!?」
キースは困り果てた顔で残りの1人+1体に食い付く。そろそろハタチになろうという長身の男前が台なしさんだ。
「僕はもう用意してあるよ。お掃除用エプロン。この間街でミルフェにピッタリの可愛いのを見つけてね。」
ベリルはレースピンクのひらひらエプロンをバン!と、どこからともなく取り出した。いや、ホント今どこから?
「地獄から。」
キースとネイビーは聞かなかった事にした。
魔王辞めたんじゃなかったんかい!!
「でもちいと可愛い過ぎるんでないんかの。実用性重視のミルフェが果たして身に付けてくれるんじゃろか?」
ネイビーの疑問にベリルはフフンと笑ってポケットを指さす。
「「こ、これは!!」」
ポケット部分にはホウキとチリとりの可愛い図案の刺繍が縫い込まれていた。
「「ベリル!...あなたってば恐ろしい子ッッッ!」」
間違いなくミルフェを喜ばすだろう。
身に付けてくれるかは結局ナゾだが。
「わ、わしはキーホルダーじゃ!!」
負けじとネイビーがポケットからエキゾチックな紐編みの白房キーホルダーを取り出して2人に見せる。
「まあ、普通に可愛いな。普通に。」
「あり来たりで無難だね。普通だ。」
「む!それが聞いて驚くが良い!このキーホルダーはわしの鬣をひと房使って編み込みにし、手作りしたものなんじゃ。なんと身に付ければその者の素早さが倍になるレアアイテム!ミルフェのお掃除速度が上がって確実に大喜び!ほっぺにチュッ間違いなーし!なっのじゃぁぁぁ!!」
「「な、何ですってぇぇぇ!??」」
2人はガックリと膝を突いた。この勝負、ネイビーの圧勝だった。貴重な白竜の鬣の使い道がお掃除!とはこの後世に誰も紐解けない制作理由ではあるが。
そしてまだ用意どころかプレゼントの案さえ浮かばない甲斐なしポンチのキースは困り果てた。
今日はミルフェの誕生日だった。
***
フッフフーン♪
今日はお天気でお洗濯は乾くし気分は上々。
私は魔王城の庭園に設置された物干し竿に鼻歌を歌いながらお洗濯物を干していく。
うん。何故私達、勇者パーティーが魔王城で暮らしてるのかってみんな疑問だよね?
私があの後、荒れ果てた庭園のお掃除に夢中になっちゃった、ていうのもあるんだけど。実はこの辺りは魔王城に近かったせいでまだ魔物がたくさんいてね。
ならいっそ魔王城に住んで、ここを拠点に魔物を討伐しちゃえ!て事になったんだ。
なかなか住み心地も良く、快適なんだよ。
勝手に開くドアとか、勝手に用意されてる着替え一式とか、勝手に置かれてる遺書とロープとか。
うん。なんかヤバいのいるね!
「ミルフェ!!」
「あ、キースく、むぐッ」
キース君、と呼びかけた私の唇はいきなり彼の唇で塞がれた。
嬉しいけど最近キスがなっがいよ!バンバンとギブアップのサインをキース君の背中に送る。
ポンポンと返された。
え?おかわり!?むぎー!
ようやく解放されて何かさり気なくあちこち触られたような?気がする私にキース君がデートのお誘いを申し込んできた。
うん。いいね!
ちょうどそろそろお洗濯石鹸が切れる頃。
あ、いやいや。もちろんデートが本命だからね!うん。
ベリル君が魔王時代に作った1番近い街への移動陣がある部屋で待ち合わせて、キース君とは一旦解散。
何着て行こっかな~?とウキウキと自分の部屋に急ぐ私を、後ろからベリル君が呼び止めた。
「ミルフェ。はい、誕生日おめでとう!」
ベリル君は可愛くラッピングされたプレゼントをポンッと私に手渡した。
「おおう!ありがとう、ベリル君。覚えててくれてたんだ!」
「うん、もちろん。ミルフェの誕生日を忘れるなんてありえないでしょ?ミルフェは魔王であった僕すら骨抜きにした地上の可愛い女神様なんだから。」
そう大袈裟に言うとベリル君はススッと近づいて私の腰を両手で抱き包み、顔をのぞき込む。
むひゃああああ!近い!近いですぞ、旦那!そして腰に当てた手の動きがスリスリとあやしい~!!
でもふとベリル君は窓の外の墓地を見た。
「あのね、ミルフェ。僕が奴隷出身だというのは知ってるよね。そして僕の母親も、もちろん奴隷だったんだ。もう顔も覚えていないんだけどさ。」
ベリル君の表情がいつもの作り笑顔じゃなくなった。
少し悲しそうな、聞いて欲しそうな顔。
私は抵抗を止めて耳を傾ける。
「2人で大きなお屋敷でこま使いをしていたんだ。でも奴隷の扱いなんてぞんざいで。病気になった僕の母親はろくに治療も受けさせてもらえず、呆気なく死んでしまった。そしてその骸は屋敷から見える森に打ち捨てられたんだ。獣が始末するだろうって事だったんだろうね。僕は毎日隠れて森に行き、崩れていく母親を見続けた。まだ5、6歳だった僕には埋葬なんて分からなかったからね。教えてくれる人もいなかった。そして成長するに従ってそんな世界を、人間の全てを憎むようになっていった。その僕の、いつも頭から離れなかったのはあの母親の無惨に朽ちていく骸。僕もいつかああなるんだ、母親と同じ野ざらしで。誰にも弔われない、ゴミのような憐れな存在に。」
べ、ベリル君。言葉が出ないよ...なんて酷い....
でも。見上げたベリル君は笑っていた。
そして、でもね?、と続けた。
「君が。ミルフェが。魔王ですら弔う、と。そう言葉をくれたあの時に。気づいたんだ。それが僕の一番のこだわりだったんだと。あの母親の扱いを許せなかった。この先の同じ道を辿るであろう、僕の弔われない未来が腹立たしかった。誰にも惜しまれはしない終焉が悔しくて悲しかった。でももう。君のおかげで、平気なんだよ。」
そう穏やかに微笑む元魔王ベリル君。
私のおかげ、と彼は言うけれど。でもそれは違うよ。
立ち止まって、引き返す決断を。やり直す勇気を。それを持っていたのは間違いなく、ベリル君自身なんだよ。
「ね?だからやっぱり僕のお嫁さんになって?」
うおおい!気づけば壁際までズルズル追い込まれてるよ!
いいい、いつの間に!!これはアレですか!
もしや壁ドンとか申す、壁さんとの無制限殴り合いバトル!ってぇ近いィィィ!!
「ミルフェに何しとんじゃコラぁぁぁーー!!」
救世主、偉大なる白竜ネイビアンが現れた!
ネイビーちゃんは飛び蹴りでベリル君をぶち倒す!!
うん!白竜のスキル要らないね!というかネイビーちゃん、昼間からロングキャミ一枚はさすがにはしたないよ?まだ嫁入り前の女の子でしょ?
「い、いや、これは竜化しててウッカリ服を破いてしまってな。仕方なしになんじゃ!というかわしは男でもあるんだがの。嫁入りはせんかもじゃぞ?」
ダメだよ!ネイビーちゃん。
そんな後ろ向きじゃあ掴める幸せも掴めないよ!
ここはそのニューハーフを最大限利用して!男女区別なくグイグイ押しまくらないと!!
「にゅうはあふ?よく分からんが、確かに真実の愛の前には性別は関係なしじゃ!押して押しまくるべしじゃの!よし!ミルフェ、今からわしの部屋でイケない汗を流ッそ~ぶにゃッ!!」
復活したベリル君がネイビーちゃんのにょんと立つ角を掴んだ!
「ちょおっ~と、駄竜ネイビーさん。しつけが必要なようだね?あちらでゆっくり僕とお話しようか。」
「にゃああああ!角はダメじゃ!角は竜の萌えスポットなのじゃ!ベリル、わしはお主に死んでも萌えとうないわ!や、止めるんじゃーーー!」
ベリル君に引きづられてネイビーちゃんは去って行った。
えーと。止めなくて大丈夫...だよね?うん?
***
移動陣でキース君といつも行く街に到着した。
ちょうどお昼の時間で広場には美味しそうな屋台がいっぱい!
うん。食べて行こうよ!
私とキース君は手を繋いでウキウキお喋りをしながら、色々な屋台を物色する。
あ!黒林檎あめ!食べると一定時間、ブラックユーモアがお口から出ちゃうヘビーなスイーツさんだ!
あ!一万分の一の確率でマンドラゴラが入ってるかもしれない死の妖精お好み焼きだ!
うん!当たったら死んじゃうね!
あ!普通のキムチジュース!うん、これは普通だね!ん?キース君、どうして目を剥いて驚いてるの?
楽しく屋台料理を食べて回った私とキース君はもうお腹いっぱい。最後の屋台の横に設置されたテーブルに座って、キムチジュースを飲みながらちょっと休憩。
するとキース君が口ごもりながら聞いてきた。
「そ、その!ミルフェは、最近欲しい物はないか?俺にして欲しい事とかでも、何でも!」
ん?あ、もしかして、たんじょう、び
「ていうかやっぱ手持ち無沙汰だよな。そろそろ要るんじゃないのか?そ、その!手にする、あの大事なやつ!!」
け、結婚指輪ぁぁぁぁぁーーーーーーー!??
は、はは早くない???ああ、でも私今日で17歳になったか。
キース君も今年でハタチだし、結婚してもおかしくはないのか。
えええ!マジでぇぇぇ!?
「ん?顔が真っ赤だな、ミルフェ。熱があるんじゃないのか?ああ。でも熱はないみたいだな?疲れたのか?良かったら俺にもたれて休め。」
キース君はそう言うと椅子ごとズササッと私の横に移動する。
そしておでことおでこをくっつけて熱を測った後、優しく私の頭を撫でる。
ん?いつの間にかもう片方の手は後ろから私の腰をガッチリとホールドしてキース君の腕の中にすっぽり収まっている私。
むひゃああああ!キキキ、キース君てば。
最近スキンシップがどんどん激しくなるね!でも、でもそっか。
キース君は結婚を視野に入れて真剣にこの先の事を考えてて。
だから、その思いの深さを行動で示してるんだね?
でもふと我に返って周りを見渡せば、街中の人々の視線がこちらを向いていた。
ひゃあああああ!街中の堂々馬鹿ップルさんだぁぁぁ!!
は、恥ずかしい!そしてゴメンなさいィィィー!!
「キース君!私。おトイレ!!」
私はキース君の返事も待たずに一目散にその場から逃げ出した!
***
「ハハハッ逃げられちゃったね?坊や。」
腕の中から飛び去って行ったミルフェの後ろ姿を惜し気に見送る俺に、屋台の女将さんが声を掛けてきた。
「でもとびっきり可愛い彼女だねぇ!さぞあれはモテるだろう?坊や、ちゃんと捕まえておくんだね。悪い虫が付く前にさっさと嫁にしちまいな!」
わはは、と俺の肩を叩いて冷やかす女将さん。嫁、ミルフェと結婚か。もちろん考えているさ。魔王討伐(?)の使命も果たせた事だし、もうすぐ神聖王国から何らかの報奨も出ると伝令もあった。
纏まった金封でも貰えたら、それを結婚資金に折りを見てミルフェに結婚を申し込もうと、日々真剣に考えている。
ーーーでも。
「なあ、女将さん。彼女は裕福な領主家の身分あるお嬢様なんだ。ただの平民(勇者だけど)の俺と付き合ってはくれても、結婚まで了承してくれるだろうか?」
付き合うのと結婚するのとでは全然別物!という話を聞いた事がある。ミルフェはそんな計算高い子じゃないが、のんびり見えて意外に聡い処がある。誰が考えたって平民の収入の安定しない勇者よりも、領主家の良縁を取る方がいいに決まっている。
「こりゃあ手に負えないボンクラだねぇ!さっきの会話を聞いちまってたんだけど、指輪の話をした時の彼女の顔を見てなかったのかい?」
「指輪?ミルフェの顔?いつも通り世界一可愛い俺の最愛の彼女の顔だったが?」
「....ま、まあ、いいからもう当たって砕けな!ったく!これ以上砂吐かせないでおくれ!!はいはい!とっとと追いかけな、坊や!!」
何故か女将さんに追い立てられる俺。さっきのミルフェの顔がどうしたってんだ?訳が分からないがとりあえず、彼女の去った方角に足を進める。途中雑貨屋の前を通ると軒先に並ぶ、あの見慣れた商品に目が止まった。
よし。やっぱりミルフェへのプレゼントはこれだろう!
***
恥ずかしさの余りその場から逃げ出した私は、ちょうど辿り着いた噴水広場のベンチに座って一息つく。
はあ。何だか今日はハードな一日だなぁ。
でも、け、結婚かぁ。今までちゃんと考えてなかったよ。前世では17歳は結婚するには早い年齢だし、お掃除と討伐の忙しい毎日だったし。そもそもキース君とこうして恋人らしいデートやスキンシップもホントごく最近になってからの事で。それまでは命懸けの魔物討伐と過酷な旅の道中で、そんなヒマは...ん?
あれ?今思い出すと私、結構押し倒されかかってたような?
あれれ?よくベリル君やネイビーちゃんに叩かれ引っ張られてキース君急にいなくなったり...あれれ?
うーん。とにかく、結婚!かぁ。うーん。うー、
「お嬢さん、ちょっとお隣りよろしいかね?」
頭を抱える私に一組の老夫婦さんが話し掛けてきた。
「あ、は、はい!お隣り空いてます!どうぞ。」
「おお。ありがとう、可愛いらしいお嬢さん。わしらは毎日こうしてこの広場にお散歩に来るが楽しみでねぇ。」
そう言って笑ったおじいちゃんとおばあちゃんは、お揃いの帽子を被りお揃いの杖を突いて仲良くベンチに座った。もちろん旦那さんが奥さんの為にベンチにハンカチを敷くのも忘れない。
きっといつもの当たり前の日常で習慣なんだね。
ステキだなぁ。いいなぁ。
歳をとってもこうやっていつも一緒で。毎日二人でお散歩。
そうか。こういう未来でいいんだ。なんか難しく考えなくても。
私、キース君と一緒に毎日を過ごしたい。こんな未来を迎えたい。
そもそもキース君の隣に別の誰かがいるなんて私、絶対嫌だもん。
なんだ。もう答えは決まってたんだね。
***
その後、キース君と合流してお買い物を終えた頃にはもう夕方。
魔王城にそろそろ戻ろうと足を進めるキース君の背中には、知らない間に購入したギターのような包みが括りつけられていた。
中身を聞いても教えてくれないんだけど、むむむ?
キース君もしやバンドでも始めるのかな?勇者バンド!
え?歌わないよ、私!お掃除の歌はお掃除の為だからね~
魔王城に戻った私はビックリ!!
なんとベリル君とネイビーちゃんがテーブルいっぱいのご馳走とケーキを焼いて私の誕生日祝いの準備をしてくれていた!!
「改めて!ミルフェ、17歳の誕生日おめでとう!!」
おお。嬉しい!ステキな誕生日祝いをみんなありがとう!
楽しく討伐時の思い出話やお掃除連想ゲームをしながらご馳走を平らげた頃にはもうお外は日もすっかり暮れて真っ暗。
すると、ネイビーちゃんが席を立って宣言した。
「ミルフェ!わしからのプレゼントは花火じゃ!!わしが竜になって夜空に昇り、色とりどりの魔法でミルフェの為に花火を作ってやるのじゃ!昼間練習したからバッチリなのじゃ!!」
「あれ?ネイビーお前、鬣キーホルダーはどうした??」
鬣キーホルダー?キース君がネイビーちゃんに問いかける。
「うぐ!あ、あれは失敗じゃった。わしは自分が規格外な白竜じゃとすっかり忘れておった。速さが倍どころか百倍速での。お掃除はおろかコントロール不能になってしまうんじゃ。そこのベリルでモニターしてもらったら、阿鼻叫喚なベリルに...。」
ひゃ、百倍速の白竜鬣キーホルダー!?
レアだか何だかよく分からないアイテムになっちゃったんだね!そしてベリル君、そのあちこち巻かれた包帯はお料理のせいじゃなかったんだ!そしてちょっと見てみたかったよ、阿鼻叫喚なベリル君。
そして夜空に飛び立ったネイビーちゃんは練習のかいもあってそれはそれは見事な花火をお披露目してくれた。
百連発もの魔法を打ち放ち、夜空に彩色千輪を描く白竜さん。
うん。白竜のスキルの使い道、こんなんでいいのかな?
そして真下は荒野だから誰もいないよね?だ、大丈夫だよね!?
ああ。でもホントに綺麗!きっと一生の思い出になるね。
「ミルフェ。俺からはこれを。やっぱりミルフェの手にはいつもこれがないとな。街でアイツにそっくりなのがあってさ。」
花火の余韻に浸る私に、いつの間にか後ろにいたキース君がそう言って私に差し出したもの。
それは。キース君のその手には、一本の見慣れた竹ボウキ。
「そうだね。ミルフェにはそれが一番しっくりくるよね。三年も肌身離さず常に持ち歩いてたもんね?」
「うむ。ミルフェといったらやっぱり竹ボウキじゃの!」
竹ボウキを受け取る私にベリル君がうんうんと頷く。そして夜空から戻ってきたネイビーちゃんも、私と竹ボウキを見てニコニコと笑って同意する。
「ど、どうした、ミルフェ!?え、泣いて...」
ああ。もう胸がいっぱいだよ。
私、聖女に選ばれて良かった。聖女をやり直して良かった。
キース君とやり直して本当に良かったよ!
こんな大好きな仲間に、愛する人に会えて幸せいっぱい、で、声が、出ないっ、よぅ。
「オホンッ!」
そんな中、不意にベリル君が咳ばらいをしてみんなの注意を引いた。
「えーと。実はミルフェとキースがいない間、神聖王国から正式な使者が尋ねて来てね。僕が代理で言付けを承りました。」
「え!も、もしかして、討伐報酬の事か!?」
「えー。魔王改心並びに魔物討伐の偉大なる功績を成し遂げた英雄たるキース殿に報奨を授与する。報奨は大辺境伯爵位。この辺り一帯の魔王がいた為に未開発だった広大な地を領地とし、新たなる土地開発と住民が増えた際の自治をお願いする。勿論、開発に伴う資金も人材も神聖王国から提供する。そして向こう貴君一代に渡って税の徴収も一切免除とする。」
「「「えええ!だ、大辺境伯爵領主ぅぅぅ!!」」」
「その他の討伐メンバー全員においてもそれぞれ金一封ずつと、一代名誉爵位を進呈っと。これってスゴイ破格の待遇だよ?もし領地開発に失敗しても一代で国へ返還してもいいって条件だし。何もせず爵位だけもらってのんびり暮らしてもいいって事でもあるしね。でも君はそんな事しないよね?キース。」
ベリル君はニヤリと笑う。あ、これはアレだね!蛇に睨まれた蛙さん。
「つきましては大辺境伯爵領主キース殿。有能な右腕は要らない?隠密に長けてて潜入と情報収集に変装、おまけに料理が得意な元魔王はお買い得だよ?」
「わ、わしは防衛担当じゃ!キース!!お主、守備隊長は要らんかの!?山でも海でもひとっ飛び!三種のブレスが噴けて守護結界も張れる、その辺の暴れ竜なぞひとひねりな偉大なる白竜じゃぞ!!」
「そ、その辺に簡単に竜は暴れてないと思うが、まあ。うん。ベリルもその頭脳と腹黒さは領地経営に絶対重用だし。もちろんこちらから頼む、って、え?ええ!?本当に俺が大辺境伯爵領主に!?いやいやいや!勇者にはちょっと重責過ぎないか!?」
そう驚き慌てふためくキース君。
そして私は最後になっちゃたけど。なんかちょっと普通の未来じゃなくなっちゃったけど。でも。まあ、それでもいいか。
私はキース君の前に進み出て、戸惑う彼の両手をそっと包み込む。
「大丈夫だよ、キース君。みんながキース君を、大辺境伯爵領主様をこれからしっかり支えてくれるんだから。世界一頼りがいのある、大好きで世界最強の仲間が!」
「ミルフェ!その、君も?君も、力になってくれるのか?」
うん!もちろん!!私は世界一幸せな笑顔で答える。
よし!行け、ミルフェ!!!
「キース領主様?お掃除と元勇者キース君が大大大、大好き!な領主様の花嫁に、ミルフェは要りませんか?」
ーーENDーー
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