うさぎのぬいぐるみ
ちょっと疑問に思ってしまうアリーシャです。
だって、今日の私髪を結んでいないんですよ?
髪を結ばないのって幼い子供みたいだし、頭に飾られた花は、大人っぽい薔薇じゃなくて子供っぽいティアラ。
そしてなんと! ルリお姉様に……
「はい、じゃあこれ持って行ってね。虫除けよ」
と渡されたものは、うさぎのぬいぐるみです! こ、こんなの嫌ですよ。恥ずかしいです。
うさぎなんかが虫除けになると思いませんし、王宮に虫なんていないはずです! ……でも、ルリお姉様からいただいたものですし。
「とってもかわいいうさぎでしょう? 私がリーちゃんのために作ったのよ」
「ルリお姉様が作ってくださったのですか?! そんな、ありがとうございます」
ルリお姉様って、お裁縫が得意なんですよね。私もルリお姉様に教えていただきました。ぬいぐるみは作れませんが、簡単な小物なら作れますよ!
でも、ルリお姉様が作ったものなら、なおさら断れないですよね。失礼です。
仕方がないので、夜会に持って行きましょう。
実は、このうさぎにはとんでもない秘密が隠れているのですが……そのことに気づくのは、ずっと後のことです。
「リーちゃん。国王が来る時間を聞いてなくても、そろそろ来る頃だと思うわ。だって、パーティーはもうすぐ始まってしまうもの。準備はできてる?」
「もちろんです。色々持ってますよ」
うさぎでしょう、国王様に会うための整理券でしょう、それから誰にいただいたか覚えていない小さな指輪。お守りです。その他はハンカチや雑貨ですね。
夜会はとっても楽しみです。でも、お友達はいないし、こんな子供じみた装いで行っても大丈夫でしょうか?
国王様に迷惑をかけてしまうのでは……?
どうしましょう、とても不安です。今日はルリお姉様も二人のお兄様もついてこられないそうなんです。なんでも、立派に社交界デビューを果たすため、甘えてしまう家族はパートナー以外連れてきてはいけないんですって。
だから、私には国王様だけです。
「アリーシャ様、国王様がお迎えにきました」
ついにきてしまいましたか……。ここは気合いを入れないといけませんね!
私、一人でも立派に社交界デビューを果たしてきますから!




