第九十七話「堕舞黒の革命」
『やあやあ!お前ら!俺だよ!今ではあのパパの仕事に恥じないくらい偉くなった・・パパの息子!半田だよッ!ハハッ!いいね!ここに立って喋るってのはいいもんだよ!ようやく僕の実力がしょーめいされちゃったかなぁ?』
「(うわっ・・うぜぇ・・)」
現れたぞ・・この異様なしゃべり方そして生理的にキツイ性格。
耳がアイツの声を聞いて気色の悪い感じになる。
どうしてだ、俺でさえアイツの言葉と行動だけで何もかもが嫌になる。
『えーみなさーん改めて・・こんにちは!僕はね・・努力の成果あってようやくここまでくることができました・・美玖ちゃん見てるゥ?僕はやっぱり偉い子だよッ!今度また話をしようじゃないか!また一緒に楽しく遊ぼう!・・あ、美玖ちゃんってのは僕の・・』
「(無駄な話が多い・・なんでそこで友達紹介?!コイツ自由すぎるだろッ!)」
数十分という無駄にデカい声で無駄な話が続いていく。
生徒の中にはイライラしてそろそろ罵声が飛ぶ様な様子。
はたまた耳を塞いで下を向く者、あるいは今にも吐きそうな者。
想像以上に地獄絵図だ・・コイツは何故こんなにも嫌われているんだ?
才能だ・・ある意味ここまでみんなから汚物の様に扱われるのは才能だ。
『・・でな!僕は一つ生徒会長になった事で目標があります!それはね・・この学園にいる馬鹿共・・いや猿共に僕なりの指導を施そうと思うよ!』
『ざわざわ・・ざわざわ・・』
『僕は思ったんだよ!もうね・・頭の悪い奴らばっっかじゃんこの学園の人達みんな!それでね!先生が思った以上に無能なので』
『なんだとぉッ!!先生に失礼だろッ!』
「僕がリーダーとなってね・・そう!あの進撃の砂塵の主人公エリンギ・メーカーの様にね!僕が主役・・リーダーとなってみんなを従えてこれからは教育しようと思うんだよ!」
マジかコイツ・・正気の沙汰ではないぞ?!
そんな事をすれば学園崩壊は間違いなし。
それどころかコイツの親にだって影響するだろ?!
堕舞黒の親はどういう事か政治家だし・・一歩間違えればタダではすまんだろう。
どこまで馬鹿なのはコイツが初めてだ。
『ふざけるなぁッ!誰が従うかッ!』
『あ゛?てめぇらに人権ねぇぞ?もう決めたんだからなッ!これからは僕がルールであり僕が偉いんだよッ!ふざけた発言した奴・・どこだよ!大人しく手をあげるか前に来いよッ!』
「上等だッ!てめぇいい加減にしろよおらぁッ!」
「そーだぞ・・このヤロウッ!」
ま、まずい・・暴動の手始めと言わんばかりに二人の生徒が・・。
あ、てかあの生徒この前俺と山田の前に現れたヤンキーモドキの・・。
そうか、アイツらも堕舞黒の事は流石に気に入らないのか。
そりゃあそうだろうけど・・。
ていうかヤバいぞ・・気づいたら二人ともステージの上じゃないか。
もう周りのざわつきがMaxだよ。
「もう許さんぞ貴様・・この前の生徒会のあんちゃんの様にいい奴がおればやはりお前みたいな阿呆もおるのは分かっておったわッ!」
「(それ多分俺の事だろうな・・)」
「せやぞボケコラッ!一度お前の様な奴はいてこましたるさかいッ!ワシらの認める生徒会長は山田さんだけやッ!俺は認めへんぞ!認めへんぞッ!」
「(それ多分俺の事だろうな・・)」
遠いステージを見守る事しかできなかった俺。
しかし、心臓の鼓動が早くなっていったその時ッ!
「おい、やれッ!」
「ハッ!!」
突如、堕舞黒の前に現れる謎の黒服達。
サングラスをかけてあの体格の良さはまさか・・SPって奴か!?
その黒服の男達は八人であの二人を取り囲み、袋叩きにするッ!
「ぎゃぁッ!!ヴぉぉっ!!」
「貴様ッ!良くも堕舞黒様に暴力をッ!」
「や、やめてくれぇッ!」
ひ、ひどすぎる。
周りのざわつきが止み始めついに沈黙と唖然とする一同。
全ての者が察した、この状況は絶望の日常の始まりだと。
そして、知る由も無かった。
ここから始まるのがまだ苦痛の一段目であり。
まだ、ありえるはずのない常識を超越した物語の始まりであると。
俺は知る由も無かった。
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