第九十五話「今は無き過去の山田の姿」
「山田・・お前何があった?今日一段と色んな意味で変だぞ?」
「何が?私はいつも通りだよ?」
「あー・・でもなんだか今日は確かに雰囲気変わってますよね・・いつもの山田先輩よりなんだか・・大人しいって言ったらアレですけど・・こう・・なんて言ったらいいんでしょう」
「なんだか・・上品な人って感じです」
「それだよ、苺、俺が言いたかったのはそれだ」
「上品?私が?」
そうだ、何か前のアイツと異なる性格をしていると思ったが。
その通りだ、気品がありすぎるんだよこの山田。
どう考えても今までより何百倍も大人しく凛々しく気品だ。
こんなにも洗礼されていそうな人物を果たして山田と言えるのか。
いや、ここにいるから言うしかないんだけどさ。
それにしたって認めたくないモノだ。
あの山田がこんな風になっているなんて。
大人っぽくて気品があって清楚で別人の様。
何があったというのだろうか‥本当に。
「な・・なあ、本当に山田なんだよな?」
「本当に山田だよ?今日も面白い反応だよ、きっくんは」
「(どうもこの微笑みが疑いの余地ありなんだよな・・作り笑いって言ったらアレだけど・・なんというか・・心から笑っている時の山田じゃない・・様な)」
「きっくん?またそんな私の事見て・・恥ずかしいってば・・」
「あ、悪い・・つい」
どうしてもこんなにも劇的変化があるとジロジロ見てしまう。
溢れ出る好奇心が心から抑えられない。
「あ、そういえばこんなところで話してる場合じゃなかった・・今日朝から朝礼の準備で忙しいから・・また後でね」
「あ、おい・・」
急ぎ足でこの場を去る山田。
まだ話したい事が沢山あったのに・・残念だ。
また次の機会話せるだろうか。
話せるよな・・きっと。
それより気がかりなのはやはりあの変わり様だろう。
「行ってしまった・・一体何故あんな風に・・」
「去る時もやっぱり山田先輩の前の感じではありませんね・・」
「凛子お姉さん・・前より綺麗にはなっているけど・・綺麗になりすぎている様な・・」
そうだよな、苺のいう通り今の山田はなんだか違う。
どこからどう見ても【そういうフリ】をしている様なモノ。
なりきれている様でなりきれていない。
山田らしいといえば山田らしいが。
何故そんな真似をするのかが気になる。
やはり、前の事を引きずっているからだろうか?
だとしら、俺からなんとかするしかないだろう。
今度もう一度会って話をしよう。
話せばきっと山田は分かってくれるはずだ。
今はそう信じて、俺達も学園へ向かうしかない。
こうして、俺達のまた運命の物語が幕を下ろすのだった。
不穏の空気に呑まれながら、小さな光は何を映すか。
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