第九十四話「再開する親友?」
今日も今日とても賑やかな登校道。
そんな寂しさを感じさせない雰囲気でもやはり物足りないモノがある。
山田の存在だ、いつもアイツの事を鬱陶しいなんて思っていた日もあったが。
今になってやはりいないだけでその存在の重要さを感じさせてくれる。
なんだかんだアイツがいて楽しくない日々ってのも無かったからな。
早くアイツに会っていつも通りの日常に戻りたいものだ。
その前にやる事言う事とか色々いあるから簡単には戻れないけど。
こう・・ふらっと突然現れてくれないかな・・。
「きっくん、おはよう!」
「えっ!?山田!?」
「山田先輩?!」
「凛子お姉さん??」
空気をよむ様に山田の声!?
まさかの展開に俺は正直驚いたが・・。
でも内心アイツに会えるとなると、とても喜ばしい事だ。
きっと振り向けばそこにはいつものアイツの姿があるに違いない。
そう思った矢先に目に移った光景はまた別の意味で驚くモノだった。
そこにいたのは確かに山田で間違いなかった。
だが、どこかおかしい。
具体的に言うなら髪の毛だ、なんだか短い。
そう、セミショートボブという奴だろうか。
その髪形とよく似ている、というよりそれだろう。
何が言いたいか、振り向けば髪形をバッサリ変えていた奴と遭遇したのだ。
そう、山田のあの特徴とも言えるロングヘアーがないッ!
どうしてこうなった!?
「ややややや・・山田おまおま・・お前髪の毛ッ?!」
「山田先輩髪・・切ったんですか?!」
「凛子お姉さん・・なんだか大人の人みたいに・・」
「ふふ・・なんだか吹っ切れちゃって・・・思い切ってやってみたの!」
「(いやお前笑顔で噛み切った事に対して思い切ってやってみたのじゃないでしょうが!?女の命とも言える髪の毛そんな簡単に切ってええのか?!ええのか?!)」
困惑して他に言う事も出てこないがご覧の有様である。
山田が見た目を変えた事にそりゃあ周りもびっくりするだろう。
あの長くありつづけた特徴的印象は誰の目からも残るモノ。
それが無くなったのだから、驚くのは無理もない。
「もう・・そんなジロジロ見られると・・困るなぁ・・」
「いや、普通見ない方がおかしいと思うけどな!!」
「はは・・だよね~・・」
「ん?山田?」
「どしたの?」
気のせいだろうか。
山田の姿どころか雰囲気も少し変わった様に見えた。
流石にそれはないだろうとは思うが、なんとなく前より色っぽい。
と言ったらアレだが・・なんだかあの自由人ぷりな気配がない。
一度合えばどんどんうるさくなるのが山田だというのに。
それがない・・一体どういう事なのだろうか。
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