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第九十一話「優しさを感じて」

いつまでも止まない振り注ぐ大雨、心を不安にさせる風景。

心はいつまでたっても震えている。

臆病なままで、一歩も歩けない。

このまま、ずっとこうやっているんじゃないかと。

そう思ってしまうくらい、歪む考え。


「・・空は暗いな、俺の心まで暗くなっちまうじゃねぇか・・あ、それは元からか・・」


「せんぱーい!お待たせしました!おかゆ作りましたよ!少し時間かかりましたが・・大丈夫ですか?」


「えっ・・ああ!心配ないよ・・またちょっと考え事さ」


「そうですか・・なら・・良いんですけど(きっと山田先輩の事ですよね?しょうがない先輩!)」


「(また・・山田の事とか色々考えて勝手に落ち込んでいたなんて言えないな)」


気づけばもうお昼ご飯の時間。

またしても愛川が作ってくれたごはんに世話になる羽目に・・。

なんだか、今日は本当に申し訳ない気持ちが沢山こみあげて来る。

やだな・・心に響くからさ。


「先輩食べれますか?あーんした方がいいですか?」


「はは・・流石にこの年でそれはね・・自分で食べるよ、ありがとう愛川」


「いいんです!先輩の為なら当然です!」


「ああ、本当にありがとう・・いただくよ」


こんなにも心が温まる。

たった一言『先輩の為』という言葉にすら俺は泣いてしまいそうだ。

俺にそこまで思ってくれる人がいるという事。

俺の事を心配してくれている人がいるという事が身に染みて分かる。

もう、こんな人には誰も寄り付かないと思っていた今の自分には。

最高の慰めだ、感謝の気持ちで沢山だ。

心から、何の疑いも無く感謝できる。

だからこのおかゆもじっくり味わって食べよう。

レンゲを持って一口ずつよく噛んで飲み込んで。

良い塩加減に良く煮込まれている米、最高だ。

美味しくて食欲の無かった俺の喉にも良く通る。

なんて幸せなご飯だろう。


「あ、先輩・・もう・・」


と、何回もすくって食べてを繰り返していると。

愛川が急に俺の顔に人差し指でスッと何かをふき取る。

なんだろう、米でもついたかな?


「はしたないですよ?先輩」


「どうした・・愛川・・あ、まさか米でもついてたか・・?」


「違いますよ・・先輩の顔から流れてますよ?涙が・・です」


「・・えっ?」


自分では誤魔化しているつもりだった。

俺の中では絶対に泣いていないというつもりだった。

だけども、現実はどこまでも違った。

俺の予想とは裏腹に顔からは我慢していた涙があふれていた。

小粒の抑えきれない涙が、限界を超えて流れていた。


そう、支えられる優しさに耐え切れず。

体はもう、我慢ができなくなっていた。


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