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第八十七話「休息の昼休みとすれ違い再び」

その後も順調にテストを終えていく。

数学、社会、小休憩をはさんで英語、理科で終わり。

五教科にしては今回もそこまで難しくない問題ばかり。

下手したら前より成績が上がっているかもしれない。

今回のテストは手ごたえを感じている。


「なにはともあれ・・疲れた・・そして腹が減った」


テストにやりがいを感じたのは良い事だが。

流石に小休憩のおにぎりだけでは無理がある。

この総合テストの何が辛いか、朝七時登校から全速力でやる為。

かなり巻き気味のスケジュールでやらなくてはならない。

俺自身、正直もう、ぐったりである。


「お疲れ様です、先輩!」


「あー・・愛川ァ・・お前もお疲れ~」


「フフッ・・だいぶんお疲れの様ですね」


「ご覧の有様だよ、流石に昼に向かって全速力は辛いわ」


気が付けば俺の目の前に優しい微笑みを浮かべて現れる愛川の姿があった。


お昼になった事もあり先生は全てのテストを採点。

一日で全てのテストの採点を終わらせるのは流石に無理じゃね?

と、思うかもしれないがそこは七大ここスゲェにあやかり。

どういう事か一時間あまりで全ての採点が完了する恐るべき速さ。

一説では先生は新人類なのではないかと噂される。

真実はさだかではない。


話がそれたが生徒達はその間お昼休憩である。

待望の昼という事もあり生徒達はひと時の安らぎを過ごす。

まあ、いつも通りと雰囲気は変わらないが。

普段よりざわつく教室が多いのは確かではある。


「テストどうでしたか?」


「まあまあ・・ってのが正直な感想・・愛川は?」


「うーん・・私も正直自信はないです、前のテストも20位前後だったので・・」


「え、それってかなり好成績じゃないの?」


「はい!私、勉強は得意ではないですが・・以前先輩にお前に勉強教えられると助かるわって言われたのがすっごく嬉しくて・・先輩の分からない所苦手な所含め三年生の勉強は全て把握してます!」


「わー!ありがたいけど苦手分野教えた事も苦手な所教えた事もあまりない~」


久々にしっかりとしたヤンデレで何故か喜んでしまう自分。

さも当たり前のように好きな相手の全てを知ってるヤンデレ。

そうだよ、こういうのだよ。

良かった、愛川にもしっかりとした部分があって。

いや、実際は良くないけど。


「あ、ちなみに今日は要望に応え弁当は控えめにさせていただきました!」


「あ、ありがとう・・(控えめ・・小さくはなったが三段は変わりないのか・・)」


いつもの愛川特性弁当、本日は一般的なサイズの弁当が三段。

なんだろう、良いような悪いような・・いや、作ってくれた事には感謝しないとな。


「さて中身はなんだろうな・・」


「今日は先輩に精を付ける食べ物を用意しました!」


「オウフッ?!これはまた斬新な・・」


凄いな、弁当の中身が全体見渡しても精のつく食べ物ばかりとは・・。

というか何故精の付く食べ物ばかりッ?!


「愛川・・こ、これはどういう意図でこういう弁当に?」


「はい!山田先輩と・・その・・上手くいってほしいなぁ・・と思い・・最近私が想像するよりはるかに山田先輩といる事が多くなってきてました・・今朝もあんなにラブラブイチャイチャ・・」


「(見られてたッ?!)」


「このまま来年の春には伝説の木の下で告白なんて事もありえるんではないかと思ってます・・」


「はは・・伝説の木はこの学校にはないけど・・まあ・・そのありがとう・・」


理由はどうあれ愛川が作ってくれた弁当だ。

遠慮なく食べさせてもらうとしよう。


「うん・・やっぱり愛川の作る飯は美味いよ・・」


「本当ですか!ありがとうございます!」


「いつか家で毎日味噌汁作ってくれる仲になってくれたらなおの事良いんだけどなぁ・・」


「えっ!?」


ここでさりげなく一言褒め言葉と同時に愛の一言。

さあ、今日の愛川は受け止めてくれるか。


「わ・・私より山田先輩の方が断然お味噌汁は美味しいですよ~・・それに私では先輩を完全に幸福な家庭へするのはむむ‥無理ですよきっと・・というわけで山田先輩に美味しいお味噌汁を作ってもらうのはどうでしょう!名案です!」


「(ダメだったか・・いつも一瞬だけ照れるから・・ん?てことは好きではあるんだよな・・いや、どうなんだろう・・単純に恥ずかしいだけとか・・)ウーン、カンガエトコウカナー」


「はい!きっと恵まれた家庭になると思いますよ!」


「(うーん・・どうしたら愛川に伝わるだろう・・やはりこんな安直作戦では不可能・・やっぱりここは思い出を沢山積み上げてからもう一度真剣にアタック・・)」


いつまでも悩まされる愛川に振り向いてほしい作戦。

俺的テストより難解だよ、いつになったらこの想いは伝わるのだろう。


「先輩・・?」


「ん?どした?」


「なんだか浮かない顔していたので・・どうしたのかと思って・・」


「ああ・・愛川の事が好きすぎてさっきから愛川がどうやったら振り向いてくれるか頭の中であれやこれや考えていた・・」


「そうなんですか!?」


しまった・・口が滑って愛川の事をどう思っているか本人の前でしゃべってしまった。

まずいな・・流石に嫌われただろうか・・。


「先輩ッ!!」


「わ、悪い今のは・・」


「考え直してくださいッ!!病気ですッ!私を好きになるなんて病気だと思うんですッ!!」


「畜生ッ!!そうじゃないだろッ!!」


どこまでもすれ違う互いの【好きの方向性】。

果たしてこの恋愛の先に俺のゴールはあるのだろうか。

まだまだ遠い見果てぬ先を見て、今日もまたすれ違う。


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