第八十五話「開幕 総合実力テスト」
来る日も来る日もいつまでも色あせない賑やかな日常。
いつの日か賑やかな日々が当たり前のように流れるようになった。
今までと違う毎日が楽しい日々、いつまでも流れてほしい時間。
そう感じられるほど、今がとても楽しい。
愛川と出会い、これからも毎日を過ごしたいという思い。
山田と三年を過ごして最後まで共に頑張りという気持ち。
大和に見せられる、好きな人に伝える思いの強さ。
田畑から教わる、好きでいる覚悟。
それだけじゃない、藤宮、武蔵、華蘭・・沢山の人に出会い。
沢山の事を見て、沢山の事を学んだ。
学んだ数だけ、先の長いこれからも歩いて行ける。
だから、今日この日も勇気を持って歩こう。
そう、ついに始まる【学年総合実力テスト】だ。
まだ登校中の門前だというのにこの溢れ出るプレッシャー。
周りから伝わる緊張感とオーラは流石のモノと言える。
みんな短い期間で予習も復習も全てやって来た。
今日という日までにリベンジをする者。
今日も予定通りの順位を取ろうと余裕をかます者。
みんな、それぞれの思いがヒシヒシと伝わって来る。
確実に言える。
今日は運命の日であるという事。
「やあやあ!きっくんッ!朝から絵になるねぇッ!」
「やかましいわ山田」
「あはは!そう怒らない怒らない!ぎゅーッ!」
「お前はな・・」
朝から俺の後ろから両腕で抱きついて来るお気楽女。
山田である。
朝からお気楽ムードが絶えないのはまだいいとして。
緊張感ぐらいはあっても良かったと思う。
まあ、山田が緊張感あっても困るけどな。
「朝から元気そうだな・・その分だとテストも余裕だろう」
「あたりまえよ!この程度のテスト乗り越えないと・・私達卒業寸前でこの学校からいなくならなきゃいけないからね~・・それを阻止するためにもまずッ!このテストを勝ち抜き!今度の集会でどうどうとイジメに決着!晴れて私たちは無事卒業できるッ!」
「だといいんだけど」
「もー!そこはできるのッ!【流石山田だぜッ!】的な事言ってくれないとッ!」
お前のテンションが朝から高いからだろうがッ!
いや、不安を作らない様にムードを上げてくれるのは助かるけど。
まあいい、逆に乗り気が無さすぎて心配されても困る。
ここは山田に合わせておこう。
「流石山田だぜ」
「それでよーしッ!」
「(結構適当に言ったのにッ!?)」
「さあ!今日も一日・・がん・ばる・ようッ!」
「フッ・・どこまでもテンションが高い奴め」
ごり押し気味なあのテンションの高さ。
流石は山田だ。
ムードメーカーとはよく言ったモノ。
意気揚々と学校の校門へと進む姿に続くように。
俺も、もっと自信を持っていこう。
運命の戦いの幕開けだ。
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