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第八十話「お詫びしか出ない」

「本当に・・本当にすいませんでした・・」


「凄い、わりといさぎよく負けを認めてくれた」


「あまりにも凄すぎて感動した」


「もうしません」


なんとも哀れである。

あんなに威勢の良かった不良三人組が土下座をして謝罪をしている。

もはやそのいさぎよさはある意味では良い部分と言えよう。

いやもう良いも悪いもないんだけどさ。


「まあ、これに懲りたらもう二度とこんな真似はすんなよ、あと傍迷惑だから」


「うっす・・本当にすんませんした・・」


「あ、兄貴・・もう大人しく帰ろう」


「せやな・・せやな・・」


トボトボとここを過ぎ去る様はもはや本当に本当にどこにでもいるチンピラの姿。

負けた姿も彼らの特徴と言わんばかりの後ろ姿である。

烏の鳴き声が自然と聞こえてしまうほど、あの後ろ姿には。


「もうこりごりだ」


という言葉に似合いそうだ。


「二度と来るなよ~この営業妨害野郎共ッ!!」


鬼龍院さんの追い打ちの様な一言である。

笑顔と明るい声でそんな事言われたら流石の彼らもメンタルブレイクされるから。

本当に勘弁してあげてください。


「(クソみたいな発言をするプレイヤーまさしくクソプレイヤーだね)」


「(スケッチブックとはいえやめてやれよッ!!)」


西園寺さんらしいけどな。

むしろこの毒舌が無くなったら西園寺さんではないだろう。


「頼むからそれ以上は言わないでくれぇぇッ!」


「ちくしょぉぉッ!!」


「もうお家帰って寝るッ!」


ほら、三人が泣きだして逃げたよ。

これもうどっちが悪いのかはっきり分からんな。

なにはともあれ無事事件解決である。

田畑も良くやってくれたよ、本当に。


「お疲れ、田畑」


「いえ、特に疲れもなんも無いですよ・・いつも通り戦っただけです」


「いつも通りね~・・俺にはわりといつもの数倍力強い動きに見えたけど?」


「愛美先輩までそんなこと・・本当にいつも通りですよ~」


なんだか笑顔の裏に色々誤魔化されてそうな気もするが。

きっと気のせいだろう。

それよりもだ、俺的にはもっとやるべき事が今はある。

あの襲われていた中坊共だ。

無事解放されて安心している様で怪我もなさそうだが・・。


「少年、怪我はないか?」


あ、やっぱりお前が声をかけるのね。

まあ・・俺は何もしてなかったし・・当然は当然なんだが・・。

身長と声もだいぶ大人びてるからその【少年】って言葉がよく似合うよ。


「は、はい大丈夫です・・」


「あ、あの・・ありがとうございます」


「礼には及ばない・・だが一つだけ聞かせてもらおう」


「な、なんですか?」


「あの賭けを最初に言い出したのはどっちだ?」


「俺です・・けど」


「馬鹿野郎ッ!!」


た、田畑がキレた!?

いや、さっきからキレてたけど・・。

まさかそっちに対しても怒りを見せるとは。

一体、何故田畑は被害者である中学生にもキレてしまったのだろうか?

あの真剣に眉間にしわを寄せる表情・・何かあるのだろうか?


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