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七十七話「満ち溢れる自信」

俺の経験談だが・・大半の場合人はトラブルを見るに見て見ぬふりをする。

理由は自分も余計な事に首を出して巻きまれたくないからだ。

それは誰だって当然である。

全くまって不可思議でも無ければ不自然でもない。

だが、ごく一部の俺の様な馬鹿はそういったトラブルに首を突っ込む。

理由は許せないからだ。

それ以外の理由はない、たとえ馬鹿にされたとしても捻じ曲げる理由はない。

それはこの場で覚悟を見せた田畑がよく分かっているはずだろう。


「し、審判だと・・何を言ってやがる・・」


「簡単だ・・この場で俺にもその勝負をさせろと言っている・・」


「しょ、勝負だと・・ふざけやがって!俺とお前が勝負したところでなんのメリットがある!」


「俺は優しい・・こういったクズ相手にもちゃんと代金は俺が支払う」


「それだけかぁ!?」


なんとずうずうしい人らだ。

いや、不良相手にずうずうしいもなにもないけどさ。


「(なんなら私とこの愛ちゃんの身を賭けてもよござんすよ)」


「そーだな、それなら文句あるまいよ不良さん?」


「(えっ・・それはいいのか?!)」


田畑の勝負に女性自らが身を捧げるだと!?

お、俺としては絶対に止めたいところだが・・。

なんだろう、この二人の妙に自信に満ちた表情。

もしかして・・田畑の事を信頼している?


「よ、よしてください!こいつらめちゃくちゃ・・」


「貴様は黙ってろッ!!・・ふむ、その嬢ちゃんを賭けるのか?なんなら受けてもいいぜ」


「よーし・・言ったな?じゃあさっさとスタンバイしろ・・」


「(ふん・・馬鹿め・・このメガネは知らないかもしれないがこれでも俺はかなりの実力者・・それに対してこのメガネロクな実力が無いと見た・・勝ったな)」


「(ところでコイツレバー持てんのかな・・)」


なんだろう、緊張の一瞬なのにどことなくかみ合ってない二人。

そんな脳内が見えるのは気のせいであってほしい所だが。

イヤ・・それよりも気になる事が一つある。


「こんな無謀な賭けに付き合って大丈夫ですか?先輩方」


「(安心しろ・・田畑は強い)」


「お前もアイツの親友なら・・分かるだろ?」


「そりゃあ・・まあ強い噂は知ってますけど・・それが他所で通じるとは限りませんし・・」


なるべく田畑には勝って欲しいところだ。

だが、相手ももしかしたら田畑以上の猛者かもしれない。

それだけが不安だ、ゲームなんていくらでも実力者はいるはず。

田畑がどれだけの実力にもよるが、果たして運命はどちらの味方をするのだろうか。


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