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第七十六話「審判の時」

ほどなくして謎の成長会話を遂げた俺。

案の定結局田畑に菓子とラムネを奢ってもらう事になるのだが。

安心と信頼のこの雰囲気の中、まるで世紀末漫画の展開の様に。

突然として謎の事件が起きてしまう。


「キャァッ!放してッ!!」


「や、やめろぉぉッ!」


「・・なんだ・・近くから悲鳴?」


鬼龍院先輩が気にかけるほど近い場所からの悲鳴。

場所的にはあのアーケードが置いてあったあたりだろうか。

俺達は気になって仕方がないので鬼龍院先輩の後を追う様について行く事に。

そして、その先で起きていた事件はまさにテンプレと言わんばかりの状況。

絵にかいた様なヤンキーと中学生カップルが襲われているのである。


「なんと・・テンプレな」


「柳原先輩分かってても言わない約束です・・この近くの中学生では無さそうですね」


「どう考えてもうちらの連中じゃないけど・・襲われてるのはうちらのところだろ」


「(まさしくピンチだが・・この状況を高みの見物する気かい?)」


事件としても一体何が起こっているか分からない。

安易に首を突っ込んで問題にしたくないのだが・・生徒会の1人として。

この手の事件を見過ごすわけにはいくものかッ!


「そこの不良ッ!!」


「(先輩迷いなく注意しに行った?!)」


「なんだ・・てめぇ?」


振り向けばやっぱりテンプレ的なチンピラの顔。

デブ・ガリ・モヒカン・・三人とも典型的すぎるッ!


「うちの生徒に乱暴な真似は止めてもらおうか・・手を出すならこっちもそれなりの対処をさせてもらう」


「はん・・言いやがる・・俺達はただ賭け事の取引に白黒つけてるだけだぜ?」


「賭け事・・なんだそりゃあ・・俺の店を賭博同然に扱うなんていい度胸してんじゃねぇか」


「(愛ちゃんの店は売春目的の為の出会いの場でも無ければギャンブルの場でもない、よそで盛ってろよサル共)」


「おお・・そっちの美人も良い面してんなぁ・・口使いが悪いのが難点だが・・」


「人の質問に答えないと肉破片になるぞ?」


「うっ・・(なんだこの金髪女・・ただの女じゃねぇ・・まああいいどうせハッタリだ・・)」


「あんな!兄貴は先ほどこの糞みてぇなゲームの機体でちょいと一勝負したわけよ!コイツ馬鹿でさー!まんまと俺らの賭けに乗ってコイツの彼女を賭けて戦った結果見事にボロクソに負けやがってよッ!!だっせーたらありゃしないぜ全くッ!!」


なんというか内容があまりにも酷すぎるから何もツッコまないが。

彼女を賭け事に巻き込むのもいかんせん男子としてどうなんだ・・。

いや、それよりも今はこの問題に対しての解決をしなくては。

説教は後ですればいい。


「貴様・・もう一度言ってくれないか?」


「あん・・なんだくるぁメガネっ!聞いて無かったのかぁよ!」


「すまない、あまりにも突然の発言で聞いて無かった・・その機体に対して今貴様はなんと発言したか・・もう一度だ・・repeat after meだ」


「た、田畑?」


なんだか田畑の雰囲気がおかしいような。

こ、コレってマサカ・・なんだろう・・大和と同じ匂いがする・・。


「だからなぁッ!このゴミゲーム機体を使って賭けをしたんだっつうのよッ!それで兄貴が勝利~!コイツ頭悪くてたまらんわ~!ここにいるポンコツがこのゲームの機体の柔道着男使って負ける様はほんま笑うでッ!」


「・・なるほどな・・お前らがいかなる人間であり・・罪をその身にいくつも持ち歩いている大罪人だという事はよくわかった・・」


「あ?」


「(お、流れ変わったな)」


「まあ・・なんとなく杉坊がスイッチ入ったんじゃないかと思っていたけどよ・・へへ」


やっぱりそうだ・・田畑の様子が完全に変わった!!

普段取りもしないメガネを胸ポケットに入れて、前髪を両手で後ろに持っていく姿なんて。

滅多に見ない、というより絶対見る機会は・・無いッ!!

田畑にもあったんだ・・許せない時に入る・・覚醒がッ!

不良に威勢よく向けて指を差す姿はまさに真のイケメンッ!

ただの変態が・・勇者にクラスチェンジしやがった!!


「勝負だ、てめえの審判は俺が下すッ!!」


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