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第六十六話「まさかの」

時は決戦の地、アーチェリー部練習場。

ここでは数多くの部員がアーチェリーを練習する。

当然と言えば当然の話、しかしこうやって決闘の場として使われる事は滅多にないだろう。

しかし、強くなびく風と共にこの場の雰囲気は冷たくなる一方。

部の練習場が一気に冷たい戦場へと変わっていくのである。

不安にも見ている事しかできない俺そして夢子。

夢子が不安がるのも無理はない、さっきまで無表情という鋭い目をしていたのに。

いざこういう場になればこんなにもわかりやすく悲しげな表情になるのかと驚き。

そう、さっきはこうだった。


 ◆


「大和!無関係な貴方をこの問題に巻き込むわけには・・」


「赤薔薇さん・・俺はアンタのこの部に廃部になってもらいたくない・・」


「大和・・」


突然の賭けの話に困惑し、さらには大きな不安を抱える夢子。

普段はあんなにも強きなのに、こんなにも弱気になってしまえのかと少々俺も驚いた。

まあ、誰だって無関係な人物にそんな事はやってほしくは無いわな。


「心配しないでください・・絶対・・この部はこれかも継続してほしいんです・・」


「どうしてそこまで・・貴方にこの部にそこまでの価値があるというの?」


「決まっています、俺は・・この部をこの学園の太陽だと思っています」


 ◆


あんなに止められてもすんなり言える部分、部の事よりもおそらく。

アイツは純粋な気持ちで絶対に夢子の事が好きなのだろう。

だからこそ彼女の支えであり場所でもある部を奪う事を良しとしないと。

わざわざ勝負まで受けたわけなのだろう。

流石だ大和、この面構えに堂々とアーチェリーをするという姿勢はまさに天才。


「(まさか俺の得意なアーチェリーを選択して来るとはな・・まあいいさ、アイツの冥途の土産に僕の完璧なアーチェリーさばきを見せてくれる・・)」


信二君もかなりやる気だ、しかも得意分野だからなおさら。

だが、得意分野を選択したのはきっと大和にも何かあるのだろう。

主人公的人間の策・・まさか自分も元・アーチェリー選手とかだろうか。

大和がいまいち何を考えているかサッパリだが・・大丈夫だろうか。


「大和・・一様聞いておくがアーチェリーの経験は?」


「無いですけど?」


「無いッ!?経験無し?!」


「(経験無し・・血迷ったのか?俺のライバルとも言える・・いやもはやライバルでもなんでもないがな・・よもや俺の得意な分野で負かして何も言えなくさせる戦法だったが・・アーチェリーは天才のお前と言えど場数がものを言う・・経験無しで天才的才能のお前を持ってしても・・この勝負・・俺の勝利は揺るがないッ!!)」


ヤバいぞ、コレ。

もしかして大和はマジな天才補正で相手の得意なアーチェリーで負かし。

勝利をもぎ取れるとか錯覚してるのだろうか。

だとしたら・・本当に慢心が過ぎるだろうッ!!

これ俺も不安になって来たぞ・・何故本当に大博打の様な選択を選んだ。

これ、どうなってしまうのだろうッ?!


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