第六十五話「信二と大和」
「待て、信二」
「・・その声は」
俺が止めようとしたその時、俺の隣をすらりと通り抜けて現れる者。
それは大和だ、同じ二年生の大和だ。
「大和・・お前・・」
「先輩、アンタが生徒会でありこの場を収めたいって気持ちは分かる・・けれどもここは俺にやらせてください・・いや、俺に任せてください・・コイツの暴走は・・幼馴染である俺に止める義務がある」
幼馴染・・そうか、なんか二人の初対面ではないオーラがあったと思ったら二人は幼馴染。
因縁の対決って奴なのかも、それに互いに許せない部分があると。
分かり合えない運命に今ここで決着をつけてやりたいと。
「・・分かった、ただし暴力沙汰になったらすぐ止めるからな」
「その時はお願いします」
「大和、また俺の邪魔をするか・・何故部外者のお前が園芸部の肩を持つ」
「俺は赤薔薇先輩の二年生の頃必死に園芸部で花を育てて飼育部では多くの動物を愛をもって育てていた・・少なからず俺は入学当初から優しい人であると同時にどんなに孤独でも部活を続けられる雄姿に感動した・・」
「が、現実はどうだ?この通りどんなに努力しても部員は集まらない、おかげで継続も困難というのにいまだに根強くこの部室に根っこを生やしてぶとく生き残る、いくらなんでも功績一つもない部活をノコノコとのさばらさせておくわけにはいかないんだよッ!」
激怒するのも無理はない、彼にとってそういうのが許せないんだろう。
実績すら出せない部活は大人しく今のうちに消えておけと。
そういう感じの扱いを受けているのだろう。
「この最後の三年目で園芸部の未来が開花するかもしれないだろ」
「見るまでもない、最後まで滅びゆく運命だねッ!!」
「いい加減な自信は身を亡ぼす事になるぞ・・信二」
「それはこっちのセリフだ・・無い自信振りまいて英雄にでもなったつもりか?」
「・・英雄ね・・だったら英雄になってやるよ」
「どうやって?お前はこの園芸部に何ができる?」
「お前確か・・廃部をするかしないかはいつも何らかの勝負をしていたよな」
「そうだな・・どんな部活にもどんな勝負にも付き合ってやったさ・・天才の僕に敵うはずがないけどね~」
信二も決して強制的に立ち退いてもらうとかそういう事はしない。
相手を完膚なきまでに反論できなくさせるべく一度は賭けをする。
それが廃部を賭けた部ごとの勝負である。
ハンドボール部の時は部の試合で11人対一人の勝負で圧勝。
吹奏楽部のと時は特別な審査員を用いてソロ演奏三本勝負で完全勝利。
時を同じくして天才の信二とはよく言ったモノ・・主人公補正の強い大和と言えど。
いくら何でも今回は勝負を自分の得意なモノに絞らないと勝てないのでは・・。
「勝負しろよ、負けたら廃部を帳消しにしてもらう」
「ほう・・面白い、一体やまやま大和君は何で僕と戦うつもりなのかな?」
大和が選ぶ勝負項目・・一体なんなんだ・・。
緊張が走り強い風が吹くこの一瞬、奴が選んだ勝負・・それはッ!
「お前得意だったよな・・アーチェリー」
それは・・アーチェリーッ!!
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追記:多事情により弓道からアーチェリーへと変更させていただきました。




