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第六十二話「社会の先生は天然の」

「・・っとこのようにかつてこの戦争はこうなっており・・第一次世界大戦の幕開けの・・」


「(うん・・平和・・)」


思わずにこやかになってしまほどほのぼのとした環境。

眩しい太陽の陽ざしがこの教室を良く照らしてくれる。

それもそのはず、今授業をしている先生こそ【鬼塚先生】だからである。

茶髪の優しい表情に眼鏡をかけた規則正しいと言わんばかりの服装。

真面目系ほんわか男子とは彼のことをいう。

なにより彼が社会担当というのも【歴史の人達は実に感動的だ】という理由から。

担当教科になりたいが為に必死こいて絶対誰にも社会だけは譲らないくらい。

歴史馬鹿の教師という事である。

いってしまえば一目惚れした歴史に全力を尽くしている。

先生は【感動とカッコイイモノは僕の大好きなモノだ】と語る。

ゆえに歴史は特にそれなんだろう。


「そうヴぇぇぇ・・ヴぇ・・ヴぇぇッ!!この戦いで艦隊のほとんどがぁぁ!!」


「(みよ・・大の大人が号泣してるぞ・・それほどまでに大好きなんだよな・・)」


ここから推測できるかもしれないが彼はとても優しい人だ。

優しい性格をもっているからこそ、自分の意思で生き様を作った者に憧れる。

実に純粋と純白を貫いた性格とも言えるだろう。

ただ問題もあるにはある。


「先生」


「うぃ?」


「感動の最中にすいません・・周りがみんな寝ているのですが・・」


「ん?あ・・ああ・・」


ギャグコメディ漫画なら汗がたらーりと流れでもしそうな一場面。

いきなりの華蘭の指摘にきょとんとしてまう先生。

まあ、この教室に入ってきた時点でうきうきしながら出席とってたし。

返事しない事にも何も疑問を持っていなかったし。

そりゃあその反応になってしまうわな。

さて、どう対応する鬼塚先生。


「えっと・・でもさっきの授業でみんな疲れているいるだろうし・・それにほら・・聞いてる人は聞いてるからね?」


「いけません、それではみんなが先生の事をナメた目で見で教師の眼差しからは遠ざかってしまいます・・先生の授業は聞かなければきっと損してしまいます、せっかくこんなにも真面目にやっているのですからもっと真剣になってください!」


「う・・うう」


すでになんだか立場が逆転している様な・・いやツッコんだら負けだ。

華蘭の言う事にも一理ある。

このまま寝落ちした生徒を放置しつづるのも優しさの1つなのだろうけど。

ここは鬼塚先生の鬼という名にふさわしい心を鬼した態度を見せてほしい。


「・・よし・・今日という日をさかえに先生も変わろう・・城ケ崎さんが言ってくれた事を無駄にしないためにもッ!!」


「その勢いです!」


「うん・・」


よし、先生のやる気やよし。

自分が憧れた歴史の中にも確かに厳しさが必要だった時があったはずだ。

それを共感させるためにも・・今こそ自分も歴史の軌跡になる番だ。


「みんなッ!起きない奴から単位を落とすッ!!」


『それは困るッッッ!!!!!』


「やり過ぎですッ!?」


「(若干勢いが足りないから不安だったけどまさかの下衆の戦法とは・・やるな)」


生徒全員が一斉に立ち上がらなければならなくなるほどの衝撃的発言。

先生は天然の下衆かもしれない。


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