第六十話「国語は戦地である」
さあ、お昼休みも終わってついに四時間目。
この学校の授業も残すところ二時間だ。
まあ、その二時間は俺にとって・・いや、俺達にとって命がけの二時間になる事だろう。
何故なら・・次の授業は・・。
ガラララッ!!ピシャァァアンッ!!!
「授業開始五分前だ・・出席を取るぞ」
き、来たぁ・・ッ!
わが校代表の鬼教師と言えばこのお方。
健室の阿保教師にしか優しくない冷徹無慈悲な男。
たとえ相手が武器を用いて八体一の戦いでも体術のみで全てを裁いた男。
その血に濡れた伝説は数知れず・・ッ!!
元ドイツ軍人の【ルイズ・ディートリッヒ】先生ッ!!
その高身長と体格の良さで全てが伝わるッ!!
しかもこの教師に入って来た時に全ての空気が冷たく変わる。
スタスタと歩いて片手で出席名簿を開く様はもはや紛れもないイケメンッ!
「井沢」
「はいッ!」
「乾」
「ウィイッ!!」
「今川」
「ハイッ!!」
「五十鈴」
「ファイッ!!」
凄い・・緊張の走る一瞬だ・・何故なら下手な返事一つで全てが終わる。
ディートリッヒ先生の前でやる気のない返事一つで脳天チョーク弾不可避。
アレに当たれば即死というレベルではない・・。
「柳原」
「ハイッ!!」
「・・・」
ペンが止まったァァァッ?!
やっべぇぇぇぇッ?!
進んで!
進んでください、そのまま進んでくださいッ!
お願いだから進んでぇぇぇッ!!!
「・・矢部」
「(やったぁァァァッ!!)」
「・・・あい」
「チェストォォォォォッ!!!」
神速の一撃と共に俺の頬を擦って矢部の脳天に直撃ィィィィッ!!
Criticalッ!!
ズドォォォォンッ!!
芸術的すぎるその一撃は漫画が一コマ一コマゆっくりと描写される様な瞬間だ。
グルリグルリと風を切りまっすぐ進むチョークが矢部の脳天へと貫く。
そしてそれがヒットすると同時に矢部は白目をむいて気絶ッ!!
少年漫画の様な倒れ方をしてぐったりと机に倒れたァァァッ!!
理解不能だ・・俺にもこの授業が生き残れるか心配になって来た。
「せ、先生・・」
「どうした・・武蔵」
「あの・・生徒が一人気絶したんですが・・」
「・・気にするな」
「そっすね」
良いんだッ!?
それは良いんだッ!?
先生としてそれはいかがなものかと俺は疑うよッ?!
やべーな、この学校ブラックだわ・・ブラックすぎて笑うしかないわ。
「いいか・・お前ら・・今回は一人の犠牲で済んだ・・しかし次またいつ誰が俺の目の前でこのような無礼を働いてどのような犠牲が出るか分からないぞ?」
「ごくり・・」
「俺の授業で生き残りたければただ一つ・・書き・学び・そして覚えろ・・一つでもできなかった奴からGo To hellだ」
こ、殺し屋の目つきにしか見えないィィィィッ!?
し、史上最も最悪最恐の授業ダァァッ!?
俺の運命はいかにぃッ?!
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