第六話 「カリスマお嬢様藤宮様」
謎の事件から数分後。
特に何事もなく学校へと到着し俺達はいつも通り別々の教室へと向かう。
三年生は全部で五クラスあり、俺は3-Bで山田は3-Aだ。
階段を上って行けばどちらもすぐ近くにある教室なのだが。
その中間にある階段で朝はいつも足止めを喰らう。
何故なら、この二階の階段にいつもご丁寧に待ってくれている人がいるからだ。
「来ましたわねッ!柳原先輩ッ!」
「うわ・・またいるよ・・」
「あ、おはよう!藤宮ちゃん!」
「ああ!!山田先輩ッ!おはようございますですわッ!今日も晴天の朝、美しいほどに輝く山田先輩・・ッ!!」
「うるさいよ、朝から」
「汚らわしい愚民の柳原先輩はお黙ってくださいな」
「へいへい・・」
「ああ・・二人とも・・そんな喧嘩しないで・・ね?」
別に喧嘩しているわけじゃないが・・なんとなく返答を返してやっただけだ。
あと率直な意見として周りの視線に気づいていないだろうから言ってやっただけだ。
このお嬢様口調、うるさいほどの大声、そしてテンションの上げ下げの激しい扱い。
金髪ツインテール、縦ロール、制服が特別仕様、大手企業社長の娘。
もうこれでもかってくらいテンプレお嬢様こと・・【藤宮 瑛里華】。
普段から山田に対して尊敬の眼差しで山田のファンクラブ第二号は間違いないだろう。
要するに取り巻きって奴なんだが、コイツの場合は独占して周りを寄せ付けない。
山田の事を尊敬しすぎて女ならまだしも男が近寄れば即座に権力でねじ伏せる者。
恐るべきお嬢様、そして無駄にカリスマに溢れている。
ま、実際二年の成績はトップ10に入るしな、頭は良い方だ。
これで、この被害妄想の様な性格さえなければ周りからの好感度は高いだろう。
男性は滅多なことでは近づかない。
まさに歩く狂犬と言えよう。
「フッ・・喧嘩だなんて・・はしたない真似が私がするわけないですわよ先輩」
「うーん・・でも凄い口調が喧嘩腰だからね?生徒会としてそれは見過ごせないよ、それに親友にそんな言葉を言われると・・胸が苦しいから」
「せ、先輩の胸を痛めてしまったのですかッ?!も・・もうしわけありませんッ!!ああ、私はなんと取り返しのつかない事を・・ッ!!」
謝罪は俺にじゃなくて山田か畜生。
いや、いつものパターンだってのは分かってたけどな。
「いや・・私じゃなくてきっくんに・・」
「それはできませんッ!いくら山田先輩のご指示でも・・いつも金魚のフンの様に付きまとっている変態にごめんなさいだなんてとてもじゃありませんが私からその様な言葉言えるはずがありませんわッ!」
コイツもめんどくさいな。
いや、別に俺も謝罪は求めて無いし。
もうこの際無視していつもみたいにこの階段を突っ切るしかないか。
「いいからさっさと謝れよ藤宮ァ・・」
「あ゛に゛ゃ゛ぁ゛ァ゛ァ゛ァ゛ッ!!?愛川さんンンンッ!?」
「(愛川ァァッ!!)」
「あ、愛川さんッ!?」
愛川、お前も二階にいたのかッ?!
てか、藤宮の後ろに立っておもむろに定規を首に当ててナイフみたいに脅すのは止めてッ!
止めて愛川ァッ!!
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お詫び
藤宮さんの設定である【理事長の娘】から諸事情により【大手企業社長】へ変更させていただきました。
大変もうしわけありません。