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第五十五話「その名はディートリッヒ」

俺達の目の前に走って来たのは明日香先生。

保健室から出るなんて珍しい・・何かあったのだろうか。


「どうしたんですか?先生?」


「あ、貴方達ですか?!あの大量の患者を作ったのはッ!!」


あーそうとしか言えない要件だった。

ていうか違う俺は何も関わってない。

一緒のチームだったわけで全部山田と武蔵がやった。

って言いたいけど悪気があってやったわけじゃないから。

山田がやりましたなんて簡単に言えるわけないし・・。


「そうです、それ私がやりました!」


「やっぱりッ?!」


「(お前ぇぇぇッ?!)」


何考えてんのこの子!?

馬鹿なの?!

それとも単純な阿保なの?!

なにそんな平然の顔してんの?!

先生もそりゃあ青ざめるわッ!!


「こ、困りますよ山田さん!私だって患者が増えない事が望ましいんです!みんなの傷つく姿なんて見たくないんです!一年目の時の体育でも似たような事してましたよね?!」


「んー・・なんていうか・・みんなが私のボールを受け止めれるくらい・・強くなった方が早い気がしますねぇ・・だって私悪くないし・・勝負にボロッボロッに負けて勝手に保健室に運ばれたっていうか・・」


お前よくその真剣な顔でそんな事言えるな?

なんだ、美人が言っているせいかより真っ当に見えるんだけど。

でも間違っているからね?

どんなに君が真剣な思いがそこにあったとしてもそれは単なる自論だからね?

見なさい、先生もう吐きそうだよ・・プルプル震えているよ。

この人冗談通じないタイプの人間だからブラックジョークはそこまでにして。

お願いだからこれ以上しゃべらないで。


「なんて・・なんて残酷な・・あ、悪魔よ・・」


「えへへ~・・良く言われます・・」


褒められてないよ。

お前が照れても何一つ褒められてねぇよ馬鹿田。


「お願い・・先生山田さんの望む事があるならできる限り何でもするから・・何でもするから・・これ以上はやめて・・」


「えー・・そう言われてもなあ・・私強いし・・」


もう単なる悪人だよ。

この馬鹿にやられた人が本当に可哀想だよ。

最近ちょっと可愛いなあ・・って思った時あったけどこの人ヤバいよ。

関われば関わるほどに嫌な人な感じがあるのは気のせい!?

誰かコイツに一喝入れてくださぃぃ!!


ズバシィッ!!!


「プゲラッ?!」


「てめぇ・・それ以上明日香を困らせるんじゃねぇよ」


「で、ディートリッヒ先生ッ?!」


「(本当に一喝入れられたァァァ?!)」


このデカい身長に美しい風になびくセミショートの銀髪と整えられた素晴らしい黒スーツ。

銀色の瞳に凛々しい表情、冷徹とでもいわんばかりの顔。

間違いない・・ルイズ・ディートリッヒ先生だッ!!


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