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第五十四話「終わりの体育授業」

長かった二時間にわたる地獄の体育授業も終わりの時間だ。

多くの怪我人が出てしまったけれども、それでもとても楽しい時間だった。

ある時は怒って、ある時は怒って、またある時はとても怒った。

でもこんな小さな時間にいっぱい山田に怒った。

何故だろう、心がとても晴れないけど・・清々しいくらい微笑む。

少しばかり顔がにやけてしまい、あの青い空がよく目に映る。

さあ、後は猫鼠先生から試合の結果発表を聞いて終わりだ。

生存者と共に整列をしよう。


「うむ、実に無駄のない動きで見事練習試合をよくぞやってくれたッ!それでこそわが校の生徒達である!というわけで・・お待ちかねの結果発表に移ろうじゃないか!」


まあ、大体の結果は見えているから何も言うまいけど。

こういう発表は別に嫌いじゃない。


「では早速第一位の発表からだ!第一位は・・【チーム柳原】!」


「バンザーイ!そりゃあそうだよねー!!」


「当然の結果だな・・」


「(知ってた)」


当然すぎる結果に驚けない自分がいる。

むしろあの圧勝率は当然だろうよ。


「しかし・・同率一位も存在する・・それは【チーム海王咲】ッ!」


『おお・・マジか・・ザワザワ・・』


「当然の結果よね、私の誇れるチームが負けるはずないもの・・」


「(20勝0敗・・当然だ・・この霧島にかかればあと5勝は軽いとみている)」


「(同率・・嫌な感じ・・)」


同率一位でまさかの海王咲のチームだったのか。

よもやアイツらそこまでの実力が出せるほど強い奴がいたとは・・。

ただの学問専用道楽チームだと思っていたが・・現実はだいぶん違うようだ。

にしてもこんなに離れているのにこの距離からでも分かる山田の嫌々オーラよ。

そんなに同率一位が嫌なのか・・。

ともあれその後も順当に平均的に勝ちと負けを出して。

順位を獲得したチームの発表が終わった。

かくしてこの体育授業は終わり、なんだかとても長い時間を過ごした気分だ。

こんなにも疲れる体育は本当に久しぶりである。

生徒達もいざ授業が終わるととても疲れた様子でこの場を立ち去る。

そりゃあ・・まあ分かるけどな。


「どうしたきっくん!そんなに疲れた顔して~!」


「誰のせいだと思っている・・」


「私かな?」


「分かっているなら言うなッ!」


体育授業の後でもこの能天気馬鹿は気楽そうで本当に困るわ。

一体どうしたらこいつには危機感というものが分かるだろうか。


「あ、あのー!山田さんに柳原さーん!ちょっとイイですか~!!」


「ん?あれって・・」


「ああ!恋馬鹿先生ッ!」


「ヴぇぇッ?!ひどい言われよう!?」


「(いや・・事実だよ・・先生)」


体育授業も終わり帰ろうとしていたその時。

俺達の目の前に走って息を荒くして来た人は。

明日香先生だ、一体焦って走って来たのはどうしてだろう。


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