第五話 「アイツはそういう奴だから」
「グスッ・・ズビィ・・ッ!」
どうしよう・・山田が謎の号泣を始めたぞ。
いや、号泣ってほど泣いてはいないが・・。
「や、山田さーん・・なんで泣いているの?」
「だ、だって・・愛川ちゃん私が怖くて逃げたんじゃないかなぁ・・ってズビィ」
「(ああ・・コイツいつもこうだからな・・何かアレば自分を責める・・いや、ほとんど山田のせいだった事って数回ぐらいなんだけどさ)」
過去に謎の泣きはあったし今更驚く事ではないが。
何も愛川に逃げられたからって泣くことないだろ。
「山田、そんなに泣かなくても愛川はお前に怯えて逃げてなんていないよ」
「ほ、ほんどうにぃ?」
「お、おう・・」
「じゃあ・・なんで逃げたのかな・・」
お前と俺の二人きりの状況を邪魔したっていう謎の罪悪感に捕らわれて。
どうしよう私的な事からアタフタしていたら結果的に逃亡しか無かった。
なんて伝えたら余計パニックになるだろうしな。
ここは別の答えを用意しておこう。
「あ、アイツ・・アレなんだよ・・登校中のカップル見ていると羨ましいなる病患者なんだよ」
「どういう患者ッ?!聞いた事無いけど?!」
「し、新型の病気らしくってさ・・ビフィズス菌の取り過ぎでなるって話だぜ」
「ビフィズス菌の取り過ぎ!?・・ハッ?!」
「どうした?」
「そ、そうか・・やけに胸がおっきな一年生だなーって見ていたけど・・そういう事だったのね・・」
お、コレ別の答えに行きついたパターン来たんじゃね?
山田さんさらに勘違い始まったぽいぞ?
「きっくん!愛川ちゃんは胸の大きさに気にしすぎてヨーグルトを食べ過ぎてしまったのよッ!」
「な、なんだってー(棒)」
「どうりで三年生の私より成長するはずなのよ・・前は柔道着やら剣道着やらの着すぎで胸絞んじゃったじゃない?とか噂だったけど・・そんな事は無かったのよ・・寝る子は育つし栄養を取る子は育つのよッ!」
「(確かに毎回9時には電話を切ってくれるからその時間に寝てるんだろうな)」
「でもその余計な心配からまさか登校中のカップルを見ていると羨ましくなる患者になっていたなんて・・愛川ちゃんッ!」
愛川患者になっちゃったよ・・まさか信じるなんて思わなかったよ。
やべぇな、コレ後が怖いけど仕方ないよね。
「まあ、アイツの病気はそんな害あるもんじゃないしさ・・そんな気に病むな」
「う、うん・・でもとても可哀想だよ・・何か力になってあげられたら・・」
「(俺達が力になってやれるのはカップルと思わせて歩く事だけだと思うわ)」
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