第四十二話 「熱き男猫鼠」
災難というほど災難でも無かったが、とにかく一見落着という形に収まりホッと一息。
なにはともあれ一段落してひとまず良かったと思っておこう。
あの後、何も悪くない城ケ崎さんにも「迷惑をかけてごめんね」っと。
謝罪をもらってしまったが、俺は「気にする必要はない」っと一言述べておいた。
早乙女は一人不服そうに教室を出ていったが、内心何を考えているかサッパリだ。
もう気にしてはいないと思うが、真相はどうなのか。
それはさておき、次の授業は体育だ。
さっさと体育着に着替えてグランドへ出なければ。
ささっと着替えて急ぎ急ぎでグランドへ出ると。
授業開始五分前にはすでに何人もの生徒がいる。
流石はわが校の生徒、時間にルーズになれば後が怖い事を良く知っている。
特に国語とこの体育の教師は遅れれば後が怖いからな。
生徒の緊張が走るのも無理はない。
「あ、きっくんじゃーん!さっきぶり~!」
「えっ?山田・・何故山田がこんなところに・・」
声のする方向へ振り向けばそこには髪を結んで体育着に着替えている山田の姿。
どうして奴がこの俺達の授業に赴いているのだろうか。
「知らないのかい?今日から大半の授業はAとBの合同になったらしいよ」
「マジですか、全然知らないですよ山田会長」
「こらこら・・人が会長だからってここでその呼び方は止めてくれ」
「それはどうでもいいとして、ずいぶんあっさりと合同授業をやってくれるな」
「こんだけ広いと場所が余るし丁度良いんじゃない?」
軽くドームでも作る気なのかと言いたくなるほどの広さだからな。
一体なにをどうしたらこんな領地ができるのか不思議に思えてしまうほどだよ。
「合同授業ねぇ・・リレー大会でもおっぱじめるつもりか?」
「いやいや・・今回は伝統行事の再開だって聞いたから・・アレではないかい?」
「伝統行事・・」
なるほど、頭の中に一つよぎったわが校が生み出したスポーツがあった。
確かにアレならばこの人数でやるのは大賛成だ。
なにしろ退場者が絶えないほどの危険極まりないスポーツ。
一説では野球ボールを当てられた方がまだマシという話もある。
それを今年になって復活させてくれるとは、思い切ったなぁ。
「全員・・チュウモォォォク!!!!」
「うおっ・・来たぞ・・」
「来ましたねぇ・・この熱烈のオーラ・・あの教師だ」
考えている間にもうそんな時間になったか。
この体育時間の教師と言えばたった一人。
赤いサングラスに後ろへトンガる謎のレッドヘアー。
白と青のラインが入った特殊なジャージのデザイン。
それを見なくてもこの声の素早さと大音量を聞けば誰かは分かる。
「集まったな?いや集まらないのはおかしい事この上ないし、この場にいない者は絶対にいないはずだ、なにせ私が毎回言っている通り、私は絶対時間通りこの場に現れ遅刻を厳禁しているからだ、さらにいうなら私の目の前で遅刻できる者はよっぽどの阿呆かよっぽどの自信家と言ったところッ!諸君らはどうやらそのどちらでもない事が分かった!ならば良し!今日も太陽の光を浴びて思う存分楽しもうじゃないかッ!この私【津久井 猫鼠】が今日も君たちに熱血指導してやるぞぉォォオッ!!」
この一時代間違えたのではないかと言うくらい気合の入り方が尋常ではない教師こそ。
我が熱血指導代表の猫鼠先生である。
断言できる、この教師は熱すぎるッ!!
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