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第四十一話「星座の本を乗せた正座の時間」

「大和」


「ハイ」


「私言ったよね?」


「言いましたね」


「なんで今星座の本を頭に乗せられて正座させられているか分かる?」


「俺がまた人に対して怒鳴りちらしたからだと思います・・」


「そうです、君はいつもそうやって自分が許せない悪だのなんだのって言ってすっぐそうやって飛びだしてまるで自分が世紀末を救う救世主の様に思ってやっている様だけもね、貴方はもう三年生であり、何もアイツ程度の人間にそんな怒る必要も全くないしクドクド」


「アワワ・・ジョ、ジョウガサキサンソコマデニィ・・」


矢部の一見が終わったかと思えばやはり恒例の説教タイム。

これも城ケ崎と早乙女の間ではもはや定番中の定番。

校内ではいざ大和が何かしでかした場合に城ケ崎が説教をするのが定着。

いつしか子供と親なんていう関係と呼ばれている。


「んだよ・・俺は何も悪くねぇのに・・」


涙目になりながらまるで怒られたことに対してガッカリする飼い犬の図。

分かりやすいくらいにこの子ガックシと顔が残念そうだ。


「そうは言っても、いくらなんでもマリア先生が怯えるほどキレ倒す必要はどこにも無いでしょうに」


「そうだけどもぉ・・そうだけどもぉさ」


「マアマア!ワタシィハ モウ ダイジョウブ デスネィ!」


「マリア先生・・」


このタイミングでフォローに入るとはマリア先生は優しいなぁ。

生徒のこういうやり取りにも真面目に解決しようとするあたり。

優しさは聖人か聖女そのものだ。

声をかけられて露骨にうれしそうな大和には少し笑う。


「ワタシ スコシハ カクジツニ カリノコウドウニ テンヤ・・ワンヤシテイマシタ!キットワタシハカレニツヨクイエナカッタダロウカラ・・イッテクレタコトニハカンシャシテイマス!ダカラ・・サオトメサンをアマリツヨク シカラナイデアゲテクダサイィ」


「マリア先生・・まあ、そこまで言うなら・・」


「ウンウン!アリガトウ・カンシャデース!サオトメクンモ・・アマリオコオコシテハイケマセンヨ?」


「先生・・ああ!今度は気を付けるよ!」


「オウケイ!センセェトノヤクソクデスヨォ!」


凄いなマリア先生。

この一瞬で生徒のご機嫌と話し合いをまとめるとは流石の信頼力。

彼女無しにこのクラスはきっと務まらないだろう。


「あ、ヤナギハラクンモ・・メイワクカケテ・・ゴメンナサイデス!」


「ア、俺は本当に無関係ですし・・全然大丈夫ですよ・・それより、またあの変なのに絡まれたら生徒会としてどうにかしますんで・・マリア先生も何かあれば言ってください」


「オオ、アリガトウ!キヅカッテクレテ・・マコトニカンシャデス!」


「当然の事をしているまでですよ」


この優しい微笑みにはきっと誰もが協力したがる事だろう。

みんなきっとこういう人について行きたいのだろう。

こんなにも一人一人真剣に接してくれる人は早々いない。

みんなから信頼されているわけだわ。


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