第四話 「物陰から見ていたから」
いつもツッコミたいけど何故お前はそうなるッ!?
普通はもっとこう「先輩・・また他の女の人と話している・・」とか。
凄い不安そうに見つめて来たりさ。
「やだ・・また先輩他の女に騙されている・・」
的な誤解と被害妄想から「あの女許さない」的な流れになる。
そんなごく普通のヤンデレストーカーが基本だろ!
お前のその目はおかしいんだよッ!
なんでそんな目がハートなの、なんでそんな目がキラキラ輝いているの?!
な ん で こっち見てグッてしてくるの!?
もっと他に焦るとか動揺するとか色々リアクションが違うんだよ愛川ァッ!!
「(ヤンデレしてッ!もっとお前はヤンデレデレするべきなんだよッ!!)」
ああ畜生、最悪電柱の物陰から見て来てるだけだし。
なんの問題も無いとはおもうけどな。
「・・アレ?山田の姿がない・・様な・・?」
どこだ?
俺が止まって後ろを振り向いた瞬間にどっか消えたのか?
いや、それとも先に行っちゃったかな・・。
「愛川さんおはよう!」
「アヒィッ!?ややや・・山田せんぴゃぃ!!」
愛川ァッ!?
アイツ山田に気づかれて話しかけられちゃっているよッ!
なんてこった・・これはまずいぞ・・。
事情が分かってない天然な山田じゃあまさか俺らをストーキングしていた。
なんて分かってないだろうな・・あのさわやかな顔はッ!!
でも大丈夫だ、普段がフリーダムかつ面識のある愛川ならこの程度造作もな・・。
「お・・おはは・・おひゃ・・おひゃようござざざざぺぺぺぺぺッ!!」
「(めちゃくちゃ動揺しているッ!!愛川ァッ!どうしてだ!お前普段はもっと真面目にしゃべれんだろッ!なんで!?何を気にしているのッ?!)」
「愛川さん、今きっくんと一緒に登校していた所なんだけど・・愛川さんも来る?」
「はわわ・・(今きっくんと登校していたところ・・(今きっくんと登校していた所・・(今rk)))」
あ、ダメだ・・あの白くなっていく眼はきっと頭の中でいくつものエコーが流れて。
アイツの中ではきっと絶望しているに違いない。
フルフルと震えだしている・・それはまるでロケットの発射五秒前・・。
と言う事は・・。
「愛川さん?」
「や、・・山田・・先輩・・」
「うん?」
「ごめんなさぁぁぁぁぁぁぁいッ!!!」
愛川逃げたァッ!
その音はレースカーの様だよッ!
コミカルな漫画の一部始終だった・・。
と言うかアイツ全力疾走していたな・・あんなに走れたんだ・・。
よっぽと恥ずかしかったのかな・・。
それとも、俺と山田の仲を邪魔してしまった事に対しての罪悪感で逃げたか・・。
いや、俺ら全然気にしてないけどな。
「ハハ・・山田なんか朝から騒がしい奴ばっかだなー・・」
「グスッ・・グスッ・・」
「(ええぇッ!?山田さぁぁぁん!?)」
山田・・お前なんで泣いてんの?!
なんでそんなにお前涙をボロボロ零してんのッ!?
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