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第三十七話 「健闘を祈る」

「揃いも揃ってまさか【四天王】の連中が相手になるとは・・下克上とはまさにいったものですね」


情が隠された笑顔と少しばかり早くなる話し方。

今の俺には分かる、山田は確実に怒りのオーラを解き放っていると。

こいつは因縁の相手になればなるほど面白いくらいに怒っている時の特徴が顔に出る。


「そう興奮するな山田、相手はただの四天王にすぎないだろ?」


「ただの四天王といえども・・相手はま・た・し・て・も!あの海王だよ!しつこすぎるよ!」


「はは!これぞまさに定め合う運命とはよく言ったもの・・私も昔から桃野ちゃんと喧嘩していたのを思い出すよ!」


「笑いごとじゃないですよ~!ぷんすこです!おこですよ私は!」


山田が先ほどから怒りを向けている相手は【海王四天王】と言い。

あ、別に中二病の集団ではないです。

みんなが言い始めたらそう広まっただけなんです。

気を取り直して。


海王咲さんが認めた四人の信頼ある仲間で結成した海王咲さん支援隊の事である。

生徒会には海王咲さん本人と参謀の霧島を従えていつも会議などに参加している。

高校の生徒会では山田と支持率の争いで五分五分の戦いを繰り広げた事がある。

ちなみに海王咲とは知り合いで俺はそこまで仲は悪くない。

取り巻きや友達が多くて話しかけられた事もかけた事もないけど。

生徒会では何度か意見があった時があった。

無論、山田とは立場上ぶつかり合いが多く、この三年間ずっと争い続けていた。

今となっては日常茶飯事だし、もはや勝敗はいつも通りだと睨んでいるけどね。

しかし、三年最後まで来て二位を独占とは・・頑張ってんなぁ・・。

結果的にまた山田との勝負に敗北が重なったけど。

まあ、長くも短い年数で何度も戦った山田は唯一苦手としている人物だ。

流石に今回でもう何度目と感じ始めているのだろう。


「ま、そう怒るな山田、どうせお前は勝ちに行くだろ?」


「当然!テスト結果はいつもあいつより上位に立っているんだから全然余裕ッ!油断せず勉強範囲もしっかり予習しておけば次のテストも抜かりないよ!」


「ふむ、実に頼もしい発言だね・・山田君」


「いえいえ~!大した事ないですよ理事長~!」


この余裕の表情に余裕の素振りは完全に今は心から喜んでいる。

放たれているオーラも幸せそうな感じが伝わって来る。


「まあ・・まとめれば君達の協力には今度のテスト一位が必須という事になる・・これは別に柳原君が一位になればいいという話でもないし、柳原君は何もしなくてもいいというわけではない、普段山田君と一緒にいる君も十分悪評判の無い様に頼むよ?」


「分かってますよ理事長」


「ふむ、では話は以上になる・・他になにかあるかい?」


「私からは特にはありません!」


「俺もないです」


「よし、では諸君・・健闘を祈る!」


「はい!」


理事長からのありがたき言葉だ。

しかも、直接言われてこんなにもしっかりと話を聞いてくれると思うと。

なんだか心からその言葉が染み渡る。

応援も協力もしてくれるんだ。

こっちもその意思を言葉で示さなければな。


「(な、山田?)」


「(ん?・・あ、そうだねきっくん!)」


ふと山田を見て一瞬のアイコンタクトで伝わっただろうか。

少し不安になったがまあ、大丈夫だろう。

さあ、せー合図も俺達にはいらない。

一緒にお礼の言葉を言おうじゃないか。


『理事長!ありがとうございました!』


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