第三十話 「新たな一歩の朝」
あの悲しみに濡れた夜から明けて次の日の朝。
俺達はぐっすり睡眠が取れたようでね、今朝の様子は気分が良い。
朝食も食べれたし、その後も愛川と苺と一緒に出て山田も含めた俺達四人で元気に登校。
良い朝、いい一日の始まりだ。
だが、ちょっと周りが女の子しかいないから俺のアウェイ感がパナい。
そんなこんな周りにジロジロと見られたりひそひそと噂されていたりしたが。
とりあえずは無事学校到着。
今日は特に藤宮が喧嘩をふっかけてくることは無かった。
というより、朝の登校で普通に挨拶してくれるようになったしたな。
今日からゆえに、まだちょっと抵抗があった様に思えるが。
まあ、とにかく一日平和に過ごせそうで何よりだ。
「んあー・・そうなるとこの窓辺から見る風景ってのも暇になっちまうもんだなー」
「すいませーん!きっくんここにいる?」
「あ、山田さん!菊君ならそこにいますよ!」
フラグだった・・何か嫌な予感がするぞ、この感じ。
山田がこちらにスタスタと近づいて来て笑顔と言う事は。
アイツが何かを企んでいるかもしれない。
「フッフッ・・きっくん・・一緒に来てもらおうか!」
「おう、せっかく人が一日平和に過ごせそうだと感じていた時に・・いいだろう付き合うぜ」
「そう来なくては!きっくん!」
ま、元気そうに笑顔で言って来る当たりを見ると悪い事では無さそうだ。
きっと、何かまたやりたい事が見つかったのだろう。
しぶしぶとは言わず、幼馴染としてここは協力してやらなきゃな。
俺は誘われるがまま、教室を出て廊下へと二人で歩くのだった。
山田に誘われて歩いているので一体どこへ行くのか分からないが。
特に不安がる事も何も無いだろう。
「しかし・・二階に下りてこんな普段通らない校舎右側を歩いているけど・・山田、これ何処に向かってんの?」
「理事長室だけど?」
「り、理事長室!?またどうして・・」
「実はね~・・この前言ってたイジメの案件について何か知ってるんじゃないかな~って」
「ああ・・でも、それって俺ら生徒会の過去の情報からでも探せるんじゃないか?何も理事長に頼む事では・・」
「それがね、私もそう思ったんだけど・・あの昨日ふっかけて来た子たちも知らないし私達も直接イジメをしていた連中が分からなかったの・・ただ、今分かっているのは【去年卒業した先輩】って事だけ・・」
上手い具合に情報が消えているんだな。
なんて奴らだ・・証拠隠滅を図った上でのいじめ・・良い趣味してやがる。
燃えて来るなぁ・・そういう相手は徹底的にやりあってやりたいよ。
「良い趣味してるよねぇ~・・奴さんはどうやらこれでタダで済むと思っているらしいですぜ?きっくんのダンナ」
「いいねぇ・・俺以上にクズい人間はいないかと思ってたけど・・少しは張り合いのある格下のクズがいるもんじゃん・・俺の逆鱗に良い具合に触れてくれる」
「だろ?だけど・・君よりもっと逆鱗に触れられてる存在・・」
「誰だろうな?」
「私だよ?んふふ!」
山田の奴、笑顔の裏に怒りを放ってやがる。
山田を怒らせるとは・・運が無いね~・・イジメっこさんも。
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