第三話 「朝の幼馴染」
俺の一日は一軒家の1人部屋、朝の陽ざしを浴びて始まる。
布団から出たらまず顔を洗う、次に目が覚めたら朝食を作る。
そして手を合わせてあたりまえだけどいつものあいさつ。
「いただきます」
っと言いながら俺は朝食を頬張るのだった。
ちなみに今日の飯は焼いたトーストにバターを付けて目玉焼きと一緒に食べる。
ごく普通の一品となっている。
とてもおいしい、これに牛乳と飲むとなおよい。
さて、朝の飯は食べ終えた。
となれば次は玄関へ歩き、靴を履いてまたいつものあいさつ。
「行ってきまーす」
少し気合が入ってはないかもしれないがこれが俺の普段のトーンの限界である。
朝ごはんを食べ終えたら一軒家から出て学校へ向かう。
この時間なら歩いても十分間に合うし、特に急ぐ必要もない。
多分ベタなラノベとかギャルゲーならここでパンをくわえた女性が曲がり角で。
遅刻しそうになってぶつかるとか言う現象が起きるのだろう。
しかし、残念ながら遅刻しそうにもないし、道は結構一本道と言う有様だ。
こんな道をからもし曲がり角があればそんな期待も抱いていたであろうが。
俺には縁のない話だし、第一そんな非現実的な事が起きるわけがない。
というわけで、この話は無かった事にして学校へ向かうが。
この時間、必ず登校中に合う人物がいる。
それは幼馴染であり、俺の家の近所の【山田 凛子】である。
黒いロングヘアーの前髪がパッツンとなった凛々しくも可愛らしい少女で。
大人しく、真面目な性格で学校ではかなりの人気者である。
一部ではファンクラブなるモノがあるらしいが真実は定かではない。
っと・・そんな話をしていたらいたよ、山田だ。
あの後ろ姿といい、本を読む姿・・さながらギャルゲーの攻略対象キャラの1人である。
でも、山田は学校の人気者だし男子が放っておくわけない。
きっと、アイツにはすでに彼氏なる存在もいるだろう。
これがギャルゲーだとしたら、俺の攻略対象にはきっともう入っていない・・。
まあ、俺自身好きでもなんでもないが、もしいたとしたら祝ってやらなきゃ。
少し、先に大人になっちまった感あって悔しい気持ちが沢山だが。
そこは過去を共にした親友として・・心から祝福をしてやるんだ。
そんなリア充死ねだとか軽率に言ってはいけない。
「きっくん?」
「ウオッ!?凛子・・急に話しかけてくんなよッ!」
「ごめんごめん!後ろに誰かいるのかなーってくらい騒がしい気配がね・・?」
気配ってなんだ気配って・・。
急に話しかけられたからびっくりしたぜ。
しかし、話しかけて来る時もそんなにうるさくない。
というよりやはり涼やかな風がなびく・・っと中二病のような感じに言うのだろうか。
話しかけられたそれはそれでちょっと耳に優しいと言うか・・。
いやなんか変態みたいだな、コレやめておこう。
とにかくッ!
コイツに話しかけられるのは悪くはないッ!
特に朝の登校中とか!
「全く・・お前はいつも涼しいな~!」
「フフッ・・なにそれ?きっくんはいつも面白いね!」
おお、この娘・・笑顔でそんな言葉を言うとは・・。
いったいその素振りや仕草でどれだけの女性友達や男を堕として来た?
まあ、それはどうでもいいことだろう。
「面白いのが俺の得意分野・・いや、存在がうるさいのが俺のモットーだからな!」
「ん?でも結構私が見る限り・・普段はそんなにうるさくないよね?」
「そ、そうなの?」
「そうだねー」
グッ・・そんなにこやかにクスクスと笑うとは卑怯。
いや、しかし普段は普通って・・じゃあ普段の俺は地味って事か。
うむ、それはそれでいいような悪いような。
「あ、それはそれとして・・凛子、せっかくだし一緒に登校しようぜ」
「急にふっかけて来たね~・・うん!私も実はきっくんと行こうともって話しかけたら全然大丈夫だよ!行こうか?」
「ふふ・・変な噂されないといいなぁ」
「(今日のきっくんはいつもより面白いし可愛いなぁ・・フフッ)」
ふむ、こうやって幼馴染と一緒に朝を歩くのもいいな。
最近山田とは関わってなかったし、ここで縁を深めてもいいんじゃないか?
まあ、少なくとも親友としての仲をもっと深めなくてはな。
・・それはそうと・・俺の後ろにさっきから何か気配が・・。
「ジーッ・・(今日も柳原先輩は元気そう!ああ!それに山田先輩と一緒・・これは見守っていたい!!写真とっても大丈夫かなァ!ウヘヘ・・)」
「(方向性の間違ったヤンデレだァァァッ!!)」
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