第二百二十話「アビス組織」
「さて・・気を取り直してビルの中を探索をするわけですが・・」
「ああ、こりゃあ・・広いな」
「なんという広さ・・一体何階まで作っているんだ・・」
ビルの中にいざ突入して見れば。
そこに広がっている光景はどこまで広いロビー。
そして天井を見上げても高い空間という事がすぐに分かる。
ありきたり、そして当然の答えが似合う場所も他にないだろう。
しかし最も気になるのはこの大型モニター。
今は画面が黒いが、きっと本来は何か映し出されるのだろう。
入って来てすぐに目にうつるあたり何かを暗示していそうだが。
ビロンッ。
と、そう思っていたら・・本当に何か映し出された?!
あ、アレは誰だ。
椅子に座っている女性だろうか。
青いチェック柄のシルクハットに兎耳。
モコモコとしたケープ、ニヤリと笑う微笑み。
一発で顔から疑う悪人面。
間違いない、サルでも分かる・・コイツはこの事件の主犯格だと。
「だ、誰だお前は?!」
「ああ、初対面だよね?いいよ、答えるよ、僕の名前は【クロッカス・マグノリア】・・世界最高テロ組織【アビス】の親玉であり・・このタランチュラ本部の創立者であり・・タランチュラの総司令官でもある・・アニメとか特撮とかで言う・・まあ、悪の親玉だよね?」
足を組み替えてその口が動く度に胡散臭い匂いが激しい女だ。
見るだけで怒りが燃え上がりそうだ。
・・というか今発言した・・アビス。
俺が知らないわけない名前だ。
通りで怒りに震えると思ったら・・そうか。
ここでお前らに会えるとはな。
「そうか・・アビス・・お前らが・・お前があの組織の親玉なのかッ?!」
俺が思わず口からこの上ない怒りを見せ。
「アビス、このふざけた格好をした女が・・我が一族の・・親父のッ!!」
姉さんも静かなる怒りに燃える。
「・・わけが分からないままだが・・分かった、コイツは死んでもいい対象だ」
ディートリッヒ先生だって怒りに震える。
全員この場で知らない者はいない。
いや、全国・・世界中の人間が知っている。
この悪魔存在・・直接親玉を見たのは初めてだが。
アビスの存在は誰だって知っている。
親父もじっちゃんも・・光太郎伯父さんも月桂樹叔父さんも・・。
みんな・・コイツに人生を阻害されたんだ。
母だってそのうちの1人だ。
偽伯母さん達だってそう・・。
みんなコイツに・・人生が狂わされてしまったんだッ!!
【アビス】、一言で言えば真正の悪魔であり。
全てを超える奈落の絶望のさらに深き深淵の絶望。
人を殺す事をもくろむのではない。
世界そのものを消す事を目標などとつい最近になって暴れ出した者達。
組織の居場所は不明。
どこからともなく現れて、ふらりと人を殺し。
またふらりと消えては見失う。
アメリカの手にも負えず、世界では連合組織なんてのもできた。
だが、今でもこいつらはニュースになるほどの悪魔の組織。
まさか・・そんな奴らがタランチュラ組織を作っていたとは。
驚きどころではない、怒りが・・ただ怒りに震えてしまいそうだ。
だが、いい・・こいつらにもし日常を阻害されているのであれば。
それまでの話・・因縁の決着をここで付けてくれるッ!
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